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姉さんからの教え―昔の人の教えがあるから、秩序があるんじゃないかな?―

 あの裁判で決められたらしく、夜の見張り役を僕がする事に成った。

 しかし、僕は思う。夜行性の動物から食糧置場を守るこの見張りだが‥‥

 

 「‥‥中に入れたら良いじゃんか」

 

 急ピッチで建てているログハウス、安全性は保証出来ないけど見た目なら八割程完成している。安全性とか気にしない皆も、寝床をそっちに移動している。

 だから、僕は思うんだよ、気にしないなら食糧も中へ持ってけよ! ってね。

 そんな事を、食糧置場からログハウスの中へ移動させながら思う‥‥む、虚しくなんかないんだからねッ!

 

 

 ログハウスの中へ食糧を置き終えた僕は、姉さん達の事が気になり出した。

 ‥‥姉さん達、どうしてるだろ?

 樹海に着いてから直ぐに消えた、姉さんと柊先輩。たぶん、何時もの場所に居るとは思うけど‥‥気になる。

 この樹海は、夏休みに姉さんが訓練に使う場所って事は、聞いたことがあるけど‥‥どんな訓練なのかが、気になる。

 気になりだした僕は、姉さんを探しに樹海を捜索する事にした。

 ――半分以上は気紛れで決定した捜索だが、樹海を捜索するにはチームを組まないといけないっていう意味を、この時の僕は、身を持って知るとは思いもしなかった――。

 

 

 捜索する際に僕は、何の為に教えたのか解らない姉さんの教え通り、ログハウス(出発点)を中心にした道標を、螺旋を描くように記しながら歩いている。

 そして道標に使っている物がロープで、太い木を見付けては巻き込むように歩いている。

 しかし、どれだけ歩くか解らない距離を甘く考え、直ぐに見付かるだろうとロープを担いでる、そんな自分が憎い。てか、ロープが重い。

 いい加減ロープを土の上に放り投げ、肩を何度か回し、どの位歩いたのか辺りを見てみる。

 

 「‥‥」

 

 沈黙こそが、僕が出せる唯一の答えだった。

 ぶっちゃけると、ログハウスがまだ見える範囲内に、僕は居るようだ。てか、見えている。

 正直、皆の所に帰ろうか悩む僕は、土の上に放り投げたロープを一瞥して、どうするか決めた。

 

 「‥‥帰ろ」

 

 今回、一人で捜索する事で僕は、二次災害だけで無く荷物を分担させる為にもチームを組むんだって事を知った。チームの意味を知ったから帰るんであって、面倒くさく成ったから帰るんじゃ無いよ‥‥。

 

 

 皆の所に着いた僕は、直ぐに寝転んだ。そして溜まっていた疲れが出てきたのか、瞼が重くなる。

 夢と現実の間という曖昧な意識の中で僕は、過ぎた事を振り返る。

 食糧の見張りは、ログハウスの中へ食糧を移動させて終わった‥‥、姉さんの捜索も一人では無理だから、途中で帰って来た。

 何だか無意味な時間を過ごした気がするなか僕は、夢の世界へと旅立つ――予定でいたら、

 

 「この愚弟がぁぁあッ!!」

 

 と僕の腹を踏み込む姉さんに、起こされた。むしろ逝きかけた。

 

 「貴様の行動は観ていたが、無駄が多すぎだッ!」

 

 僕の行動の不出来に説教をしているようだが、そんなこと聞いちゃいない。いや、聞けちゃいない‥‥。

 姉さんが僕の襟首を掴んで、前後に身体を揺らすから、あっちへ逝ったりこっちへ帰って来たり、大忙しさ。

 

 「――解ったか、今度からは気を付けるのだぞ。良いなッ!」

 

 そう言って、やっと出て行ってくれた姉さん。

 だけど姉さん、ごめんなさい‥‥、聞いていなかったもので、まったく解っていません。

 

 考えとは違ったが、姉さんを見付ける事も出来たしこれで、安心して寝れそうだ。ただ少し心配なのが、今、僕が眠たいのは本当に睡魔なのかという事‥‥。

 先程から僕達姉弟をジト目で見ている、彼女にお願いをしておくとしよう。

 

 「平野ちゃん、朝に成っても僕が起きなかったら、土葬でお願いね」

 「――よろこんでッ!」

 

 本当に嬉しそうな笑顔で、返事をされてしまった。

 昔は、それほど嫌われては、いなかったのになぁ‥‥、何でだろ?

 それを謎に思いながら僕は、眠りに着いた。


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