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姉さんからの命令 ―意味を捉える前に、命令された事をグチるのはやめよう!―

 

 朝の一騒動も、姉さんの出発の言葉で皆は静かになって、目的地にも直ぐに到着出来ましたとさ‥‥ったく、協調性が有るのか無いのか、どっちだよ。

 

 さて、目的地の海と山の両取り出来る所に着いた訳ですが‥

 

 「ハハ‥‥笑うしかないよね」

 

 山は確かに聳え立って居る。

 だけど、この海だよ! 海は海でも、樹海じゃんかッ!

 

 「見てください、野生の兎ですよ♪」

 「本当だ、初めて見た♪」

 

 こんな所でも、僕の後ろでは、はしゃげる一年生コンビの君達‥‥少し尊敬しそうだよ。

 

 「‥‥何スかね?」

 「‥‥何だろな?」

 

 呆然としながら意味の解らない会話をする、男女で似ているのが珍しい双子の君達‥‥その反応で良いんだよ。

 

 「修くぅ〜ん、夕御飯とって来たよぉ〜!!」

 「資材の追加も持って来たが、まだ要るか?」

 

 既に順応し始めている僕にとって危険な君達‥‥お願いだから、その順応性を分けて!!

 

 「さぁ、造ろうじゃないか、俺達のマイホームを!」

 「気持ち悪い事を爽やかな笑顔で言うなァァ!!」

 

 だけど、僕は造らないといけない。上杉が言うマイホームでは無いけど、ログハウスを一軒。

 

 そんな事、自主的にする訳ないんですけどね! 此所に居ない姉さんからの無茶な命令で造るはめになったんですけどね!!

 

 

 ――時間は戻って朝のリビング――

 

 

 僕が泣いて居る間に皆は、そんな事しるかッ! って言いたげに僕の事を無視して朝食を食べ終えていた。

 

 ‥‥もしかして、イジメられてる?

 

 まぁ、僕の精神も強くないので深く考えるのは今度にしよう。

 

 今は、一人で寂しくても食事を楽しもう。

 そう、例えさっきからチラチラと、姉さんに土下座をする町内会長さんが見えて居ても‥‥。

 

 「申し訳ありませんしたッ! 文句を言いに来ちゃったり、ほんと調子ぶっこいてました!!」

 

 うん、無理だ。どうやって楽しめば良いんだよ‥‥。

 

 「貴様は、荷仕度の邪魔をして置いて、ただですむと思っておるのか?」

 

 いやいや、そんな事を言っちゃってるけど、町内会長さんは何も悪く無いからね! 朝から空砲ぶっぱなす姉さんが悪いからね!

 

 まぁ、僕は何も言いませんけどね‥‥

 

 「貴様には、私の邪魔をした責任をとって貰う。修よ、解っているのか?」

 

 思わず僕は、食べている朝食を吹き出した。

 

 「ぶッ! 何故に僕!?」

 

 あれですか!? 姉さんに意見出来ない僕が悪いんですかッ!?

 そこの町内会長! 僕を見て嬉しそうな顔をするなッ!!

 

 「修よ、目的地に着きしだいログハウスを造る事を貴様に命ずる」

 「何、その無茶な命令!?」

 「それと、完成前に帰る事は許さんからな」

 

 ここで僕が、抗議して受け入れてくれるなら抗議したい処なんだけど‥‥姉さんが受け入れる訳が無い。

 

 こう言うのは嫌だけど、さっさと諦めて目的地ぐらいは知って置こう。

 

 「ちなみに目的地って、どこ?」

 

 せめて未開の無人島とかは勘弁して欲しいなぁ‥‥。

 

 そんな僕の淡い期待を姉さんは一蹴してくれた。

 

 「ん? そういえば言ってなかったな。目的地は、私が訓練の時に過ごす場所だ」

 

 姉さんの言う訓練。長期休暇の時に何処かに行って、あの姉さんがボロボロになって帰ってくる訓練。

 

 ‥‥僕は、ボロボロになるだけですむのかな?

 

 「食料だが、動物愛護の精神は捨てておけ。動物を捕るときに邪魔となる。

 水は、植物から確保出来るからな。露が溜まる、深夜から朝方に掛けて集める事を勧める」

 

 動物を捕ったり、露水を集めたりって‥‥サバイバル?

 そんな、幾ら姉さん‥‥あり得る!?

 むしろ、姉さんだからこそあり得る!! 未開の無人島が目的地とか言われても、姉さん相手なら納得出来てしまう!!

 

 例え無人島でも、サバイバルじゃなければ生き残れるし、ここは確認だけでも‥‥

 

 「えっと、まさかと思うけど。食料と水は現地にて確保! みたいな事を言ってます?」

 「その通りだが?」

 

 何、当たり前な事を言ってんだお前みたいな顔していますけどね‥‥

 

 「無理だから!! 僕にサバイバルは無理だからね!!」

 「関係無いと思っている様だが、招待状を受け取った貴様等も行くのだぞ。ちなみに拒否は受けつけん!」

 「サバイバルですかッ!? サバイバルなんですかッ!? スルーしないで、それだけは教えて!!」

 

 

 

 ――戻って来て樹海の中――

 

 まぁ、そんな事がありまして、森の中で泣きながらもログハウスを建設中です。

 それでも無人島よりはマシじゃね? って思う人に言って置きたい‥‥

 

 樹海を舐めるなッ!!

 

 観光名所で有名な青木ヶ原樹海でも、自殺名所として有名な危険な所なんだッ! ――自殺防止の為にパトロール隊まで存在する。そして、一人で歩く人には必ず声を掛ける大変なお仕事です。

 

 樹海がどれだけ危険な所か説明した上で、もう一度言う‥‥

 

 「修くぅん、ご飯できたよぉ〜」

 

 ガッデェェム!!

 

 真琴が生活染みた事を言うから、樹海が危険な所だって僕の言葉の信憑性がグンと落ちたじゃんか‥‥。

 

 「修くぅん聞いてる? ご飯できたんだよぉ。食べようよ〜」

 

 ヘコむ僕なんかお構い無しに、肩を揺らして急かす真琴さん。

 

 そう、ヘコむ僕なんかお構い無しに‥‥。

 

 真琴は僕の事が好きって言ってたけど、本当に好きなのか?


 ヒイラギお姉さんからのお願い。

 小説を読む時は、部屋を明るくして、3メートルは離れて、読めるものなら読んでね♪

 

 やぁ! 冗談半分で登場のお姉さんだよ。ハハハ♪

 

 お姉さんねこの間、昔の本が読みたくてなって、余り入らない部屋を明るくしたんだ‥‥

 そしたら居るはずの無いものが部屋にさ! 居たんだよ!!

 

 怖かったよ〜、Gの死骸。

 

 その日、1日掛けて大掃除したからね!

 

 ちゃんと掃除して要るって思って居ても、意外と出来てないもんなんだよ!

 みんなも滅多に入らない部屋が在ったら隅々まで見てごらん。出てくるから‥‥


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