No.14 決意
「まず、何故ナイトメアシリーズの最終機を探す羽目になったのか、からだな。
実は少年に言っておかなくてはいけないことがあるんだ。
ナイトメアシリーズは最終機を入れて12体なんだが、
どうやら最終機の他に、2号機と4号機を除く、
あと9の機体も探さなくてはいけなくなったかもしれない。」
「な、何でですか?」
いきなり頼まれ事のハードルが上がったので、俺はギョッとした。
全部って、一体何体探さなきゃいけないんだ!?
「4号機との接触で、どうやらある事が分かった。
・・・自己制御システムという、マスター以外の命令では行動を起こさない、
というのが組み込まれているんだが、それが4号機は何故か作動しなかった。」
「作動しなかった?」
「あぁ。」
さっきいれていたらしい、コーヒーを飲みながら、陽さんは話し続けた。
「最終機は、まずシステム自体がまだ組み込まれていなかったから、
あの時のように暴れたら、制御するものがない。
だから、捜索や捕獲、場合によっては処分も考えていた。
しかし、4号機の場合、自己制御システムが組み込まれていたが、
作動しなくなっていた。
・・・自己制御システムを、作動させなくする別のシステムが入っていたんだ。」
「それって、わざとこういう状態にさせるために、
誰かが細工した、って事ですか?」
「・・・そうだ。」
絶句した俺を、不思議そうにエシカが見つめてくる。
なんでもないよ、と頭を撫でると、嬉しそうに笑った。
「・・・一体、誰がそんな事を・・・」
「わからない。だが、このまま放っておいたら、さらに事態は悪化する。
誰かがこんな悪趣味な事を進める前に、こちらで先に保護するしかない。
手伝ってくれるか?」
・・・たぶん、陽さんが言っている事は、すごく大変な事だ。
恐らく、何体もあるロボットを見つけて、保護する。
そのロボットが攻撃してきたら、応戦しなくてはならない。
それを、誰かが細工する前に、できるだけ早く行う。
ほとんど知識も経験もない俺には、ハッキリ言って出来ない確率のほうが高い。
でも、俺は2号機とエシカのマスターになった。
たとえ、今は非常事態を乗り切るための、かりそめのマスターだとしても。
2人がプログラムで忠誠心を誓わされているとしても。
それでも俺は、今だけでもマスターらしい事をしてやりたい。
2人の仲間が異常事態になっているのを、マスターとして見て見ぬふりは出来ない。
「・・・わかりました。
俺が出来る事だったら、何でもやります。」
そう言った俺に、陽さんは安堵したように息をついた。
「そう言ってもらえると助かる。
ただ、無理はしないでくれ。前言ったように、本当に危険だからな。」
陽さんは嬉しそうだが、哀しそうでもある、複雑な表情をした。
『だいじょうぶ』
驚いて横を見ると、エシカが陽さんをまっすぐ見つめていった。
『わたしがますたーをまもる。』
「・・・ありがとう。」
思わず涙が出そうになったが、それを何とか我慢して、エシカの頭を撫でた。
エシカは、くすぐったそうに笑っていた。
追加情報
【ナイトメアシリーズ】
ナイトメアシリーズは全12体。
【nms-04】
設定が7歳なので、喋る時はかなり幼児っぽくなってしまう。
あと漢字とか読めない。
ただし、自分の名前はちゃんと言える。