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失敗と成功は紙一重、つまり気持ち次第

ちょっと短いかな?

まあ、仕方がなのです。

忙しいのですから!(言い訳)

 村から出る、といっても、城門や周囲に壁があるわけではない。人口せいぜい一万にも満たない村だから、当然といえば当然なのかもしれないが。

 ちなみに、この村は「人狼族の村」というらしい。村の端らへんにある看板的なものに書いたあった。

 いやいや、ネーミング安易すぎだろ。

 と、心の中で突っ込んでおきました。


 村の周りを軽く回ってみたが、結界らしきものは見つからなかった。まず結界がどんなものなのかもわからないわけだが。


 と、思った矢先。

「お、なんか発見」

 飾把魅の木の根元付近に大きな黒い石を見つけた。

 近寄って確認してみると、黒ではなく青だった。いや、青よりも愛に、否、藍に近いのかもしれない。


 藍よりも、愛色に。


 なんてロマンチックかもしれない。どこが?。


 もしかして。と思い、また村の周囲を回るようにして調べたところ、やはりあの藍色の石は等間隔に設置されていた。

 そういえば、石自体にも魔法陣みたいなのが書かれていたような気がする。

 多分、これが結界だ。ということは、あの石は青魔鉱石の塊か、もしくは、加工品か。

 あれが、魔鉱石なのか?、見た目普通の石だったような。


 おお、そうだ、こういう時こそ、あれだ。



【青魔鉱石】

 《性質》青の魔素の塊

 《補足》等間隔、円形に設置することで結界を構築することができる。しかしその場合、一度設置した魔鉱石を魔力が空になり、結界が解除されるまで移動させることはできない。なお、大きさは自由だが、魔力が空になった場合、補充する必要がある。



 これだけ?

 むしろ、謎が深まったような。まず、自然魔力ってなんだ。

 しかも補充って、交換じゃないのか?。あ、移動させれないから交換はできないのか。


 待てよ、確か、性質や補足意外にも見られる情報を選択できるはずだった。

 といっても、他にどんな情報が表示されるかわからないんだけど。

 とりあえず、この青魔鉱石とかいうやつは魔法に関係しているはずだ、そこらへんの情報が欲しいな。



【青魔鉱石】

 《用法》右手の甲に当てることで魔力を体内に補充できる。魔法職の者はそのまま自然魔力へ、以外の者は付加魔力へと変換される。



 し、自然魔力!?。また、新しい単語かよ......。

 付加魔力ってやつもわからんし。『全能の知識』頼りだよこんちくしょう。



【青魔鉱石】

 《属性》青。自然魔力時は水、付加魔力時は敏捷力強化。



 属性か。

 ほうほう、ようやくわかってきた。つまりは、この魔力を体内に取り込めば敏捷力強化ができて、魔術師ならそのまま魔法が使えるのか。

 そうか、だから、エストルさんは赤魔鉱石をくれたんだな。確かに、戦闘以外では取り込む必要はないし。

 そして多分赤魔鉱石も青魔鉱石と似たような感じなんだな。

 とりあえず、属性確認しとくか。



【赤魔鉱石】

 《属性》赤。自然魔力時は炎、属性魔力時は筋力強化。



 ほうほう、そうですかそうですか。

 とにもかくにも、まずは実際に試してみるか。


 エストルさんからもらった赤魔鉱石、色は赤というより滅赤(けしあか)と呼ばれる灰色がかった薄い赤色だ。


 それを、右手の甲に当てた。


 赤魔鉱石の先端がて手の甲に触れたかと思うと、ぷにょん、とスライム状に柔らかくなり、皮膚に溶けていった。

 エネルギーが、否、魔力が血管を流れていくような感覚をヒロトは堪能した。


「っぷはぁ」

「お、おお?なんか体が軽くなったというか、力がみなぎるというか」

「す、すごい、魔力すごい!」

「けど......、なんか物足りない」


 と、愚痴をこぼしたとき、右手の甲が疼いた気がした。

 同時に、文字が浮かんでいた。


 『レベル:1

  新しいスタイル、を、獲得しました』


「あたらしいすたいる?」

 また、新単語だ。

 なんなんだよ。多すぎねぇか。俺だけなのか、俺が馬鹿だからなのか?。


 なんとなく気になって右手の文字に触れてみた。


 『レベル:1

  スタイル:小人(しょうじん)

  獲得済み:旅人 魔法使い』


 文字が頭に浮かぶ。


 ん?これは、『全能の知識』ではないな。

 普通なら、【】が出るはずだし。

 と、いうことは、ゲームでいうステータス画面か。


 待て、小人って子供って意味じゃないのか。俺はまだ子供なのか、いやもう中学二年生だ。バスの運賃だって大人料金だぞ。

 あ、ちがう。確か国語の授業で「小人物、度量の狭い者、つまらないもの」ってならったんだ。

 つまり、この小人ってのはそういうことか。なんだそういうことか。



 どっちにしろダメじゃねぇか。



 まあいいか。とにかく、これでやっと異世界らしくなった。

 スタイル、ってのはジョブとかスキルみたいなやつか?、だとしたら、俺は今、小人、旅人、魔術師、になれるわけか。

 あれ、スタイル変更ってどうすんの?



