明日へ
運転しながら、かあちゃんの試合を思い出していた。
きっと、前半はもっと動けたんだろう。
あんなボールのやり取りを、もっといい状態で瑠としてたのか。
あー。
なんで、もっと早く来なかったんだ。
実は、ちょっと怖かったんだ。
本気でサッカーしてるかあちゃんを見るのが。
怪我するんじゃないか。
無理するんじゃないか。
傷つくんじゃないか。
――いや、違う。
本当は。
僕の知らない場所で、かあちゃんが「プレイヤー」になっているのを見るのが、少し怖かった。本気なのに、サッカーから置いて行かれてるんじゃないかと。
でも。
今日、グラウンドにいたのは、「かあちゃん」じゃなかった。
鈴だった。
瑠と怒鳴り合って、
律に振り回されて、
ボロボロになりながら、
それでも笑ってサッカーしてた。
なんだよ。
めちゃくちゃ楽しそうじゃん。
「かあちゃん、いいサッカーしてたじゃん。」
………
え?
ルームミラーで後部座席を見る。
寝てるんかい!
僕は、信号待ちで、口を開けて寝てるかあちゃんをスマホに収める。
明日、見せてやろう。
初試合後の、勲章みたいなたんこぶを。
たぶん、明日めちゃくちゃ怒られる(笑)
でも。
きっと、来週もサッカーするんだろう。
僕は少し笑った。
そして、前を向く。
僕は、僕のサッカーをやろうと思う。
ちゃんと。
逃げずに。
次は、僕がピッチに立つ番だ。
サッカーは、
苦しくて、痛くて、
たまに、どうしようもなく楽しい。
だから今日も、
誰かがまたボールを蹴る。
それぞれの明日へ。




