No.9 本体
「・・・え?」
さっきの球体から、女の子・・・?
「よし、なんとか成功したみたいだな。」
陽さんが安堵のため息を漏らす。
俺らの目の前には、1人の少女がいた。
腰ぐらいの白い髪の毛、肌も透き通るくらい白い。
その代わり、目は薄いピンクで彩られている。
服は真っ白なワンピースだ。
彼女はしばらく静止し虚空を見つめていたが、ふいに俺に視線を向けた。
『・・・現在状況、nms-04のテリトリー圏内。攻撃を受けています。
どういたしますか?』
良く聞くと、少女の声に機械音声が混じったその声は、ほぼ人間と変わらない。
「すごい・・・これがロボット・・・?」
「少年、ぼんやりしてる暇はないぞ。
体が異常を感じてなくても、精神は確実にダメージを負っている。
このテリトリーから抜けだすには、
本体のnms-04を叩かなくてはいけない。彼女に攻撃命令を出してくれ。」
「攻撃命令?」
「なに、簡単なことだ。nms-04を攻撃しろ、とか言えばいいだけだ。
今は、動かなくするか、能力を使えなくするか、だな。」
「はぁ・・・じゃぁやってみます。nms-02。
nms-04を行動不能にしろ。」
思わず上から目線で言ってしまったが、彼女は特に気にせずに、
『了解しました』
その瞬間、彼女の足下から光が放たれ、なにやら魔法陣のようなものが現れた。
彼女がそこに両手をついた後、魔法陣から手を離していくと、
手には、白く、彼女の身長ほどもある大きな鎌が握られていた。
刹那、彼女が跳ねた。
さっきまで彼女がいた場所は大きくえぐられている。
その中心にいたのは、長すぎて地面まで伝っている薄い紫色の髪をした少女。
濃い紫色の目は、違いなく白い少女を見据えていた。
「ようやく本体が出てきたな。」
「本体・・・あれが?」
「そうだ。あれがnms-04。この異常事態の元凶。」
こんな状況なのに、陽さんは楽しそうに笑う。
まるで、自分の娘の晴れ舞台を見ているかのように。
「さぁ、これからだ。
ナイトメアシリーズが【神の最高傑作】と呼ばれた所以を、見せてあげよう。」
いまいち話の展開が突飛に感じる・・・