 ......、やっぱり、出ないか。



「チッ、『全能の知識』使えねー」


 スカンッ


 そう思った数瞬後、木の枝がいきなり折れてヒロトの頭を直撃した。



「ぜ、『全能の知識』が使えないわけないですよねー、そうですよねー?」


 どこからか、満足気な声が聞こえた気がした。


 閑話休題


 とにかく、一刻も早く魔術師とやらにスタイル変更して、魔法なるものを行使したい。

 今後の方針が決まった。


「魔法、ってどんなんかなー」

「やっぱ、炎の玉とかかな!?」

「ファイヤー!、なんつってッ!」


 ガサガサ


 突然、ヒロトの表情が固まる。

 そういえば、と、ヒロトは思い出していた。

「魔物が、出るんだっけ?」


 恐る恐る、音がした方向を振り返る。

 草むらに隠れているのか、魔物の姿は見えない。

 かろうじて見えるのは木の根っこのようなもの。浮いているので気根というのだろうか。


 なんだ、また木の枝でも折れたんだな。


 と、ヒロトが肩の力を抜こうとした瞬間。

 木の根っこ、いや、気根が揺れた。動いた、と言ってもいいのかもしれない。

 なぜなら、そのまま気根が――横幅2メートルはあろう道に――とことこ、と出てきたからである。


「うわわわわわわわわわわわ......」

 まじかよやっと魔鉱石の使い方とかわかってきた時にてかまだ武器もなんも持ってないのにエンカウントするとかどんな縛りだクソったれとか考えてるうちに近づいてきてるしどうすればいいんだよ逃げるのか逃げればいいのか!。

 思考回路ショート寸前(もしかしたら、すでにショート済みかもしれないが)のヒロトは、半ば自動的に魔物を追ってきた影に目を向けた。


 男だ、結構体つきはしっかりしている。

 手に持っているのは半曲刀型のファルシオンのようなもの、刀身が黒ずんでいるので素材は鉄だろうか。




 ここで、軽く解説!。

 ファルシオンってのは、中国でいう青竜刀と呼ばれるものに近い。刀身は先端が太く、斧やハンマーのように振り回しても使える。刀身が反り返っているので、日本刀、青竜刀は『湾刀』と呼ばれる。しかし、気をつけなければならないのは、ファルシオンは実際は反り返ってないものが多い。反り返っているのもあるにはあるのだが、一般的なのはやはりまっすぐな刀身だろう。


 って、なんで私が解説してんのよ......。




「せりゃぁッ!!」

 走ってきた勢いのまま男は剣を振りかざす。

 ドスッ

 鈍い音が森に響く。男の剣は魔物に深々と刺さった。致命傷だったのかそのまま魔物は倒れる。

「はぁ、やっとか。ちょこまかと逃げやがって、手こずらせるなよ」


 男が愚痴を言うがヒロトにはもちろん聞こえていない。

 頭がショートしているせいもあるが、それ以前に魔物に目を奪われていたからだ。

 物理的に奪われているわけじゃないが。



 さっきの気根はもちろん魔物なのだが、気根の部分は手足だけだった。胴体はうさぎのような形状をしている。目の色は赤、というより少し黄味がかった茜色(あかねいろ)だった。今はもう閉じていて見えないが。

