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落ちこぼれ騎士と銀のゴーレム  作者: ベンソン
第2章 災いの始まり
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第17話 黒鉄のゴーレム その5

久しぶりの投稿になります。


待っていてくださった方々、ありがとうございます。

 “間違いない、王都騎士団だ”


 金髪の少年の腰に下げられた刀(鞘の大きさからして細剣)の柄には、王都騎士団の証である鷹と日輪の紋章が刻まれたいた。


 歳も若いし、見覚えがないところを見るに自分が退団した後に入った騎士なのであろう。


 アルはそんなことを考えつつ、金髪少年の言った“何かが近づいてくる”という発言から咄嗟に刀を構えた。


 すると金髪少年か睨み付けている通りの遥か先から、黒い影が高速で建物の上から近づいてくるのが見えた。


 それは近づいてくるにしたがって犬、もしくは小さな狼のような姿をしているように見えた。


 4本の足で飛びはね、器用に屋根から屋根へ移動している。


 遠くから凄まじい早さで移動しているためか、その体はぼやけて見えていて、どこか一定の形を保っていないように見える。


「なんだ?犬?」


 レイがそう呟くと犬は数十メートル先から突然姿を消した。


「なんだ?いなくなったぞ」


「きっと建物の間に隠れているんだ」


 騎士たちがそう話していると、金髪少年の横にいた隊長らしき中年が黒犬を追えと命じた。


 数名の騎士たちが黒犬が消えた建物を捜索するとそれは起きた。


 突然、岩のゴーレムの下に黒い影が現れ風船のように膨らむとデコボコに変化し、先ほどの犬の形に変わった。


「うわぁッ」


 近くにいた騎士が突然の出来事に驚き、黒犬に向かって魔法を放った。


 それはたいした威力もない、ただ風を発生させ近くにいる者を数メートルほど退かせるための殺傷力の極めて低いものだった。


 しかし、攻撃されると感ずいた黒犬はそれを真上に高く跳んでかわすと、背中から黒い触手が飛び出し魔法を放った騎士を襲う。


「危ないッ!」


「ひ、ひぃぃ」


 騎士は目先まで接近してくる触手に思わず悲鳴をあげ目をつぶった。


 金髪の少年はとっさに騎士に向かって手をかざした。


 すると、手の先が輝きだし騎士の正面に“光る壁”が現れた。


 それは騎士の体をよりもやや小さい大きさだった。


 触手は騎士のに到達する前に“光る壁”に激突して動きを止めた。


「今です!」


 少年がそう叫ぶと、他の騎士たちが黒犬に向かって攻撃を仕掛けた。


 黒犬の後方にいた者は炎を放ち、左にいた者は氷の矢を放った。


 それを体を器用に捻ってかわすも、次々に同じ魔法が繰り出される。


 黒犬はその場で攻撃を回避できないと思ったのか、垂直に跳躍して空中に逃げると器用に体から触手を伸ばして方向転換するとレイに向かって急降下してきた。


「わぁぁぁ!」


 レイは突然の出来事に瞬間移動をする間もなく距離を詰められ、黒犬の鋭い触手に掴まれそうになる。


「させるかぁ!」


 アルは咄嗟に黒犬とレイの間に入り、触手を刀で受け止めた。


 触手と刀がぶつかり合うと、火花が飛び散り金属同士がぶつかり合う衝撃音を生み出した。


 “この黒い犬は金属で出来ているのか!?”


 アルは突きの衝撃を受け流すと、触手にそって刀を滑らせて黒犬の体に刀を叩き付けた。


 刀で受け止めた時以上の金属音が辺りに響くと黒犬が後方に吹き飛び地に叩き付けられた。


 その光景を見た騎士の一人が信じられない物を見るように呟いた。


「なんという斬撃だ、魔法を使う暇なんて無かったと言うのに…」



 レイが、アルに駆け寄り“やったのか?”と聞いてきたがアルは小さく横に首を振った。


「まだだ」


 黒犬はむくりと起き上がると、熱で溶けた氷のように地面に止めると高速で地面を滑るように動き出した。


 騎士達はそれに向かってあらゆる魔法で攻撃をするが、それは自分の影に向かって石を投げるようにただただ地面に傷を残すだけであった。


 やがてその黒い影が再び岩のゴーレムの残骸の前で犬の姿に戻ると突然触手を突き刺し、岩のゴーレムの中から黒い石を取り出した。


 それは以前、ラモンが持っていた物に酷似していた。


 ただ1つ大きな違いがあった。その黒い石はラモン持っていた石が成人男性の親指ほどの大きさだったのに対し、人の頭程もあった。


 黒犬はそれを口が裂けるほど大きく広げ、丸呑みにした。


「逃がしませんよ」


 黒犬へ向けられた金髪少年の手が光り輝くと、黒犬の回りに先程の光る壁が生まれた。


 壁は黒犬の回りを取り囲み、箱形に形を変えた。


 黒犬は触手を出して壁を貫こうとするが全く歯が立たない。



 やがて体を溶かして逃げようと試みるが、壁には隙間が内容で一向に逃げ出す事が出来ない。


 黒犬の固く重い攻撃を長時間受け止める壁を作るとは、さすが王都騎士である。


 このまま黒犬がおとなしく掴まっていてくれれば良いのだが…。そう思った矢先、それは起きた。


 黒犬の体からラモンが黒い石を使った時にでた濃い紫色の煙が体中からが漏れだしていた。


 すると沸騰した水のように黒犬の体がボコボコと膨れ上がり、光の箱の中を黒い影がいっぱいに広がっていった。


 やがて光の壁に亀裂が入り、そこから黒い物体がどんどん出て来てやがて壁が崩壊した。


「…私の魔法を破るなんて」


 金髪の少年はよほど自分の魔法に自信があったのか、目の前の光景が信じられないようだった。


 やがて黒い物体はさらに大きく膨れ上がり、腕、足と順々に人の形を作り出していった。


 顔だけは先程の黒犬の顔が大きくなった様な、半人半獣の姿になった。


 騎士達はその大きさと、未知なる力に恐れを抱きありったけの力で魔法を放つが巨人にダメージは無い。


 隊長らしき口ひげを生やした男が、槍を構えると自身に緑色の強化魔法を使い地面にひびが入るほど力強く大地を踏みしめて投擲した。


 強化魔法を使った投擲のスピードは凄まじく、閃光の様に黒い巨大な人形へ向かう。


 体に槍がぶつかると、耳をつんざく様な金属音がしたがそれでも傷一つつける事ができなかった。


 すると突然念話が聞こえ、その場にいる騎士達の動きを止めた。


「銀のゴーレム使いよ、今回は楽しませてもらった。再び相見えようぞ!」


 やがて黒犬は再び体を溶かして地面に体を広げると、建物の影に潜んでどこかに消えてしまった。


 体を溶かす前に、黒犬が私を見て一瞬ニヤリと笑ったような気がした。


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