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ドラゴンマスクより「僕」  作者: 美憂


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9/18

明日へ

 運転しながら、かあちゃんの試合を思い出していた。


 きっと、前半はもっと動けたんだろう。


 あんなボールのやり取りを、もっといい状態で瑠としてたのか。


 あー。

 なんで、もっと早く来なかったんだ。


 実は、ちょっと怖かったんだ。


 本気でサッカーしてるかあちゃんを見るのが。


 怪我するんじゃないか。

 無理するんじゃないか。

 傷つくんじゃないか。


 ――いや、違う。


 本当は。


 僕の知らない場所で、かあちゃんが「プレイヤー」になっているのを見るのが、少し怖かった。本気なのに、サッカーから置いて行かれてるんじゃないかと。


 でも。

 今日、グラウンドにいたのは、「かあちゃん」じゃなかった。


 鈴だった。


 瑠と怒鳴り合って、

 律に振り回されて、

 ボロボロになりながら、

 それでも笑ってサッカーしてた。


 なんだよ。


 めちゃくちゃ楽しそうじゃん。


 「かあちゃん、いいサッカーしてたじゃん。」


 ………


 え?


 ルームミラーで後部座席を見る。


 寝てるんかい!


 僕は、信号待ちで、口を開けて寝てるかあちゃんをスマホに収める。


 明日、見せてやろう。


 初試合後の、勲章みたいなたんこぶを。

 たぶん、明日めちゃくちゃ怒られる(笑)


 でも。


 きっと、来週もサッカーするんだろう。


 僕は少し笑った。

 そして、前を向く。

 僕は、僕のサッカーをやろうと思う。


 ちゃんと。

 逃げずに。


 次は、僕がピッチに立つ番だ。

サッカーは、

苦しくて、痛くて、

たまに、どうしようもなく楽しい。


だから今日も、

誰かがまたボールを蹴る。

それぞれの明日へ。

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