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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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事件もの

「し」の消える本棚

掲載日:2026/07/22

滝沢優作(たきざわゆうさく)は、30代のエリートサラリーマンで独身貴族を満喫している。


彼の趣味は読書である。


新しいマンションに引っ越すと、自分で本棚を作るのも好きである。


彼は自分で見事な本棚を作り上げ、そこにそれまで買い溜めた小説などを置く。


彼は新しいミステリーの本を買ってきて、ソファに座って読み始めた。


すると奇妙なことに気づいた。


なぜか「ました」となるはずのところが「ま た」となるのである。


それが一箇所や二箇所ではない。


彼は終いまで読んだが、すべての箇所で「し」が抜けているのに気づいた。


彼は本がおかしいと思い、その本を書籍小包で出版社に送った。


しばらくすると、出版社から新品の本と手紙が届いた。


その手紙は「特に異常はないようですが、新品と交換させていただきます」と認めてあった。


だがその本もやはり「し」が見えない。


彼は奇妙だと思ったが、大して高い本ではないのでそのまま放っておいた。


それからしばらく経ったある日のことである。


彼は喫茶店に、その本を持っていった。


コーヒーを啜ると、彼はその本を読み始めた。


今度はどこにも異常はなく、「し」が見えないなどということはない。


彼は気の所為だったのかなと思い始めたが、マンションに戻ってその本の続きを読もうとすると、また「し」がない。


彼は驚いて、外に出てその本を見ると、今度は異常がない。


ひょっとしたら、マンションに問題があるのではないかと思い、彼は近所の人にこのマンションで何かあったのか尋ねた。


隣人はあまり言いたくなさそうであったが、1年前そのマンションで、売れなくなりノイローゼになったグラフィックデザイナーの自殺があったことを教えてくれた。


彼は街角の占い師に相談してみた。


その占い師によれば、自殺した人が「死にたくない」と強く思うとそういう現象が起きるということであった。


お読みいただきありがとうございました。


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