1 君と一緒に異世界へ
午前6時30分、耳元で鳴っているうるさいアラームにムカつきながらも眠い目を擦って起き上がった。いつもどおり朝食を食べ、制服に着替えて学校へと向かった。
学校へ着くと俺の隣の席にはもう彼女が座っていた。彼女は俺の幼馴染で俺が幼稚園の時から追い続けている女の子だ。
「おはよう、葵」
俺が挨拶すると窓の方を向いていた彼女はこっちを振り返り可愛い笑顔で
「おはよう!彰人!」
と元気に返事をしてきた。そこから友達を交えて話をしていたらいつの間にか授業が始まるチャイムが鳴っていた。
「あ~!やっと今日の授業終わった!」
6時間目の授業が終わった直後、葵が背中を伸ばしながそう言っている。
「今日はいつもよりも眠く感じたな。それにやっぱり川本先生の授業は眠くなる」
そんな愚痴の混ざった雑談をしながら家へ帰る。うれしいことに葵の家と俺の家の隣なのだ。だからこうして毎日一緒に帰っている。
「そういえば彰人、昨日の深夜アニメ、見た?」
「あぁ見た見た!めっちゃ面白かったよな!」
そうだ、俺たちはオタクなのだ。俺たちは幼馴染として、というよりオタ友として仲良くしている。でなければ幼馴染とは言えこんな一軍の美少女と一緒にいるわけが無い。
「私もアニメみたいに異世界に転生でもしたいなぁ」
そんな話を歩きながらしていた。だが信号に渡っていたとき事件は起きた。1台の大型トラックが俺たちめがけてとてつもない速度で突っ込んできたのだ。俺たちはトラックに跳ね飛ばされ、交差点の真ん中あたりに血まみれで倒れていた。
「…」
葵が何か言っている。
俺たちは病院に運ばれたが息を吹き返すことなく16年という短い人生に幕を下ろした。
と、俺も思っていたが気づいたら謎の空間に葵と一緒にいた。それによく神話で出てくるような髭を生やした神様らしき人物が目の前にいた。
「自分でもわかっていると思うがお前達二人のこの世での人生はもう終了した。」
やっぱり俺たちは死んだのか、死んだというのになぜかとても落ち着いている。
「ここでお前達に相談がある、我々の宿敵である大悪魔が下界へと降り魔王を名乗って我らを倒そうとしている。本当は我々が行かなくてはならないのだが神が下界へと降りることは禁止されている。だから、死んだ人間を送り込み、大悪魔を倒そうとしている。もう言わなくても分かるな?」
つまり俺たちが異世界へと行き、その大悪魔を倒せということだろう。
「では、お主らが魔王を倒すことを祈っている」
「ちょっとまて!まだ俺たちは何も…」
話している途中で俺たちはその異世界へと飛ばされてしまった。
「彰人!異世界だ!異世界だよ!ここから魔王を倒す旅が始まるんでしょ!ラノベみたいでワクワクするね!」
葵がいままでで見たことないぐらいの笑顔でそんなことを言っている。本当にのんきなやつだ。でも俺もちょっとワクワクしている。
「よし!葵、異世界に転生したらまず、最初に行く場所は決まってるよな?」
そういうと葵は任せなさいと言わんばかりのドヤ顔で街に向かって走り出した。
〜1時間後〜
「どこにあるんだよ!冒険者ギルド!」
そう、俺たちは結構、転生モノでありがちな冒険者ギルドを探していた。
途方に暮れてもうどうでもよくなり適当な店に入った。
「冒険者ギルドへようこそ!ギルド登録ならそちらの魔導機までお願いします!」
俺たちは顔を見合わせた
『ここにあったのかよ!』