 肝心の名前は――。



【ラビッ卜・ウッド Lv3】

 《性質》魔物。属性は目の色によって判断できる。性格は穏やか。

 《補足》普段は樹液を吸っている。枝のような手足を使って木に擬態する。擬態時は見た目木のコブ。人の血液を吸うこともある。



 だそうだ。

 ラビット=うさぎ、ウッド=木、か。やっぱり安易だな。

 誰が名前を決めてるんだろうか。


「うん?お前さん見ねぇ顔だが旅人か?」

「......ハッ」

 男に質問されて我に返る。

 同時に顔を上げる。既に魔物を見たせいで開いたまま閉じない口が、一層大きく開いた。

「ん、俺の顔になんかついてんのか?」

「え、あ、いえ、え、と......」



 顔についていました。

 男の顔に、ついていました。

 しかしそれは、普通の人間とは違う場所に付いていました。

 さて、なんでしょう?。



 答えは――。

「み、耳が......」

「あ?、ああ、もしかして俺たち鬼熊族(きぐまぞく)を初めて見るのか?」

 とてもデジャヴを感じされる表情で発せられた単語。

 鬼熊族。

 名のとおり、その男には耳があった。ロルス同様、人間の耳の位置よりやや上部に。

 そして、形状は、丸かった。ミッ○ーマウスほどではないが、しっかりと丸い耳が生えていた。


 ヒロトは、パンパンとお尻についた土を落としながら、ふらりと立ち上がる。

「オーケィ、だ、大丈夫だ、俺ももう慣れたからね、このくらいじゃ驚かねぇよ。ほ、ほら、異世界だし?人間と似た亜人?がいても、お、おかしくはないわけだし?」

「どうした、大丈夫か?足が震えているぞ?」

「う、うっさい!これは、あれだよ、そう、武者震いだ!」

「そ、そうか」

 困惑する鬼熊族。



「と、そうか、まずは自己紹介だな。俺はギルシャート・フィル・ベアリードだ。お前は?」

 鬼熊族が尋ねる。

「ベア、リード......」

 ベア、とは熊の英訳。リードはわからないが、とりあえず、名前の最後に付く言葉が群体名で間違いない。


「おい、お前の名前は?」

 ギルシャートに再び尋ねられ我に返る。

「あ、ああ、ええと、俺は、ヒロト・ウズスキだ。ヒロトでいい」

「そうか、じゃ、俺もギルって呼んでくれ。よろしくな、ヒロト」

「お、おう」

 そう言ってギルは手を握ってくる。

 なんだこのおっさん、馴れ馴れしいな。


 『レベル:13

  スタイル:猟師』


 ......って、馴れ馴れしいわけじゃないのか。

 俺もギルも右手で握手している。つまり、お互いのステータス(の窓的なもの)を触れさせている状態だということだ。

 これが、この世界流のプロフ交換というか、名刺交換に当たるわけか。


 ん?あれ、まてよ。俺のスタイルって確か......。


「小、人......?」

「あ、いや、違うんだ、この方が何かと都合がいいのだ......」

「都合......?、まあいいか」

 なんとかごまかせたようだ。いや、ごまかせたのか?

 そういえば、ギルのレベルは13だが、どうなのだろう、この世界ではそれくらいが普通なのだろうか。


 とにかく、スタイルが猟師ということは、職業も猟師だとして間違いないだろう。

 それなりに体つきもいいし、この時代だとまだ猟銃もないだろうから、剣で狩りをするしかない。事実、さっきは鉄剣を使っていた。


 と、俺が考えにふけっていたら、ギルはラビット・ウッドのところに居た。

 そこにラビット・ウッドの死体はない。やはり、ここは異世界なのである。


 あれ?なんでラビット・ウッドの死体は無くなってるはずなのに、ギルはそこへ行ったんだ?

 なにやら、ギルがこちらに近づいてきたので全能の知識を使ってみる。



【赤魔鉱石】

 《性質》赤の魔素の塊



 あ、補足が削除されてる。まあ、既に見たからわざわざもう一度見る必要はないんだけどね。


 ギルの右手を凝視したら、この表示だ。ということは、ギルは今赤魔鉱石を持っているということになる。

 さっきまでは持ってなかったから、多分、ラビット・ウッドのドロップアイテムか。

 魔鉱石は魔物からしか手に入らないのか?じゃあ、それなりに高級なものなのではないだろうか。


 エストルさんからもらった赤魔鉱石使っちゃったけど、良かったのかな?




「よし、じゃ、とりあえず、俺の村まで来てくれ」

 赤魔鉱石を腰下げ袋に入れるギル。同時に、デジャブをぶち込んでくる。もはや、これデジャブじゃないよね?




「.......、え?」


 使い回しか?固定イベントの使い回しなのか?


 俺が固まっていると、ギルは左手で俺を連れて行こうとする。というか、既に引きずられている。


「ちょ、ま、これ以上の並行イベント攻略は、勘弁してくれよー......。」


 ヒロトのつぶやきは木々の擦れる音に塗りつぶされる。


 エストルさん達との夕食に間に合うんだろうか。

 ヒロトの心配はそこだった。

半年も空いてしまった......。

次からはもっと文章を短くして投稿しようかな......。

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