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クリストファー様とは、なかなか会う機会がございません。生徒会はとても忙しいのでしょう。そう思うとなんだか寂しいのですが、気分転換にランチをお弁当にして中庭の東屋で食べることにしました。ランチボックスを開ければ、まあ、素敵。卵サンドにカツサンド、サラダサンドもございます。デザートにはガトーショコラのプチケーキ。水筒にはハーブティが入っていました。

「おや、先客がいましたか」

 そうおっしゃったのはウィルス先生でした。

「ごきげんよう。ウィルス先生。よろしければご一緒しませんか」

「婚約者さんに怒られないかい?」

 ああ、そうでした。教師と言えども男性と二人きりはよろしくないのでした。

「そうですわね。では、わたくしは別の場所で食べますので、どうぞ先生こちらでお召し上がりください」

「いや、僕の方が後から来たんだ。ここは君に譲るよ」

 そう言って去っていかれました。ああ、またぼっちめしでございます。もう、こうなったら開き直りましょう。所詮、モブ令嬢。何があっても知りません。ええ、知りませんとも。

 そうは思っておりましたが……。なぜでしょう。アルマ様とすれ違うたびに、彼女が転んでしまいます。

「大丈夫ですか?お怪我はありません?」

 そう尋ねますと、きっと睨まれました。

「足を引っかけるなんて最低ですわ」

 そう言って去って行かれます。わたくし思い出しました。これはいじめられイベントです。でも、なぜ、モブのわたくしに仕掛けてくるのでしょうか?相手を間違えてらっしゃいます。前世の記憶から申し上げますとこの足を引っかけた事件は、アリエス様との間で起こるのです。どんなルートでも、モブのわたくしに出番はないはずなのですが?そんなことを考えていたら、久々にクリストファー様に会いました。

「なかなか会えなくてごめんね」

「いえ、大丈夫ですわ。ちょっと寂しかったですけど」

「うん、僕も寂しかったよ。ねえ、明日ランチを一緒に食べないかい」

「まあ、うれしい。ぜひ、ご一緒しますわ」

そして、翌日のランチタイム。ちょっとウキウキしながら食堂にやってきました。待ち合わせは入り口の手前でしたのに。やはり、三年生ともなると授業の時間が長くなるのでしょうか?それとも、今日は実技だったのでしょうか。しばらく、ぼーっとつったっております。かれこれ三十分ぐらいでしょうか。何かあったのかしらと思っておりましたら、クリストファー様がかけていらっしゃいました。

「ごめん、遅くなって」

「いいえ、かまいませんわ。それより何かありましたの?」

「いや、ちょっと授業がね……」

 なんだかいいわけくさいですが、追及はいたしません。

「では、ランチをたべましょう」

「うん」

 なんだかぽっと頬があつくなります。まぶしいくらいの笑顔がたまりません。心臓もドキドキしてきました。ああ、わたくしやはりクリストファー様に淡い恋心を抱いているのですね。婚約破棄されるとわかっていても……。

 それから、クリストファー様といろいろ話をしました。ついでに、アルマ様のことも報告しておきました。

「なぜか、わたくしとすれ違うたびに転ばれまして、足を引っかけるなんて最低ですわといわれてしまいました」

「そんなことがあったの。大変だったね。そういう人にはあまり近づかないほうがいいね」

「ええ、そう思います」

「そうだ、今度の休日に馬で遠乗りしようか」

「本当ですか。でも、馬はどちらに?」

「学院で貸してもらえるから、申請しておくよ」

「お昼はどうしますの?」

「僕が用意するから、楽しみにしててね」

 なんだかドキドキします。うれしすぎて泣きそうですわ。ああ、早くお休みにならないかしら。そして、わたくしは大事なことを忘れていました。浮かれすぎて。


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