僕と遭遇 先輩と妹の場合 ―この組み合せは気が付けばしていたりする―
「本日は有坂鈴審判の日です」
「そんな大層な名を付けなくとも良かろう?」
「っ!有坂鈴パイパふご!?」
「食事中に貴様はまた下らなぬ事を!!」
「ハハハ♪鈴ちゃんは朝から元気だねお姉さんも負けてられないよ。ハハハ♪」
「先輩も十分元気ですよ」
‥‥‥‥先輩?
「「何で我が家に当たり前の様にいるんだ!?」」
「‥‥声を被せてこないで下さい。」
「ハハハ♪」
・・・駄目だこの人。
えぇ~と、姉さんは唖然としているし関係なしと‥
次に鈴は、意識を刈られているから保留だな‥
父さんは関係‥‥有るわけ無いか‥
最後に、母さんは‥‥‥
・・・何やっているの?
「ブレイクダンス♪」
「そんなのは見れば解るけどさ、服を脱ぎながらとかエロを混ぜるな!!」
‥この人は無駄に凄い。
ブレイクダンスを踊りながら、服を脱いでは脱いだ服を畳む。
そして、用意していたのだろうメイド服に着替える‥‥
・・・その年でメイドは無いだろ?
「母上、その御年でのメイド服は無理が有りますよ」
我が家の特攻隊長出陣!!
「忍ちゃんは甘いわねぇ」
「てい!」の掛け声と同時にメイド服が燃えた‥って、どういう素材だよ!?
「母さん!!」
一応、心配の声を掛けるけどあの人は心配するだけ無駄に終わるよな‥‥
うん、今日のみそ汁の出来は上出来だな、鈴も美味くなった。
「不死鳥の様に蘇るのが薫ちゃんよ!!」
あっ、やっぱり平気だっか?
それよりもこの沢庵うまし!!
「修くん!見た見た?ねぇ、見た?薫ちゃん凄いねぇ、失敗作だから持って来たのにね。ハハハ♪」
「今のメイド服はお前が持って来たのかああぁぁぁぁぁあ!!」
「喧しいぞ!」
「ドハッ!」
食事の時にボディは止めて!
あと、僕じゃ無くてこの迷惑先輩に言ってよ!
僕達の母親に失敗作を着させたんだよ!!
「母上、今回の事で火傷などしましても私は知りませんから、後、メイドからチャイナでもキツいですよ。」
母さん!貴女見捨てられましたよー!!
娘から冷たい目で一瞥されたって言うのに「んも~忍ちゃんってば審査が厳しいんだからん」とか言って、頬を膨らますけど年は変わらないよ?
やばい!リバースしそう!!
「ハハハ♪修くん凄い顔してるよ薫ちゃん。ハハハ♪」
先輩!人には指をさすなと教えられたでしょ!!
「あらあら、ホント見てみなさい鈴ちゃん、鈴ちゃん?あら?」
母さん貴様もか!?
「うむ、御馳走であった。」
姉さんが僕に向けて微笑みながら近づいて来る‥
「修よ、まだ腹に残るのか?」
「!?」
姉さんが僕の心配をしている?
いやッ、そんな事は断じて無い!
甘い考えを持つ暇は無いんだ、母さんと先輩の迷惑コンビを僕の盾にしなくちゃ!
なッ!盾になる前に始末されてる!?
見つけた二人は屍となっていた。
・・・役立つめ。
二人を見た後で姉さんを見れば、悪魔の微笑みにしか見えません!
・・・正直に言うと、またチビりそう。
「俯き加減で食すペースも落ちておる、やはり飯時にボディはまずかったか?」
姉さんは本当に心配してくれていたのか!?
しかし、信じるのはまだ早い!
何時如何なる時でも見舞うのがモットーの姉さんが僕に微笑みを浮かべるのは意識を刈る時ぐらいだ!!
だけど、こんなに心配そうな表情で顔を覗き込み、優しく頭を撫でてくれる‥‥これは!
「うん、やっぱり食事時にボディは残るよ」
信じてみよう。
そう結論がでた僕は「ははは」と、嬉しさ半分と申し訳なさ半分の笑顔で姉さんに返したら姉さんも笑顔で‥
「弱点を晒すなたわけ者が!!」
ボディをくれた。
「ガハッ!!」
信じたのに!!
――自室――
我が家の朝食(ドタバタ騒ぎ)を済ました僕達は、鈴と何故か居る先輩との三人で鈴の審判内容の説明会を開いたけど‥
鈴の『遊びに行ったら良く解るよ』発言により何処に行くかを相談会に変わった。
「私が行きたいのは衣装店です!」
元気よく挙手をしながら声を張り上げる鈴さん‥
挙手いるの?
「私が行きたいのは特に有りません!」
これまた元気よく笑顔で挙手をしながら声を張り上げる先輩‥
先輩の発言はスルーしていきますね♪
じゃないと僕の身が持たないんだよ!
