第6話 ゴーレムの魔法 その2
実家から戻ってきました。
兄弟で久しぶりにキャッチボールをしたら、暴投をして家の車をヘコますというアクシデントがありましたがなかなか良い帰郷でした。
明日から仕事だと思うと少し気が重いですが、話を書いている時は楽しいので明日からまた頑張りたいです。
「どういうことだ!?こいつら目の前にいたはずなのに!」
盗賊たちが混乱している。
「アル、ソル、大丈夫か?」
私とソルがいる場所はさっきより10メートルほどずれた場所だった。
「これは、お前がやったのか?」
「そうみたいだ」
その時、ゴーレムの後ろから魔法使いが手をこちらにかざしてきた。
「ガァァ、オラの魔法が外れるなんて」
よほど魔法の精度に自信があったのだろうか、取り乱した魔法使いが再び炎を放つ。
もうこれまでかと思った矢先、またも信じられないことが起こった。
「私が二人を、守る」
ゴーレムがそう言うとゴーレムと私とソルの体が白く輝きだし、またしても私たちは先ほどまでいたはずの場所から移動していた。
「これは…」
「どうやらこれが私の魔法みたいだ」
「き、騎士様が水浴びをしていた時と同じだ。このゴーレム突然消えて、違う場所に現れるんだ!」
ソルが、驚きで声を荒げている。
ゴーレムが魔法を使うなんて…しかもこんな魔法は聞いたことがない。
瞬間的に移動する魔法、こいつはもしかするととんでもないゴーレムなのかもしれない。
ボスが駆け寄って斧を振り下ろそうとする。
「なんなんだおまえらは」
ゴーレムの体が白く輝き、ボスの斧を避けた。
正確には“避ける”というより“瞬間的に横にずれる”ように見える。
「なんだぁこりゃ!」
ボスは地面にめり込んだ斧を持ち上げつつ、突然真横に移動しているゴーレムに驚いた。
「アル、魔法使いに向かって走れ!」
ゴーレムの視線の先には遠くに離れた弟がこちらに向かって炎を連発している。
一瞬何を言っているのかわからなかったが、私は刀を杖のように地面に突き刺し立ち上がると、全力で魔法使いに向かって走る。
あのゴーレムを信じよう。何が起こっているのかまだ理解は出来ていない。
でも、今はあいつを信じることで道が切り開ける気がする。
「オレの命、お前に預けたぞ!」
「燃えろぉぉぉ」
魔法使いが炎を飛ばしてくる。
「ここぉ!」
ゴーレムが叫ぶとまたも私の体が白く輝きだし、私の見ている景色が横にずれる。そして、魔法が自分のいた位置で爆発しているのを見る。
これはすごい。これならいけるかもしれない。
“うぉぉぉぉぉぉ”と雄叫びを挙げながら魔法に近づいていく。
今持っている全ての力を足に集中させる。
少しでも前へ進むため、大地を踏みしめる。
「クソ、速い!ドヌル、早く魔法を使うんだ!」
「わがってるぅぅぅ」
魔法使いが魔法を連発する。
私は走りながら目の前の風景が左右に移動する現象に戸惑いつつ、それでも距離をつめようと走り続ける。
一発目を右前に瞬間移動してかわし、二発目を左前に瞬間移動で避けていく…三発目が横の地面に当たって爆発した時に魔法使いが私の刀の射程距離内に入った。
「な、なんで当たらないんだぁぁぁ」
「アル、行けぇええ」
ゴーレムが叫んだ。
私は刀を振り上げ斬り掛かろうとする。
「くらえぇぇ!!」
後ろからボスが助走をつけて全身の筋肉を使ってこちらに向かって斧を投げ飛ばしてくる。
私は振返ってそれを空中で打ち払い、方向をずらす。
斧が村の柵に当たるとその衝撃が伝わり、ドミノ倒しのように次々に村中の柵が“ガタガタガタ ”と大きな音をたてて倒れていく。
「くそぉぉぉぉ」
私に向かって魔法使いは炎をまとった手をつき出すが遅かった。
刀を滑らせるように降り下ろすと、魔法使いの鼻から口、胸から腹にかけて血が吹き出る。
「ギャァァァ、痛てぇぇぇ」
「そんな、ドヌル!」
ボスが駆け寄りながら背中からもう一本の斧取ると降り下ろしてくるが、そこにゴーレムが瞬間移動してダイブする。
「クッ」
ボスは突如上から降ってきたゴーレムを避けきれず肩に当たりはじき飛ばされる。
痛みからしばらく地面から動けずにいたがよろよろと立ち上がる。
私はそこに駆け寄ると、ボスの身体中に刀を叩き込んだ。
「ぎゃぁぁぁあ」
「痛いか?でもな、殺された人々はもっと苦しんだんだ」
右腕、左腕、右足、左足…ボスの四肢の骨を刀の背を使って砕く。
ボスが言葉にならない痛みを叫び、口から泡を吹いて気絶した。
命まで奪うつもりはないが、二度と悪さができないような体にした。
ボスが地面に倒れると村人たちが駆け寄ってきた。
前回、村から出ると言っていましたが戦闘だけの投稿になってしまいました。
すみません。なる早でアップしようと思います。