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向こう側の少女達

作者: 銀神月美

    向こう側の少女達

                    銀神月美


 朝、騒がしさに目が覚めます。被っている布団から覗くと、部屋の中でみんなが朝早いというのに楽しそうに遊んでいるのです。飛んだり跳ねたりと部屋を走り回っていたり、邪魔されない所で本を読んでいたりとそれぞれに楽しんでいます。騒がしい事この上ない状況ですが、幸いなことに布団の上に乗るなど睡眠の邪魔になるようなことはしてこないので助かります。

 適当に二度寝三度寝して起きると、先程の騒がしさが一変して静かになっていて、みんな疲れて寝てしまっているようです。起こさないように見守りながら、ご飯を作っておりますと、いつの間にやらみんな起きてきたらしく、気付いたら料理の様子を眺めていました。物欲しそうな顔でこちらを見てきますが、邪魔になるので向こうで遊んでいるように言います。そうしてご飯が完成して食事になります。みんなは食事のことなんて気にせずにトランプをするなど遊んでいます。

 遅めの朝ごはんを取ってから身支度を整えて大学へ向かいます。その道すがらみんなが外で遊んでいる光景やら散歩している光景を見ます。車に気を付けながらみんなの様子を見つつ目的地へ急ぎます。

 大学へ到着すると他の大学生に混じってみんなが構内を当然のように闊歩しています。明らかに遊びに来ているみんなに注意をすることなしに教室へ。講義中、偶にみんなが覗くことがります。流石に邪魔をしてはいけないと感じるのかちょっと覗くだけですが、席が空いているとそこに座って話を聞いていることがあります。熱心に頷いているのですが、授業内容をちゃんと理解しているのかは全く分かりません。

 昼食、少し時間をずらしたので食堂にあまり人はいません。適当に注文して席に着くといつの間にか隣に座っていて、こちらを見てにっこりと微笑みかけてきます。見ると休憩をしているらしく、微笑み返すとすぐに遊びに行ってしまいました。

 午後の授業は演習なので流石に誰も覗きに来ることはありませんでした。そして放課になって部室へ。部室には他の部員がいますが、みんなはいません。人が少ない時には現れて本を読んだり適当に談笑したりしていましたが、こう人が多いと部屋が狭くなるので室内には現れないようです。とはいえ、気になるらしく偶に部室の外から中を眺めていることがあります。

 適当に部室で過ごした後はまっすぐに帰ります。今日は買い物の必要はなく、また他に用事もありません。帰り道、行きと同じようにみんながわいわい騒いでいます。近所の小学校の様子を探ろうとしていたり、近所の公園ではしゃぎ回っていたりしています。

 鍵を開けるとみんなが先に部屋へ入って各々好き勝手にします。その様子を見ながら部屋に入るとみんながただいまと出迎えてくれます。

 みんなが見ている中で夕ご飯を食べて、みんなが目を背けている中でお風呂に入って、みんなが眠たそうにしている中で勉強やら寝支度やらをして就寝。その頃にはもうみんなもすっかり寝ています。

 みんなと過ごす毎日はとても楽しくて言葉にするととても平凡な日々になってしまうけれど、でもみんなが楽しそうにしている様子を見ると平凡でも幸せな日々だと感じます。でも、一つ困ったことがあって、それはみんなは向こう側の存在だということで、実体を持っておらず、一緒に遊びたくても遊べないことです。

 いつになったら本当の意味でみんなと楽しく過ごせるでしょうか。その為の答えはもう出ていますので、あとはそれを実行出来るか、それだけです。

 可愛い可愛い少女達、もうすぐみんなの所に行きますので、それまで待っていて下さいな。

無事に卒業したので、節目となる作品ですね。兎に角危ないですね。頭がどうにかなっていますね。

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