鈴さんは手を下ろさないのですか?
「僕が行きたいのは‥‥病院かな?」
美緒さん(仮名)にお見舞いも兼ねて会いに行きたいし、退院日に真琴と一緒にお迎えにも行きたいからな、退院日を知っておきたいんだよね
「修くんが病院?どうしたの、精神科にでも行くの?お姉さんは何時でも相談にのるよ?」
本気で心配してくれているのは嬉しいけどさ‥‥
・・・何て言われようなんだよ。
僕は精神を病んでないやい!
「違うよ柊さん、お兄ちゃんは私にナースコス着せて病院で働いているのを観て楽しむんだよ」
鈴のとんでも発言入りましたぁーーー!!
鈴!手を振りながら「もうやだなぁ」じゃねぇよ!なに、素敵な笑顔を魅せてんの!?
先輩は先輩で首を振って「ハハハ♪修くんもマニアックだねぇ♪」って、納得しちゃダメーーー!!
どうする、どうするよ僕!?
次に生徒会室に呼ばれた時に病院の受付みたいになっちゃうよね!?
この人ならやりかねないよ!
「ハハハ♪ねぇ修くん生徒会室を「模様替え反対!」‥はえっ?ハハハ♪良く解ったね。ハハハ♪」
よし、後で釘をさしておけば生徒会室は大丈夫だろ‥‥たぶん。
次は病院に行きたい説明だ!
「病院には知り合いが入院しているからですよ。」
「それは私も一緒に行っても良いのかな?」
「そして私はナースコスで行った方が良いのかな?」
先輩も子供じゃ無いんだから、不安そうに指を加えてキョロキョロ観ないの!
ただでさえ童顔なのに、余計に僕の脳内で年齢詐称疑惑に拍車が掛かりますよ!!
鈴はお願いだから一度そっちから離れような、あと一回出たら【忍姉さんの愛の説教部屋】行きだからね。
「先輩も付いてきても構いませんよ、それより鈴は衣装店じゃなかったのかい?」
「うん、新しいのが出るって情報をママが教えてくれたの!」
「えぇ、なになにぃ~? 面白そうだから私も行きたいよぉ~」
何だか面倒な人がツレター!!
だから、不安そうに子供みたいな仕草をしながら僕を観ないの!
「柊さんもおいでよ♪」
「行く!ハハハ♪楽しみだねぇ。ハハハ♪」
「でしょでしょ?」
うわぁ~、この人って以外と簡単な性格してるなぁ、笑顔に戻ってるよぉ
それよりも、鈴と先輩は一緒に居たら危険な気がしてならないよ、どうしよう゛混ぜるな危険!゛の二人を僕一人で対処できるのかな?
「じゃぁ二人共、行き先は衣装店で良いのかな?」
「ハハハ♪」
「うん♪」
一抹どころか、大きすぎる為に諦め始めた不安に僕はとにかく無事に帰れる事を心掛ける‥
祈っていても無駄な事はこんなにも濃い人達の中に入れば直ぐに気付くさ!!
出掛ける前に姉さんに挨拶をと思い、意味も無く笑い合う二人を部屋に残して姉さんの部屋で少し憂鬱な面持ちで挨拶を告げる僕。
「‥行ってくるね」
・・・寧ろ、逝ってくるね。
「修よ、柊の奴が混ざれば問題事が二乗にも三乗にも成るのが通例だ」
姉さんに言われ無くても学校で散々な目に会う僕だ。
先輩だけなら許容範囲だけど鈴が居るから何処まで大きくなるか解らない、姉さんの話も右から左への状態で聴いて‥
「知っているよ」
機械的に答えたが‥
「お前はまだ柊の恐ろしさを知らない!奴が上機嫌の時は問題事が起きた時点で奴は問題事を呼び寄せるのだ!!」
危険信号が鳴り響き、脳内電源がONに入る!
そんな!?先輩は大きくはするけど増やしはしないはずだ!!
驚愕の表情で見ていたら、苦々しい顔で死の宣告と同類の僕が知らなかった先輩の【カオス】の本当の意味を教えてくれた。
「奴は問題事の製造、拡大、召喚、この三つを合わせて奴は【カオス】と呼ばれている」
「何か対策はないの?」
「奴を暇にさせるな!寂しくさせるな!目を離すな!一人で歩かさすな!」
「それって子供じゃん!!」
あの人は前々から子供っぽい処はあったけど、姉さんの話を聴くと対処方ってか子供の扱い方じゃん!!
「そうだ!これを今の内に渡しておこう」
姉さんが鞄から取り出した物は‥
「奴がぐずり出したらこれを舐めさせておけば時間稼ぎには成るだろ?」
みんなが大好きペロペロキャンディ!
