姉さんからの一撃 ―いろんな意味で一撃ってあるけど、M1911の一撃の音が好き♪―
姉さんの趣味って何かな?
昨日は、判らずじまいだったけどさ‥‥
たぶん、訓練マニアだッ!
だってさ、部屋を出る時この人さ!
普通に降りるのは面白く無いって、窓から降下訓練だって!
それで、窓からロープで壁づたいに降りたんだけどさ‥‥
普通に降りれば良いじゃんかッ!面白く無くても良いじゃんかッ!
それに、降下する先に地雷埋めるなよッ!
本気で死ぬかと思ったよ!!
まぁ、地雷原を命辛々と抜けた僕とは対照的に、姉さんは生き生きした表情で言うんです‥
「では、訓練を開始する」
姉弟で何なの?この差は何なの?僕が間違ってるの!?
間違っていても良いから部屋に帰りたいよ‥‥
まっ、僕の願いが叶う訳無いんですけどね‥‥
誰か、訓練を進めて行く姉さんを止めて‥‥
「まず、奇襲訓練を行う」
「質問」
「却下する!」
「なんでッ!?却下する意味判んないよ!せめて、誰に‥」
「煩い、戯けがッ!」
「グホっ!」
また、右ストレート!!
「少しは静かにせんか!」
「‥‥はい」
やっぱり、勇者が出て来なきゃ、村人は魔王に従うしか無いのか‥‥
諦めかけたその時‥
「オイッ!煩いぞ有坂!!」
「ぬッ!興里か‥‥」
勇者は言い過ぎだから、本当は村人だけど長老!
と言う事で、長老が現れた。
一応、僕より上の位置に置いたんだから、姉さんのテンションを下げる位の働きはしてくれよ!
「たく、夜中だってのに姉弟そろって、煩いんだよ!」
「‥‥」
「‥‥」
黙って興里の愚痴を聞いている僕と姉さん。
姉さんが何かしそうだな‥‥
「少しは静かにしろって言うけどよ、お前が静かにしやがれ!!」
「‥‥」
「‥‥」
突然、姉さんから小言で「見ておくのだぞ」と、言われて嫌な予感たっぷり!
「判ったか!!」
興里は、そう言って僕達に背を向けた時‥‥
「未々だな」
姉さんが、ガバメントで興里を狙っていた‥‥
ってッ!狙っちゃダメェェ!!
「何してんの!?」
「心配するな、ただの排除だ」
「真顔で言わないでッ!興里、逃げろぉぉおおお!!」
「ゴム彈だぞ、死にはせん」
「そう言う問題じゃないよ!!」
ゴム彈でも威力はあるから!骨位なら折れるから!
「大丈夫だ修!俺は死なねえ!!」
って、興里は興里で、こっち向かって走ってくるぅぅううう!!
「良い度胸だ!」
―ドンドン
姉さんの撃った弾は、興里の肩を霞めた。
「貰ったぁぁ!」
近付いた興里の優勢かと思えたが、姉さんは、ガバメントから素早くナイフに持ち変えて、興里の首に当てていた‥‥
あっ!コメディだからね!バトルじゃ無いからね!
「殺れよ」
「お前は育つ」
僕一人、置いてかないで下さい‥‥
「何が言いたい!」
言いたい!姉さんと興里に言いたい!
これ、コメディだって言いたい!
「私の下で育つ気は無いか?」
「なんだと!!」
「私が貴様を育ててやると言っているのだ」
「‥‥俺は」
「なんだ?」
「俺は、何時でもアンタの首を狙ってるからよ」
「面白い!」
そして、二人は固く手を結び、家に入りました。
しかし、あの二人‥‥
年に一回は、この会話をしているよね‥‥
「朝日だ、僕も家に入ろう」




