No.2 きっかけ
家に帰り、携帯をチェックしていると、
姉や斉藤達の他に、知らないアドレスからメールが来ていた。
(ダイレクトメールの類かな?)
一応中身を覗いてみると、そこにはある人の名前が書いてあった。
父さんの友人であり、ロボットに関しては世界的権威を持つ人。
伽狭 陽。
昔、父と一緒に同じ研究をしていた人だ。
・・・十数年前、家庭用人工知能ロボットを世界で初めて作り、革命を起こした人。
昔はよく遊んでくれたりして、俺の携帯にもアドレスは入っていた。
だけどもう何年も会っていない。
いったい、何の用なのだろうか。
『悪いんだが、君のお父さんの部屋にあるトランクを、1人で取ってきて欲しい。
そして君の部屋に置いといてくれ。後で私が取りに行く。』
そこでメールは終わってた。
メールの用件は、たいしたものではない、ただの荷物の移動だった。
(だけど1人で?・・・どういう事だ。)
どこか引っかかる文章。
それ以前に、とんでもなく怪しい香りがする。
「これ、しなきゃいけないのか・・・?」
父の部屋は、すこし離れた別荘にある。
何でも実験に没頭するために、本家とは離れた所に別荘を造ったらしい。
別荘といっても、見た目や中は、実験場みたいになっている。
あまり近づきたくない所だ。
なぜなら、父は実験中の事故で亡くなったからだ。
薬品の加減を間違えたらしい。
そんな場所には、生きたくないのが本音だが、
父の友人がわざわざメールしてくるほどだ。
行くしかないのだろう。
「・・・面倒だな・・・」