「‥‥あの人は、幼稚園児と同じ扱い方で良いって訳だね?」
「言われてみればそうだな、良く気付いた修よ!」
「ありがとう姉さん、あの人の扱い方が簡単で助かったよ」
・・・何だか僕、もう疲れたよ。
セントバーナードと逝きそうな気分の僕の頭を笑顔で撫でる姉さんに再度‥
「それじゃ逝ってきます」
「気を付けてな」
挨拶をする。
部屋に戻った僕は、先輩(中身幼稚園児と判明)と、鈴(中身只今修正教育中)に‥
「姉さんに挨拶を済ませたから二人共、遊んで無いで行くよ!」
野球拳を止めさせて直ぐに部屋を出た。
何で最初に下着を脱いでんのさ!?
頼むから、せめて脱ぐなら靴下から脱いでくれよ(泣)
――リビング――
「お兄ちゃん黒に履き替えたよ♪」
「私は負けてないよハハハ♪」
「鈴、姉さんの処にこの手紙を持って行きなさい」
「なにこれ?」
「いいから」
「うん、解った」
鈴を見送ってからやはり怪訝に思って居たのか先輩は‥
「ねぇ修くん、あれなに?」
やっぱり聞いてきたので、僕は入れたての御茶を呑みながら答える。
おっ!茶柱が立ってるよ、縁起が良いな♪
「鈴の【エロ行為報告書】です。あの子が僕の前で三回するたびに何かしらの罰を与えています。」
「それで忍の所に行ったの?」
そんな心配そうに見なくても、僕達は鈴に怪我をさせませんよ。
あれ?茶柱が沈んでいく‥‥これは、僕から縁起が離れると言う事なのかな?
「ただのお説教ですよ、あの子にはそれが効果的なんです」
「ハハハ♪なら良いや。ハハハ♪」
貴女の立ち直り早くないですか!?
さて、そろそろ戻って来る頃かな?
湯呑みに罅が!?ふっ、不吉だ!
「‥‥‥‥戻りました」
「鈴ちゃん?」
「だいぶ搾られて来たみたいだな」
死の宣告を受けて来たかのようにヘコ垂れているが、鈴には此ぐらいは叱らなきゃ駄目だ!
この子は【反省】と言う二文字を消却して【繰り返す】の言葉を頭の中に強くインプットしている‥‥
早く【学習能力】を追加しなくっちゃ!!
「‥‥うん、怒られた」
「ねぇ修くん、鈴ちゃんが可哀想だよ!、ねぇ!」
「このシステムは反省出来る様に成るまでは続きます。解ってるな鈴!」
「‥‥うん」
「ねぇ、でもぉ~」
「柊さん、私は此が良いんだよ。‥‥新しい道を見つけたから」
「はえ?」
コイツ!まさか!?
「怒声を浴びるのって快感♪」
俯いていた鈴は、顔を上げると「ビバ罵声♪」と、危険な科白とトロンとした危ない目をしていた。
・・・僕は何処までも行くお前が怖くなってきたよ。
「でも、お兄ちゃんもお姉ちゃんも罵る事はないの、だから今度のお説教は柊さんが私に罵声を浴びせてね♪」
必死に目を剃らす先輩に鈴が手を離さず返事を待つ。
僕の湯呑みはこの事はだったのか‥
あっ!先輩が困った顔でこっち見てる!
・・・困った先輩の顔って珍しいなぁ、写メでも撮ろっかな?
「ねぇ修くん、助けてよぉ~」
「ねっ?良いでしょお願い柊さん」
おぉ!涙目の先輩だ。
あれは超レアだな、とりあえず一枚‥
「修よ何をしておる早く助けんか」
気配も音も無く背後に回る貴女は名の通り忍之者ですか?
「先輩の涙目が珍しかったもので」
「私がデジカメで納めておる」
「さっすが姉さん!!」
掛け声と同時に鈴の側頭部への蹴りが意識を刈る!
「怖かったよぉ~、うあああぁぁぁぁん」
「おぉヨシヨシ、怖かったなぁ~、もう大丈夫だぞ、ほれ、お前が好きなアメだ、涙をふいてお食べ」
「ェグッ、うん、ヒィックァ、食べる」
えっ、なに?この扱い慣れは!?
床にヘタリこんで、ぐずりが止まない先輩を姉さんが上から優しく抱き締めて頭を撫でながら背中をポンポンと優しく叩く姿はまるで‥
お母さんと娘じゃん!!
しかし、こうして見ると先輩って本当に幼児と大差ないよなぁ?
僕は親子みたいな二人を撮影しながら本日の予定を悩む‥
・・・鈴の審判どうしよう?今は撮影の方が大事なのかな?
やっほ~♪柊お姉さんだよ
私にね冠番組がでけたんだハハハ♪
毎週金曜に放送中!!
よろしくねハハハ♪
あっ!忍アメちょうだ~い♪




