No.13 4号機
「あの・・・普通に近づいていて大丈夫なんですか?」
昨日あれだけ凄まじい殺し合いを見たせいで、
すっかり危険というイメージが付いてしまった俺は、
普通に近づいて、4号機の傍に立っている陽さんを信じられない目で見た。
「あぁ・・・。もう大丈夫だ。
4号機はマスターの命令が無ければ、暴れる事はない。」
「そうなんですか。」
陽さんに説明されて俺は、とりあえず『安心』と適当に考えといた。
おずおずと4号機の傍に近寄ると、
今まで静かに眠るように椅子に座っていた彼女が、
いきなり目を開けてこっちを見た。
「うわあっ」
思わずびっくりすると、陽さんに爆笑された。
(そ、そんなに笑わなくても・・・)
「わ、悪い・・・ククッ。
4号機には、お前が【master】だとインプットしてあるからな。
主人が傍に来たと思って、スリープ状態から戻っただけだ。
そう怯えてやると、4号機が傷つくぞ。
ちゃんと感情も持ってるからな。」
「そうなんですか!?」
ビックリだ。
さすが人工知能ロボットとはいえ、感情まで持ってるとは。
「まぁ、ホント喜怒哀楽くらいしか無いけどな。
4号機、あいさつするか?」
『はい』
そうやって、4号機は椅子から立ち上がると、俺の目の前へ立った。
『はじめまして。ますたー。
わたしはnms-04、エシカです。よろしくおねがいします』
そう言うと、ぺこりとお辞儀をした。
「よろしく。」
こちらもお辞儀をする。
「・・・あれ、今エシカっていった?」
何だそれ、と不思議そうにしていた俺に、
「それはナイトメアシリーズの、個体識別名称だ。
シリアルナンバーとは別の名前だな。」と陽さんが説明してくれた。
なるほど、じゃぁエシカでよんだほうがいいかな?と一応聞いてみると、
『そっちの方がいい』と言われたので、そう呼ぶことにした。
じゃぁ、2号機の方も名前があるのかな?
エシカに聞いてみたら『知らない』と言われた。
あとで本人に聞いてみよう。
・・・しかし、改めてみると、ほんと綺麗だなー。いや、可愛いか?
髪も綺麗な薄紫で、目は濃い紫だが、透明感がある。
あの暗い空間では分からなかったが、日に当たるとキラキラと輝いている。
背はもの凄く低い。体型からして小学生3年生くらいだろうか。
「・・・あー、自己紹介は終わったみたい、だな。
それでは、昨日の事やナイトメアシリーズについて、
詳しく説明する約束だったんだが、聞くか?」
「はい。お願いします。」
陽さんが椅子に座ったので、向かいのソファーに座った。
するとエシカもトコトコとついてきて、ちょこんと俺の隣に座った。
「・・・ホントに4号機に気に入られたな。お前・・・」
私にはそんなことしてくれなかった、と軽く落ち込んでいる陽さんをなだめ、
とりあえず説明してもらう事になった。