プロローグ~憧れのクラスⅡ~
ずっと書きたかったRPG風?の物語です。とりあえず設定と登場人物をまとめたいです
「実技試験そこまでッ!!」
茶髪の青年が10センチも体格が違う男の剣を自らの剣で遠くに飛ばしたと同時に教官のその声は響いた。
「クラスⅢ ヴァンシス・アウロ。この度の試験でクラスⅡに昇格だ。」
「!よっしゃっ!!」
名前が呼ばれれば鞘に収めてからガッツポーズをした青年の名はヴァンシス。歳は今年で15になるので一年に一クラスと安定した昇格である。
ヴァンシスが通っているのは勇者育成学園という。
勇者育成学園は文字通りこの世界を支配しようとしている魔王を倒すことが出来る"勇者"を育成するための学園だ。
10歳から入学することができ 親元から離れ寮での仲間との生活になる。
クラスⅦから始まるのだが年齢ではなく実技、頭脳での実力で上がっている厳しい世界だ。
そのため低いクラスにずっと居座り続け年下の連中に囲まれるのに耐えきれず退学し村に戻り親の農業の手伝いする生徒も少なくはない。
なぜ彼らはこんな生活をしているのか。
それは彼らが生まれる500年前に遡る。
人間界と魔界は昔からお互いの存在を知っていたがどちらとも進行しないという約束を定め平和に暮らしていた。
しかし魔界の長、魔王がその定めを破り魔物を人間界に放ち進行してきたのだ。
突然獰猛な魔物が襲ってきたために人間界側の人口は全体の半分までに減ってしまった。
人々はこのまま魔王の手によって死ぬのを待つだけだと思ったとき勇者とその仲間がどこからか現れ反撃を始めた。
勇者とその仲間は圧倒的な力で魔物を倒しとうとう魔界にたどり着き魔王との決戦が始まった。
数日にも及ぶ戦いでついに勇者一行は魔王を倒し人間界に平和をもたらした。
しかしその500年後国中の占い師が客の願いを聞こうと水晶に目を通したりカードを使ったりするとどんな願いごとでも結果は同じで"魔王が復活する"ということしか分からない事件が起こった。
このことで国民はパニックになり暴動で何人か負傷者も出てしまった。
この結果を受け作られたのが勇者育成学園というわけだ。
当初は大切な息子や娘を戦わせるなんて…という親たちの声もあり10歳の子供の一割ぐらいしか入学を希望しなかったが、500年前のように"勇者"しか魔王への対策がないとわかったのか10年後には全体の七割が希望するまで伸びた。
「ヴァン!クラスⅡ受かったんだね、おめでとう!」
実技試験を終えそこから近くの木陰で休んでいるとポニーテールの少女が駆け寄ってきた。
「ノルン…魔術試験は終わったのか?」
「うん、私もクラスⅡだよ!」
ぐっ、と笑いながら親指をたてる少女はノルン・シックザーク。ヴァンシスとは幼馴染みだ。彼女はヴァンシスの剣技コースとは違い魔術コースを選択しているため試験会場が違ったのだ。
「クラスⅡってことは班も新しくなるね~」
「だな。にしてもクラスⅢは退屈だったな…」
楽しみにしていたモンスターを相手とした実習も少なくあったとしても雑魚だったため退屈に感じた一年間をふと思い出す。
「面白い、面白くないで実習受けてたらいつか怪我するよ?」
「そのときはノルンに回復魔法かけてもらえばいいや」
「そんなことのために魔術学んでなんだからね!」
へーへー、と世話焼きな幼馴染みをあしらってから寮に戻る。
もう五年も住んでるため実家より住み心地がよくなってしまった自室にはいればベットに寝転ぶ。
男子寮はいつも騒がしいのだがまだ試験中なのか人の声は聞こえない。
(しばらくは殺伐とした空気と退学はあるかな…)
ヴァンシスは春になる前のこの時期があまり好きではない。試験前は同じクラスの友人が試験後は自分が昇格したのに友人が変わらず合う機会がなくなってしまうからだ。しかも会ったとしても周りに話しかけるな、気を使え、と言われ止められるので憂鬱な時期なのだ(まず、彼を知る友人には憂鬱そうには見られないのだが)。
(クラスⅡで強くなって来年は順調にクラスⅠ…んで魔王討伐だな!)
ベットに立て掛けておいた自分の剣を取れば鞘に入れたまま天井に向ける。
最初は重く感じた剣も使い 泥や土の汚れが目立つのに比例して軽くなっていったような気がする。
いつか、この剣で
「魔王討伐だ…!」
ただこの少年はまだ知らない。
クラスⅡでどんな大きな事件が起こるのか
どんな出会いと別れがあるのか
そして、魔王を斬ると決めたその剣が誰を切るかなどまだ知るよしもなかった。
ー続く
誤植してそうで怖いですね…
登場人物がかなりいるので早めにまとめていきたいところです…