表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

1話

 佐藤 向陽こうようは生前はお人好しと言われていた。困っていそうな人を見かければ自分が学校に遅刻しそうであっても声を掛け助け、同級生の相談・解決には全力を注ぎ、社会人になってからも週末は出来るだけ地域のボランティアに精を出していた。おじいちゃん子だった向陽は小さい頃から祖父にこう言い聞かされていた。

 

 「人助けをしろ。人助けをして損は無いからな。お礼を言われるのは気持ちが良いし、将来必ず自分の為になる。偽善者と言われようがやれ!」


 そんな祖父が亡くなった後も、その言葉に従って向陽は困ってる人を見かけたらその都度やれる範囲で必ず手助けをしていたのだ。友達からも何故そんな事やるんだ?と言われた事もあったが、向陽的には「何となく?」や「祖父ちゃんから言われたから」といった回答をした。その日も向陽は買い物袋が破れ、物が散乱し困っている老人を見つけた。当然物を拾い集めていた向陽だったが、拾うのに夢中で周りの注意を怠ってしまった。車道に出てしまった向陽は車に轢かれて、そして……


 「ここは……?」


 向陽が目を開けると不思議な空間に居た。もし宇宙に行ったならこんな浮遊感を感じるのだろうか?と思うような感覚。周りは一面真っ白な空間。すると何処からか声が聞こえてきた。


 「目を覚ましましたか?突然ですが貴方は死にました。」


 突然こんな声が聞こえてきて向陽は動揺した。声の主は続けて言う。


 「私は貴方がたから言えば神と言われる存在でしょうか。それで一応仕事としては死んだ人間を扱うのが私の仕事なのです。」


 冷静になれなかった向陽は「仕事なのだから給料とか出るのかな?」とか色々アホな事を考えていた。神はそんな向陽を無視して話を続ける。


 「貴方は生前善行を一定数行い次の転生に関して選択する事が出来ます。」


 一瞬何を言っているのか理解出来なかったが、徐々に冷静さを取り戻すと言っている意味が理解出来てきた。つまり次の人生を人として生きるか、それとも人以外で生きるか選べると言う事だ。


 「それ以外のもありますよ。地球じゃない世界で生きたいとか、なんなら転生転移って感じで今の君の状態で違う世界に飛ばす事も出来るし、更にはチート能力も付けられるよ?」


 神は饒舌に色々お得条件を言ってきた。それほど向陽がやってきた善行のポイントは溜まっていたようだ。その条件を聞いて向陽は正直胸が躍った。向陽も漫画やアニメはそれなりに嗜んできた者だ。少しばかり喜んだ。


 「じゃあ……。」


 時間の概念が無い空間で向陽と神は十分に話し合いを行い、最終的に7つのチート能力を授かった。


 「では……そろそろ良いか?」


 神は向陽に聞いた。向陽は頷く。そして……向陽を光が包み、消えた。


 「……すまないな、向陽青年よ。もしかしたら君が希望かもしれんのだ。」

 

 神は小さく、そして願うように呟いた。しかし神も気づいていなかった。向陽の思いに……。


 

 目が覚めると向陽は森に居た。神には「生まれたばかりの転生」か「今の容姿で転生」かを選べたので、向陽は「今の容姿で転生」を選んでいた。ちょっとズルして20歳に年齢は変えてもらったが。酒も飲めるし。


 「先ずはどうしようか?取り敢えず貰ったチート能力確かめるか。」


 向陽はそう呟くと1つずつ確かめた。


 1つ目、肉体強化。その名の通り肉体を強化する事でパワー、スピード、頑丈さ、等々をほぼ無限に上げられる。しかし上げ過ぎると人外並の力になってしまい、ちょっと触れただけでも物を破壊してしまう可能性がある為注意。


 2つ目、状態異常無効。その名の通り状態異常にならない。毒、麻痺、眠りは勿論、呪いも効かないし病気にすらならない。しかし例外として切り傷や骨折等の外傷状態、仮死状態、飢餓状態など例外もあるので注意。


 3つ目、魔法攻撃無効。この世界には魔法があるらしく、攻撃魔法とやらがあるがそれらの攻撃は全て無効に出来る。しかし例えば火魔法自体は効かないが、それによる火災の火は効くので注意。


