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女双剣士


 双剣を持つ女性は襲って来るウルフェンパイソンを数の不利をものともせずに次々と切り倒していく。洗練された無駄のない動き沿ってに胸まである黒髪が美しく肩を流れる。



「数が多いだけで大したことないわね」

「……グルルルル」



 全く隙のない彼女にウルフェンパイソンは唸り声を上げて攻めあぐねていた。

 すると、群れの中から一体だけ女双剣士の方に向かって前に出た。その一体は他とは雰囲気が違っていてサイズも明らかに大きい。おそらく群れのリーダーだろう。


 群れのリーダーは女双剣士の周りをゆっくり歩いて機を伺っている。すると、群れのリーダーの足元がほのかに光りだした。



 「やだ、そんなこと出来るのね」



 馬鹿にしたように驚いてみせた女双剣士は両手の武器を逆手に持ち替えて構えた。群れのリーダーが何をするのかを分かってるようだ。



 ーー次の瞬間……


 群れのリーダーが仕掛けた!

 その場に僅か光と砂埃を残して姿を消した群れのリーダーは他のウルフェンパイソンとは比べものにならない速さで女双剣士の背後を取った。



「ーー危ないっっ!!」



 大きな声で叫んでしまった。と、同時に女双剣士と群れのリーダーとの間に木を生やして守るつもりだったが、背後を取った群れのリーダーが攻撃する気配がない。

 良く見ると女双剣士の武器に血が付いていて、群れのリーダーの首が胴体からズレるように地面に落ちた。女双剣士は速い動きに合わせてカウンターを見事に決めていたのだ。


 木を生やしてないとはいえ、大声で叫んでレイスの存在を周囲に晒した。その場の女双剣士とウルフェンパイソン達は少しの硬直を余儀なくされた。状況が読めなくて当然だろう。

 女双剣士は下手に動かず、リーダーを失ったウルフェンパイソン達は一匹、また一匹とその場を離れていく。程なくして女双剣士とレイスだけになった。

 次第に女双剣士の顔が青ざめていく。



「あの……私に攻撃の意思はありません」

「……ふっ……ふっ……」



 敵ではないことを伝えたが、女双剣士は聞こえる程の大きな呼吸をして低い姿勢で武器を前に構えた。こちらの意思が伝わったとは思えないリアクションだ。爆発男に続いて、この女双剣士とも戦闘になるのかと思うと気が重い。ため息混じりに一瞬、彼女から視線を逸らす仕草を見せた。


 それをチャンスと見た女双剣士が仕掛ける。

 さっきの光るウルフェンパイソンのリーダーよりもずっと速い動きで、視線を逸らした反対側の死角に回り込む。側頭部を串刺しにしようとする素早い動きにただ反射的に視線を女双剣士に戻した。



「ーークッッ!!!!ーー」



 避けるつもりも反撃するつもりもないが、女双剣士はレイスの予期せぬ反応の速さに危機を感じて距離を取った。



「ーーッッハァ……ハァ……ハァ……こんなところで……死ぬわけには……ハァ……ハァ……」



 殺られる前に殺る、という意図なのだろうか。爆発男と同様に先手必勝と言わんばかりの初手は不発に終わった。



「ーー攻撃の意思はありません!!信じてください!!」

「…………」



 もう一度も呼びかけてみるが、一向に警戒を解く気配はない。やはり誰も化け物の言葉など聞く耳を持たないのだろうか。



「……そんな禍々しい殺気を放っておいて……よくもそんな嘘をつけるものね……ハァ……ハァ……」

「……殺気?……ですか?…………あー……殺気……かぁ……」



 彼女の言葉に間の抜けた返事をしながらも静かに衝撃を受けた。

 

 

 




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