夢のような、現実のような
(*_ _)人ゴメンナサイ!
本編を読めばわかると思いますが、
今回はストーリーが全く、全然進んでおりません!!
化物語の会話劇みたいなのを書いてみたいなぁと思っていたんですけど
いつの間にか結構書いていて......
それでも笑ってもらえるように頑張りましたが、笑えなかったらすみません!!
てか、さっきから謝ってばっかですみません!!
......本編をどうぞ
「ふんふん~ふん~♪」
鼻歌が聞こえる。
とても高いが、不思議と聞き入ってしまう音。女の子のようだ。
正直このまま、歌声を聞きながら至福の二度寝に入りたいが、いかんせん完全に頭が覚めてしまっている。この状態から二度寝に入るとむしろ不快になるし、なおかつ今日は平日である。
学校に行かなければ。
「今日も頑張るかー!.......って、んん?」
女の人の声?なぜ?、お母さんは基本俺の部屋に入ってこないし、まずあんなに声は高くない。だとしたら何か、妹か?。ああ、なんだ妹か。
はぁ、妹め、びっくりしたじゃないか......俺の部屋に入ってくるときはノックをしろとあれほど言ったのに......この、お茶目さんめ!。
「......って、んなわけねぇだろぉぉぉ!!!、俺に妹はいないわっ!!」
「そ、そりゃぁ、PTPの中には義妹も実妹もいるけど......、じゃなくて!」
「ッ、この可愛らしい歌声の子は誰だよ!」
と、半ヤケになりながら先程から聞こえていた歌声の主を振り返る。
どんな中の人かと思い、どうせ中の人は中の人なんだろ、とも思い、振り向いた。
・・・・・・・・・・。
絶句した。そこには煌びやか金髪を腰のところまで垂らした少女が立っていた。大人のような佇まいだが、身長が身長なので、やっぱり少女である。
まるで、天使。いや、天使そのもの。
証拠に、頭上に輪っかが浮いている。蛍光灯のひかりが澱んで見えるほど澄んだ色合いだ。
それに呼応するように、背中には双つの翼が生えていた。光の粒子を集めて作ったような翼は、とても神々しく、とてつもなく美しかった。
「な、え?......え?」
不可思議、昔、算数の授業で暇なときにペラペラと教科書を見ていたときにたまたま見つけた単語だ。
......ではなく、実に不思議だ。俺はこんな天使みたいな、いや、天使の知り合いなどいない。そのような仮装をするような頼もしい友達もいない。前も言ったように、俺はいわゆる『ぼっち』なのだ。
「そんなことよりも!、ここはどこだ!?俺はさっきまで家のベッドに寝ていたはずだぞ!?」
ビクッ!
少女改め、天使が反応した。大声を出したせいだろうが、さっき気づかれなかったのは、それだけ『作業』に没頭していたということか。
「ん?.......あ、あれ?、なんでここに?」
と、天使がソプラノボイスで問いてくる。
そんなことはこっちが聞きたい。
と、言いたいが、そう言うと話がだるくなる。なので、この場合は相手に説明を求めるのが定石だ。
中二病患者は、毎日妄想世界を冒険しているだけに、このような状況でも「冷静に」対処できるのだ!。
「ってなわけで、まずは自己紹介かな?、俺は宇須鍬大翔、ヒロトって呼んでくれ」
「へ?、あ、ああ宇須鍬大翔ね、私は......天使でいいわ」
やっぱり天使なのか。
いや、こんな素直に信じていいのだろうか?まあ、いいか、それほど大事なことじゃないし。
「天使とは言っても、天の使者じゃなくて天の支配者なんだけどね......」
「ん?なんか言った?」
「う、ううん、なにも言ってないよ?」
「そう?、じゃ、本題に入ろうか」
「本題?」
「まずは、......ここはどこ?」
「あなたは誰?」
「私は誰?......ってそういうことじゃなく!」
「ああ、この場所のことね」
天使はそう言うと口元に微笑を浮かべ、いたずらをする子供のように笑った。
「フフッ、知りたい?なんであなたがここにいるのか」
「し、知りたい......」
ゴクリ、と漫画でしか見ることのできない状況に今更ながら緊張してくる。
この可愛らしい天使からどんな言葉が紡がれるのか、吉報か悲報か。
「この空間はねぇ......そう、あなたの夢の中よ!」
「そ、そうなのか!」
「そして私はあなたの性欲が生んだ存在、つまり愛玩具よ!」
「ま、まじか、俺こんな少女が、好みだったのか......」
「しかし!、私はあなたの愛玩具になる気なんて、さらさら無いわ!」
「な、なんだってー!」
「でも、落胆しないでちょうだい、ここは夢の中、あなたが望んだことが全て実現するわ!」
「そ、それはとてもいいじゃないですかー!」
「そう、だから今すぐ新しい愛玩具を創造するのよ」
「OK!、分かりました!、僕、頑張ります!」
天使に促されて、僕は想像した。新しい愛玩具、それもこの天使よりももっと美しい人を。
「ツインテールで、超絶可愛くて、少しツンデレ気味で、立ち位置としては妹な愛玩具よ!」
「今、僕の前に想像し創造され、召喚されよ!」
シーン......
