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短いお休みはあっという間に終わりました。家ではのんびり一家団らん。そして今日からまたお勉強の日々です。そして、相変わらずボッチなわたくし。お友達の作り方がわかりません。前世でいうところのコミュ障でしょうか。前世では同じ趣味の仲間がおりましたのに……はっ、そうですわ。わたくしの趣味はダンス。いえ、駄目ですわ。クリストファー様以外とは踊りたくありませんもの。お茶会を開くとしてもご招待できる方がいませんし。何かほかには……生徒会でお手伝いですわね。うん、もうそこを頑張りましょう。

 こうして新たな日々が始まったのでした。


 今日もボッチでランチです。気分転換にお弁当をもって中庭のテーブルを使います。東屋はウィルス先生のお気に入りのようですから、行くのはよしましょう。それにしても、どの席もカップルというのはどういうことでしょう。これなら、バイキングの方を選んだ方がましでしたわ。そこへ、なぜかウィルス先生の姿が見えました。そして、わたくしを見つけるとそばに寄ってきて相席を求められました。ここでしたら、密会にはみえませんので、良しとしましょう。

「丁度、君に頼みたいことがあったんだ」

 先生は今日もいい天気だねと言った口調でおっしゃったので、はい、なんでしょうと答えてしまいました。

「訓練場を開放することに決まったんだけどね。きっとけが人が多く出ると思うんだよ。そこで、治療係をやってほしいんだけど。駄目かな」

「えっと、もしことわったら、どうなりますの?」

「訓練場の開放は禁止のままだね」

「では、お引き受けします。もちろん、先生方は監督されるんですよね」

「もちろん、ただ交代でやるからね。治癒魔法が使えない先生もいるんだよ。それで、君に治療係を頼みたいというわけなんだ」

「まあ、そういうご事情なら。開放は月一ですの?」

「いや、月二回。予約制で人数は制限するよ」

「そうですわね。大人数は事故の元ですし」

「そうそう、そういうこと。正式に書面で依頼文が来るから。それと制服もね」

「制服ですか?」

「治療係専用」

「ということは、わたくしのほかにも治療係の子がいますの」

「軽傷担当に三人ほど」

「わたくしは重症担当というわけですね」

 これはお友達を作るチャンスですわ。張り切って治癒係をさせていただきましょう。


 しかし、制服だけは断ればよかったと後悔しました。パフスリーブの黒いワンピースなのですが、丈が短くパニエがはみだしてしまいます。ロングソックスを履いて生足だけは見せないようにしました。あとは白いひらひらのフリルのついたエプロンに頭にはレースのヘッドドレスをつけて完成です。

 マリーはなぜか頬を染めて可愛いですわと囁いておりました。

 そして、初めての訓練場開放の日。なぜか生徒会の面々も勢ぞろいしております。こんな恥ずかしい恰好を皆様にさらさなければならないとは……とほほなのでございます。クリストファー様もあっけにとられたようですぐに声をかけてくださいませんでした。

「か、可愛いよ」

 噛みました。噛んでしまうほど似合わないのですわね。わかります。でも、お仕事ですから気にしませんわ。ええ、気にしませんとも。

 一回に三十人まで利用可ということでしたが、初日は十五人でした。訓練場は広いので十五人でしたら、思い思いに訓練ができるでしょう。ああ、それから治療係の軽傷担当三名は皆男子でございました。みなさん普通に訓練着です。今日はけが人もなく、何もせずに終わってしまいました。まあ、対戦形式でなければ重傷者がでることはないと思います。

 それから、二か月ほど経ちましたころ、予約が殺到していると小耳にはさみました。みなさん、勉強熱心で感心いたします。


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