禁断の扉『パンドラ』
ある都市の孤児院の地下へと続く階段を降り、丸いハンドルが鎖で開かないようにしてある鉄の扉の前で青年が呼吸を乱して佇んでいた。
「ハァハァ……降りてきてみたが開きそうにないな」
「コラッ!!ガキめ、此処に来ておったか!?あれだけ近づくなと言っておっただろうが!!触れておらんだろうな?」
「触ってないよ」
「そうか。さっさと上がって来い。オマエが触れて良いものじゃないわ、それは。ほれ、戻ってこんかい」
階段の上でいるだけで、近づいてこようとしない禿頭のフールブードが戻るように促してきた。
扉に向き直った青年は丸いハンドルを回そうと触れる。
「コラッガキ!!無理に開けようとするな、それは災いの扉だ。オマエでは扉の向こうの化けもんに叶うわけないっていうんだ。そもそもオマエにはその『パンドラ』は開けられん!!神の宝珠を空いた穴に嵌め込まんと開きはせんわ」
青年の耳に扉の向こうから海獣や猛獣の叫び声が届き、腰を抜かす。
「ガルルルルッッッ!!!」
「ウボォォォッッッ!!!」
「怖いじゃろ。さあ、こっちに戻ってこい」
青年は震える脚で階段を上がり、神官のフールブードに頭へ拳骨を喰らい、その場を離れた。
ある孤児院の地下には禁断の扉である『パンドラ』があり、フールブードがそれを管理していた。
『パンドラ』を管理している孤児院が建っている都市では勇者が居た。
「ハルキ、酒なんて呑んじゃ駄目だよ!!ねぇ、聞いてんの!?」
「うるせぇな、リオ!!呑んだらダメって法律なんてねぇんだからよぉ」
「……」
ハルキと呼ばれる少年はジョッキで酒を呷って、たしなめる少女に声を荒げていた。
リオと呼ばれた少女は酒を呷り続けるハルキに酒を止めるように叱っていた。
ハルキとリオに同席するもう一人の少女は無言で一瞥してスープを啜っていた。
彼らに同席するもう一人の少年は肉が付いた骨にかぶりついていて夢中だ。
ハルキ達が居るテーブルにある冒険者が近づいてきた。
「おまえさん、呑みっぷりが良いな。勝負するか?」
呂律が怪しい頬が紅潮した酔っ払い冒険者がハルキに勝負を吹っ掛けた。
「おぉぅ、やるってかぁ!!うぷぅっ……かーかっかっかっ。俺に勝負を挑んだことぅ後悔させてやる」
「待って待って!!ハルキ、考え直して。もう酔ってるんだからこれ以上……あぶぅ」
勝負を止めようとしたリオにハルキが呑んでいた酒のジョッキを彼女の口に運んで呑ませた。
「さっさとやろうぜ!」
「おぅ、かかってこい!!ガキぃー!!」
「ハルキぃ〜……やめぇ……すぴーすぴー」
ハルキと冒険者の酒の呑み比べが始まった。