何も、起きなかった。
「も、もしかして僕の想像力が?、いや、確かにいた、僕の脳内には確かにツインテールで、超絶可愛くて、少しツンデレ気味で、妹な愛玩具が、確かにいた。いたはずなんだ、なのになぜ?どういうことだ?」
「ププッ......」
天使が口を押さえて笑っていた。やはりこの天使は笑顔が子供のようでとても可愛らしい。
「あ、あなた、本気で、し、信じるとか、プッ、ププ、お、おもしろ.....」
カァーっと顔が熱くなる。今なら顔でお湯を沸ける自信がある。
どうやら、僕は......、俺は騙されたらしい(いつの間にか、一人称が僕になっている!?)。
「お前、騙しやがったな!」
「だ、だってぇ、こんなに簡単とは思わなくてっ、ププッ」
「わ、笑うなぁ!、うぅ、こんなんじゃ話が進まない!」
「わ、わかったから、ちょっと、待っ......」
そう言って天使は、たっぷり五分間笑い続けた。
とても恥ずかしかったが、天使の笑ってる姿は和むので良しとした。
「コホンッ、では、気を取り直して」
「お、おう」
未だに頬は紅潮してるし、呼吸も安定していないが、一応落ち着きは取り戻したらしい。
そんな天使が、事の説明を始める。
「まず、あなたの最初の質問から答えるわ」
「俺の質問って言うと、この空間のことか?」
そこで天使はさっきのことを思い出したのか、一瞬、表情が崩れそうになる。
だが、流石にピークは過ぎたのか、笑い出すことはなかった。
「この空間は、まあ、いわゆる、狭間というやつです」
「狭間?ってことは、ここはさしずめ時空の狭間ってことか!?」
まさかの中二病設定である。ヒロトは表面に出さないように気をつけながら、内側では万歳をしていた。
だって、狭間だぜ!?、しかも、『時空』の!、嬉しいに決まってるだろ!?
「バンザーイ!......ハッ!!」
「......?」
「いや、なんでもない。続けて」
「えーと......喜んでるとこ悪いんですけど、ここ、『時空』の狭間ではないからね?」
「?、でもさっき、狭間って言ったじゃん」
「そうは言ったけど......、ああもうだるいなぁ!」
「いやいや、天使ともあろうものが『だるい』とか言うなよ」
「そうね、確かに、訂正するわ」
おお、意外と素直だなぁ。こういう面は好感が持てる。
「......正直、面倒くさい」
前言撤回。やっぱ可愛くない。
容姿はいいんだけどなぁ、タイプ的には完璧に近いんだけど(ツインテールなら最高)、なぜか好きになれない。なぜだ?。
中学生真っ只中の少年は、性欲は人一倍あるものの、濁りのない純粋な恋心、つまり、本当の意味での『好き』をまだ経験していなかったりする。
「で、時空の狭間じゃなかったらなんだってんだよ」
「うーん......あなたにも分かるように言うと......」
「おう、このバカで無知で理解力皆無の俺にも分かりやすくいうと?」
天使の言い方が気に入らなかったので、皮肉混じりに(皮肉度99%)相槌を打つ。
「......概念の狭間ってところかな」
「概念の狭間ぁ?」
ヒロトの首が90度近く右に傾く。
中二病のヒロトは、例に漏れず、神話、武器、魔法、をこよなく愛す。しかし、ラノベはたくさん読んできたもの、文学的表現、読解力などはさほど培われなかった。
ヒロトが頭に疑問符を浮かべたまま黙っていると、天使もなぜかヒロトと同じように首を90度曲げた。
なんだか、かわいい奴でも首をここまで曲げると不気味だな。
なんて言葉は心の奥底にしまった。ついでに南京錠までかけたから、簡単には開錠されまい。
「どういうことだ?まず、概念ってなんだ?」
「ええーと、概念とは......、うーん......あ!、硬いもの、といえば?」
「なんだよいきなり、硬いもの?、硬いものといえば......」
「思い浮かべましたね?、じゃあ、これはどうですか?」
パンッ、と天使は両手を叩いた。
すると、何もない、否、なかったところにいきなり小石が出現した。
元からそこにあったように感じるのだから不可思議極まりない。
「石......か?、それがどうしたんだよ」
「この石はどうですか?硬いですか?柔らかいですか?」
「そりゃ硬いだろ、人間の素手の力じゃ壊しづらいんだから」
「そうです!、この石は硬い!、あなた程度では割れないくらいに硬い!」
