No.4 父の部屋
あまりの部屋の壮絶さに辟易していた俺だが、
とりあえず頼まれたモノを捜し始めた。
確かメールにはトランクと書いてあったはずだ。
しかし、この惨状では見つけ出すのは相当難しいだろう。
パッと見ただけでも、床の3分の2以上が物で見えない。
恐る恐る中に踏み込むと、かび臭い匂いがした。
とりあえず、そこらへんにある書類をどかすと、
そこここで小さい雪崩が起きた。
埃が舞って、もの凄く呼吸器官にはよくなさそうだ。
我慢して探っていると、部屋の奥に、大きな四角い物が見えた。
近づいてみると、確かに黒い大きなトランクがあった。
「これか・・・。」
傍まで行って、トランクの取っ手を掴む。
これでやっと帰れる、とトランクを運ぼうとした。
が。
(お、重い・・・!!)
何だこの重さ。
あまりの重さに、一旦トランクを降ろした。
まさか、人とか入ってないよな・・・
親父、ずっと実験狂だと思ってたが、とうとう人をモルモットとかに・・・
いやいや、ありえん。
だが、この重さはなんなのだろう。
陽さんには悪いが、ちょっと中を確かめさせて貰おう。
ほんとにちょっとだけ、蓋を少し開けるだけだ・・・
トランクの金具を外し、そっと蓋を開ける。
そこにあったのは、ただの球体だった。
なんだこれ。
トランクのなかには、クッションが敷かれ、そこに球体があった。
白いソレは、両手で抱えられるほどの大きさだ。
ジッと見ていたが、それが何なのかまったく分からなかったので、
俺はまたトランクを閉じて、父の部屋をあとにした。