ネコの気まぐれ放浪記
「にゃー。うにゃーん。」
今日は日曜日。
でもだれも遊んでくれないから、
縁台でいつものようにくつろいでいる。
「あたしも人間だったら、ご主人様と一緒におでかけできたのに…」
てか、あたしは野良猫だから寂しくないし。
と言いながらも、寂しいのが本心だ。
だからって、人間に姿を変えることなんか
できるわけがない。
あきらめて、狩りにでも出かけるかにゃ。
こうして、あたしは家の周辺をゆっくりと
歩き始めた。
さっそく、近所のおばさん集団に遭遇した。
「今日も可愛いわね~。」
「抱っこしてもいいかしら?」
あたしはこのおばさん集団はちょっと苦手だ。
一番さわられたくないしっぽやお腹を平気で
さわってくるから。
いつもは圧力に負けて抵抗できないけど、今日は
なぜか鋭い牙で噛みつくことに成功した。
「ちょっとちょっと。今日はいつもよりも元気があっていいわね~。」
おばさん集団は怒るどころか、笑いながらそう言った。そして、
「私たちもあんたにエネルギーを分けてもらいたいわ。」
と言って、またぺちゃくちゃしゃべりながらどこかへ行ってしまった。
「焦ったにゃ…でも、これで解放されたにゃ♪」
あたしはさっきよりも軽やかな足取りで、再び歩き始めた。
「チュンチュン。チュンチュン。」
30m先に、すずめがいた。
見つけたら、あとはもうまっしぐら。
すずめの元までたどり着くと、野生動物としての
威力を思う存分発揮した。
必死に逃げ回るすずめと、必死にそれを追いかけるあたし。
2分くらい経って、ついにすずめはあたしに足を噛みつかれ、動けなくなってしまった。
すずめを近くの畑までくわえて放置し、あたしは
勝ち誇った表情でまた歩き始めた。
と、そのとき…
「ぐぅ~。」
あたしは、お腹がすいてきたのだ。
「すずめもいいけど、やっぱりキャットフードが食べたいにゃー。」
そう言って、一度来た道を引き返し、
優しいおばあちゃんにキャットフードをもらって、
思う存分お昼寝をしたのであった。