「くッ、あ、ああ、そうだな」
いちいち癇に障る言い方をする金髪ロリ少女もとい天使である。
「共通意識として石などは『硬い』と考えます。『硬い』という形容詞だけでは想像するときに、硬度、重さ、大きさなど個人差が出てしまいます。しかし、石を認識するときは『硬い』と言うことができるのです!」
「つまりその共通意識が、概念、ってことか」
「はい!、そういうことなのです!」
「じゃあ、その概念の『狭間』ってのはどこだ?」
「見るものによって認識が違う、つまり、認識を共有できないところ、言い換えるなら『概念の外側』みたいなところです」
「へぇ、じゃあ、ここって俺以外だと違って見えたりするのか?」
「そうですよ?、私とあなたでさえ多分違って見えてるのですから」
なんだかムズカシイ考え方だな。
ヒロトはあまり理解できてないようだった。しかし、それも無理はない、なぜなら概念の狭間であるここは、認識するための共通意識が通用しない。よって、最初に天使がいった「ここは夢の中よ」もあながち間違いではないのである。
「で、なんで俺が、この......『概念の狭間』?、にいるんだ?」
「そ、それは......、手違い、みたいな?」
顎に人差し指を当て、首をかしげる。
普通の人がやるとあざとく見える仕草も、この天使がすると可愛らしく見えてしまうから不思議である。
「みたいな?、じゃねぇよ。ちゃんと説明しろ」
「えーと、どこから話したらいいか......」
「最初っからでお願いします」
「うぅ、お、怒らないでね?怒っちゃダメだからね?」
上目遣いでおねだりをしてくる天使。思わず「はい!」と、従順に返事してしまいそうになる。
くそぅ、男の本能が憎い!。
「私はね、まあ、いわゆる創造神ってやつ。この世のすべてを作ったていうか......基礎になるものを作ったっていう感じなんだけど......」
「あれ?天使じゃないのか?」
「だから、天の使者じゃなくて、『天の支配者』だって言ったじゃん」
「言ったっけ?。まあいいや、続き、どうぞ」
「でまあ、昔、地球を作ったんだけど......、もう飽きちゃってさ」
「いきなりスケールでかいな」
「で、新しい世界を作ってみようー、って感じになっちゃって......」
「そんな軽い気持ちでつくっちゃったのー」
「その異世界に......地球人を、送り込んじゃった、テヘッ」
「.............は?」
奇想天外摩訶不思議、いやいや、スケールがでかすぎます。
なんなのこの子、地球を作った?。こいつが?。俺より身長が低いこいつが?。しかも新しい世界を作って地球人を送り込んだって、......ごめん、理解できない、さっきの『概念の狭間』ですら無理な俺に、これはいわゆる『キャパシティオーバー』というやつです。
俺が今の今まで過ごしてきた常識ってのを軽く飛び越えちゃってるな。
「理解不能、だが、とりあえず、その地球人ってのは何人送り込んだんだ?。100人500人?」
「3..........」
「3、千人?、流石にそれは......」
流石にねぇ、三千人は、多すぎだろ。せいぜい1000人ぐらいだな。
「3..........万人」
「......ん?うまく聞こえなかった、もう一回言って?」
「3万人!」
顔を真っ赤にして叫ぶ天使。
しかし、その可愛らしい口から発せられた言葉は想像を絶するものだった。
3万人、一市町村程度なら作れそうな人口である。全人類65億人を突破した地球であるが、3万人が消えたとなればニュースどころの話ではないだろう。
世界は大混乱とまではいかないとしても、いや、もしかしたらもっと悲惨なことになっているかもしれない。
それを、この天使は異世界に連れ込んだというのだ、『飽きたから』という理由で。
「わ、私だって最初はこんなに送り込む気はなかったわよ。でも、あいつもこいつも、ってやっていったら、いつの間にか3万人ぐらい送り込んでて......」
天使は幼く小さい体を一層縮めて答える。
それをヒロトは冷めた目で見て......。
「で、その異世界はどんなところなんだ」
「......は?」
いなかった。
むしろとても情熱的な目で見ていた。
