ライバルキャラなので頑張ります!〜水曜日の爽やかくん
水曜日
放課後私は制服のまま、体育館へ行く。
いつもはこの体育館はバスケ部が占有しているのだが、都合のいいことに、彼等は他校へ練習試合へ出向いているらしい。
ボールを1つ拝借して、タンタンとドリブルしながら、ターゲットに近づいて行った。
ターゲットは、同じクラスの三崎くん。
彼はとても明るくスポーツ万能で、おまけにとても面倒見がいい爽やか君だ。
しかも、ヒロインちゃんの幼馴染ときている。
今日も体育の授業中、ヒロインちゃんがどうしてもバスケのシュートが上手く出来なくて、こうして放課後の練習に付き合っている。
そこで、ライバルの私のパラメーターチェック。
ヒロインちゃんとの練習中に、私が乱入。
私にも教えてよって、誘いかける。
今日のこのチェックはかなりヒロインちゃんに有利に出来ている。
だって彼は幼馴染だし、最初からヒロインちゃんとの好感度は高く設定されているのだ。
ヒロインちゃんが好感度をかなり下げない限りは、通常私よりヒロインちゃんを選ぶようになっている。
うん、これは私も安心して、乱入出来るってもんよ。
さて、行きますか。
ヒロインちゃんがシュートしたところを見て、態と私も同じタイミングで持っていたボールを投げ入れる。
私のボールがヒロインちゃんのボールを弾いて、ゴールに吸い込まれていった。
それに驚いたのか、ヒロインちゃんと三崎くんが、私の方を勢いよく振り返る。
「ふふっ、楽しそうね。ねぇ三崎くん、私にも教えてよ。」
挑発的に投げかけた言葉とは裏腹に私は断りの返事を待った。
さあ、三崎くん、遠慮なく断って良いんだよ。
断られるのが前提だから、制服だし、鞄も持ってきてるよ。
何せ今日は夕方からの再放送で白馬に乗った某暴れん坊な将軍様が私を待っている!
和を好む私は白馬の王子様より白馬の将軍様派なのです!
そんな思いを胸に、投げ入れたボールを取りに行き、ニッコリと笑って三崎くんを見つめる。
さあ、さあ、早く「ごめんね。」の一言を私に。
「うん、良いよ。じゃ、あっちのコートで2人で一緒にやろうか。」
ヒロインちゃんに、「じゃ、またね」と爽やかに一言だけ告げて、三崎くんは私の腰に手を回しエスコートするように、体育館の奥の方へと案内する。
え?
え?え?
良いよって、何?
何が良いの??良くないでしょ。
だめでしょ、こっち来ちゃったら。
ヒロインちゃん、どうした?
そんな私の戸惑いは気付いていないのか、スルーされているのか。
とってもご機嫌な三崎くんに後ろから抱きしめられるように、ボールの持ち方から、投げ方まで。
教える時は耳元で甘い低音ボイスで囁かれた。
何だこれ。
さっきのヒロインちゃんの時こんなのやってなかったよね?
三崎くん、爽やかキャラを何処に置いてきた…。
そんなこんなで、明らかにスキンシップ過多なレクチャーが終わり、三崎くんがニコッと笑い、こんなものかなと、呟いた。
その言葉に、私はこれで帰れるとホッとした。
のも、つかの間…。
「ねえ、ゲームしない?」
…なんですと?
「スリーポイントシュートをお互い打ち合って、先に落とした方が負け。じゃ、スタートね。」
そう言うと、早速三崎くんは先にシュートを打ち、そのボールはストンとゴールへ吸い込まれた。
え、私、OK出して無いのですが?
「さあ、早く打って。リズム良く行こう!」
何が何だかわからないけど、急かされてそのまま私もシュートを打った。
まあ、良いか、適当にやっておこう。
「あ、そうそう、負けた方は勝った人のこと、1つだけ何でも聞く罰ゲーム付きね!」
え?
振り返ると、いつもみたいにキラキラの爽やかな笑顔で、とんでもない事を言い放った。
ゲームの結果?
もちろん全力でやって、勝ちましたよ。
─良かった、運動のパラメーターあげといて。
気のせいだとおもうけど。
負けたら…なんか…健全な高校生として、言っちゃダメなこと、要求されそうだったし。
うん、多分私の考えすぎだと思うけど…。
時間があれば連載として、木曜日、金曜日、ヒロインルート書きたい…。