 4つ目、五感強化。その名の通り視覚、嗅覚、聴覚、触覚、味覚がそれぞれ自分の任意で際限無く強化出来る。注意点としては上げ過ぎると逆に弱点になってしまう事だ。例としては嗅覚を強化中に臭い物を嗅ぐと失神する等してしまう。


 とまぁ4つ目の五感強化の内の聴覚を試しに強化していた向陽は遠くで叫び声が聞こえてきた。


 「……トラブルの匂いがする。ちょっと行ってみるか。」


 そう言うと向陽は肉体強化をして悲鳴が聞こえた方向に走り出した。途中枝どころか木にすら中ったが、中った感触は発泡スチロールに中ったぐらいの感覚で木を薙ぎ倒して進んだ。時速60キロは優に超える速さで5分ほど走ったところで道に出た。するとその先で明らかに盗賊風の男たち数人が馬車を襲っている。馬車は何やら光の玉に守られている感じになっており、盗賊達は光の玉を攻撃していた。ちょっとだけ様子を窺っているとどうやら光の玉は魔法による防御魔法であり、盗賊達はそれを力技で壊そうとしているようだ。どうやら耐久値のようなものがあり、それを超えると壊れると思われる。


 「……やっぱり助けた方がいいのかなぁ?」


 向陽は少し悩んでいた。実は向陽はこの異世界生活を送るにあたって少しばかり思う所があった。それは「前世は人助けしていたから、今度はちょっと悪い事してみたい」と。別に凶悪犯罪をしたいという訳では無い。言うなら不良のような「チョイ悪、だけど筋を通す」みたいなものだ。要は遅れてやってきた中二病だ。

 と頭では思っていたのだが、体は正直だった。気が付けば向陽は盗賊の一人に蹴りを入れていた。肉体強化状態で。盗賊は十数メートル飛ばされた後木に中り動かなくなった。


 「やべっ、……生きてるかな?」


 向陽は近づいて確認する。ピクピクしているので多分生きてるであろうは確認出来た。向陽はホッとして盗賊に手をかざす。


 「ヒーリン」


 ヒーリン。これはチート能力5つ目の能力だ。体力回復、怪我の治癒効果のある魔法だ。自分にも使用可能。因みにだがこの世界にもこの魔法が使える者は少なくない、が向陽のはチート能力とあって若干性能が違う。それはおいおい説明出来たらなぁと思う(作者談)

 飛ばされた盗賊の怪我は治ったが起きなかった。するとここまであっけに取られていた他の盗賊達がようやく正気に戻り、向陽に向かって叫んだ。要約すると「ナニモンだテメー」とか「邪魔すんじゃねー」とかだった。そのまま襲い掛かって来そうだったので、向陽は戦意喪失させるため思いっきり地面を踏んだ。勿論肉体強化状態で。その瞬間爆弾でも爆発したかのような音、振動、地面の陥没、宙に舞う土。


 「これを喰らいたいなら相手するけど?」


 向陽は盗賊達に向けて言う。盗賊達も理解した。こいつは関わってはいけない奴だと。そして盗賊達は全員逃げ出したのだった。盗賊が全員逃げ出したのを確認したところで向陽は馬車の方に体を向ける。


 「大丈夫ですか?」


 そう言うと30代後半ぐらいの男が近寄ってきた。男の名はドウカクと言うらしい。ドウカクはお礼を言って、更には向陽の強さを見て護衛をしてくれないか?と聞いてきたのだ。向陽は二つ返事でOKを出した。単にやる事が無いからだった。しかし……馬車の荷台を見て向陽は一瞬動きを止めた。中に居たのは少女だったからだ。そして向陽自身は実際見た事は無いが、それでもその少女を見て確信めいた言葉を溢す。


 「……もしかして奴隷……か?」


 ボロボロの服を着ており、髪もボサボサ、そして手には縄。痩せた体に生気を感じ無い目。創作物でよく表現される奴隷そのものだった。


 「もしかしてドウカクさんは奴隷商人ですか?」


 ドウカクは頷く。その瞬間向陽は思いつく。このチート能力使えば奴隷商で成り上がったりできるんじゃね?……と。ここから向陽独自による奴隷商ライフがスタートしたのであった。

向陽

身長168㎝ 体重64㎏ 小中高はずっとサッカー部。勉強は英語以外は平均よりは上。甘い物好き。


ドウカク

身長178㎝ 体重67㎏ 気が弱い。奴隷商は親から引き継いだ。肉より野菜、果物派。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