中二病であり、バカでもあるヒロトは、地球のことよりも漫画みたいなこの展開が魅力的で、とても重要なのである。
「だから、異世界といったら剣と魔法の世界だろ?だったら、お前の作った世界にも剣と魔法は存在するのかって聞いているんだ」
「へ?、あ、ああ、まあ、そりゃあ、楽しい世界ってことで作ったし、ゲームみたいな感じにしてはいるけど......」
天使は言いよどむ。自分は怒られるだろうと思っていたのに、ヒロトはむしろ喜んでる。しかも異世界のことに興味津々でなんか暑苦しい。
「......、っキターー!!、これだよこれ!!、この展開!!夢にまでに見たどころか、授業中それしか考えたことがないっていうぐらい望んだ展開っ!!」
ヒロトは体を大きく広げ、喜びを全身で表す。
手のひらをきつく握り締め、ガッツポーズを取る。
異世界ファンタジーはヒロトがもっとも好きなジャンルであり。一番最初に読んだ作品でもある。
「異世界かぁ、はぁ、なんか一層緊張してきた。やべ、職業とかどうしよう......」
しかし、さっきとは一転、声を抑え、呟くようにしゃべりだす。
ヒロトはこれまで読んできた&やってきた異世界ファンタジーものの知識を総動員してシュミレーションを開始した。
「え、っと、魔法なら、やっぱり炎系だよなぁ、あ、いや、氷ってのもあり......」
そんな様子を見ていた天使は、罪悪感を感じていたの自分がバカらしくなり、同時に、ヒロトの興奮っぷりに呆れていた。
「よ、喜んでるようで何よりだわ......」
「ハッ!!、」
唐突に、ヒロトは顔を上げ、驚いたような表情を浮かべた。
「なによ?、まだなにか聞きたいの?」
「なんでみんな異世界にいるのに、俺だけここにいるんだ?」
3万人はすでに異世界に送られてる、と天使がいっていた。しかし、ヒロトはこの不思議な空間に未だとどまっている。
「え?今頃?、ていうかさっき話したはずだけど?」
「みんなに先越されるじゃないか!、早く俺を異世界に連れて行ってくれ!」
「はいはい、わかってるわよ。ほんと五月蝿い奴。まあ、いいわ、特別、あなたにプレゼントしてあげる」
「は?なんだプレゼント?」
「右手出して」
「お、おお」
右手を天使の前に出す。あまり女子と接触したことのないヒロトはこういうことでも緊張してしまう。
ピトッ
「んんんnー!!」
声にならない悲鳴をあげる。
さっきも言ったように、ヒロトには女子免疫力がない。それなのに何を思ったか天使はヒロトの右手を両手で包み込んだ。
「な、なにしてんだよっ」
「ちょと静かにして」
目を閉じ真剣な表情で答える天使。
程なくして、少しずつ手が暖かくなってきたかと思うと、天使の指の隙間から光が漏れてきた。その光に合わせて、血管を伝いながらエネルギー的なものが体中を巡った。......気がした。
「はい、終わり」
「こ、これだけ?」
「あんまりチート過ぎたら面白くないじゃない?」
「ま、まあ、そうだけど......」
「あなたは私が作った世界で特別な存在よ。面白くなるようにその力を与えたんだから精一杯異世界を面白くして、私を楽しませなさい」
「と、特別......、うん、そうだな、せいぜい面白くなるよう頑張ってくるぜ!」
「そう、じゃ、いってらっしゃい」
「おう!、じゃあな天使」
ヒロトが元気な声で答えると、足元から光が放射線状に伸び、彼を包み込んだ。
生暖かいエネルギーが体を包み込むと、フッ、と足元がおぼつかなくなり、浮遊感と同時に意識が薄れた。
「あ、あと、私の本当の名前は、天使じゃなく、『ガイア』、だから」
天使、いや、『ガイア』の声を最後に、ヒロトは光に連れられて異世界へと旅立った。
「あれ?、待てよ?、あまり説明されてない気が......」
とにかく、旅立ったのである。
解説
『ガイア』はギリシア神話で「原初神」と呼ばれ、一番最初に生まれた神とされています。(カオス=混沌を原初神とする考え方もあります)
大地神でもあり創造神でもあり、すべての(ギリシア神話の)産みの親でもあります。
従って、異世界を作ったというのは読んで字の如く、異世界を「産んだ」のです。
一応、これからも、いろいろな神々を紹介、登場させていく予定なので、そのつど解説をしていければいいな、と思っています。
ここまで読んでくださってありがとうございます。