王からの依頼
私は気ままに工房で剣の刃を打っていると扉がノックされ声が聞こえた。
「テュフォン殿!テュフォン殿、話があって伺ったがおらんか?」
「あー、はいはい。います、居ますよ、私なら」
声の主に覚えがなく、気楽に工房を出て、玄関扉へと走って開けた。
「誰ですかもー……ってうわっ!?お、おっ、王!?これはとんだ失礼を」
私は訪れた者を一目見て、驚き、片足の膝を地面につけひざまついた。
訪れた王は気さくな調子で応対する。
「畏まらず頭を上げてくれ、テュフォン殿。どうか頭を上げてくれ」
「ははあっ!王もどうか殿はやめてください」
私は頭を上げ、立ち上がった。
王冠を頭に被っていない王はいつ振りに見るだろう。
「そうか、そうだな……それで今は、たてこんでおらんか?」
「今は暇ですよ。今日は珍しく王自らこちらに来るなんて、どうしました?」
「それだ!テュフォンの元まで来た用事だ。この都市は今では活気がないだろ?それでだな、迷宮で活気付けようと思っとる!」
「迷宮……とは、もしかして宝具や武具を発見して、魔物の素材やお宝をとって稼ぐところですか?」
「詳しいことはどうだか知らんが、お宝が眠っておる場所——迷宮を復活させ、この都市を潤そうというのだ。迷宮を復活させるにはお主しか居らんと我々の意見が一致して頼みに来たんだ。手を貸してくれぬか?」
「迷宮を復活させるって簡単に言いますが、私には——」
「一度迷宮を踏破したお主なら魔物を生み出す装置を見たことがあるだろう?武器やアクセサリーなんかもお見事な出来なのを幾つも制作しておる!それを見込んで、迷宮を復活させるのに手を貸してくれぬか!!」
深く頭を下げた王に頭を上げるようにお願いした。
「頭を上げてください!!どうか頭を上げてください!!」
「迷宮を甦らすのは良いんですけど、魔物が溢れて都市に危害を及ぼしたから魔素を供給させない為に誰かに迷宮の破壊を依頼したんじゃなかったでしたっけ?」
「うぅーむ。それは事実じゃが……賑わっておったこの都市を甦らしたいんだ。1000000枚の金貨を報酬で出す!!」
「金貨……1000000枚ですか。分かりました、受けます。依頼の物はどのような内容ですか?」
「そうだよな、受けてくれ……受けてくれるのか!?あぁ、ありがたい。えっとそれなんだが——」
依頼された物を列挙していく。
罠を数千……指輪を30個…‥首輪を20個……ユニーク武器……などと、王が言っていく。
報酬の値段が安く思える依頼量だった。
私に【製作】というスキルがあるにせよ、ユニーク武器やユニークと名のつく装備品がそうそう容易に出来る訳が無いと王に述べた。
伝説級の武器や神話級の武器が創れるかときかれ、そんなん創れるかと叫んでいた……王に向かって。
魔素濃度が高ければ、伝説級や神話級になっているんじゃないですかと言い返したら、そうか……うほほっとニヤけていた。
魔物を生み出す装置にしたっていつ頃発明された物だか分からないのだから、創れと言われてほい完成となる訳じゃないのだ。
まったくあの王は無茶振りを言ってくれる!!
納品期限はそこそこある。
気ままにやっていこう。
工房に戻って長剣の刃を打っていく。
心地良い音がリズミカルに鳴って、鼻歌混じりに作業していく。
昼になり、腹が鳴って集中が切れてきたので酒場に赴き、昼食をとった。
昼食を摂っているとある冒険者に声を掛けられた。
「嬢ちゃん、フィスカーレっていう都市に行かないかい?美味い酒が豊富にあってな——」
「酒がいっぱいあるのか、そのなんとかっていうところは!?」
「お、おぅ……そうだ。ついてくるかい?」
「うぅぅっ……しぃ仕事が立て込んでるからやめとくよ」
「そうか。またな」
「はいぃ……またぁ」
誘われた物に惹かれ、もう少しで誘いにのっていた。
私は項垂れながらステーキを食らった。
工房兼自宅に帰り、アクセサリー類を製作していく。




