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3.死の海_前

『海賊の基地』



トンテンカン トンテンカン



女戦士「竜骨の補強はミスリルを使って構わん!!」


女戦士「フォアからスプリットへの縦帆は3枚にしろ」


女戦士「ミズンマストへの横帆は不要だ…外して他への縦帆に回せ」



アサシン「大幅な改修だな?」グビ


女戦士「旋回性重視に変更だ」


アサシン「古代の兵器対策か?」


女戦士「フフ…海戦の素人にはそう見える様だな」


アサシン「大砲は移動式が一門…商船とさして変わらん…小回りが利く程度か」


女戦士「素人が口を挟むな」


アサシン「クックック…商人達に置いて行かれて暇なのだ」


女戦士「連れて行ってくれと懇願すれば良かっただろう」ニヤ



パタパタパタ



女戦士「商人が戻って来た様だ…大きなプロペラ式気球とは…」


アサシン「これで退屈が凌げる」


女戦士「情報屋に連絡してくれ…エリクサーが届いたとな」





『プロペラ式気球』



フワフワ ドッスン



狼女「結局私が操作した方が早かったじゃない!」


商人「もっと簡単に操作できると思ってたんだよ」


狼女「あんたは何て言うかセンス無い…風の匂いを嗅ぐ感じだよ」


商人「分かった分かった!!僕は何をやってもセンス無いよ」



ローグ「遅かったっすねぇ…これがキ・カイの新型輸送用の気球っすね?」



商人「ごめんごめん…エリクサーの調達に手間取ったんだ」


ローグ「あっしが運びやす…どれでやんすか?」


商人「手前に置いてある樽だよ」


ローグ「これっすね?…よっこら…あれ?」


商人「樽で半分しか調達できなかった…これで足りれば良いけど」


ローグ「しゃーねーっす…じゃぁあっしは急いで運んで行きやす」


商人「3人の容態はどう?」


ローグ「魔女さんだけ目を覚ましたんすが混乱してるみたいでやんす」


商人「混乱?」


ローグ「ずっと夢幻を見ていたらしいんす…記憶を書き残すと言って書き物してるんすが…」


商人「??」


ローグ「未来君を破門したやら…隕石がどうたら…兎に角混乱してるんす」


商人「まぁ良いや…今はまだ話せない感じだね?」


ローグ「落ち着くの待った方が良さそうっすね」


商人「僕は調達した物を降ろしてから後で行くよ…」


ローグ「あっしもエリクサー届けたらすぐに戻って来るんで待っていて下せぇ」




『基地_船着場』



トントントン ギコギコ



狼女「女戦士!!頼まれてた盾を大量に仕入れて来たよ」ガサー


商人「クロスボウもこの通り…よいしょ!!」ドサー


女戦士「ふむ…キ・カイの2連式だな?」


商人「うん…関税の影響で商船が入って来なくなったからすごく安かった」


女戦士「石炭は高く売れたか?」


商人「ハハ思い通りだよ…地庄炉村で買った価格の倍以上で売れたさ…生活必需品は何でも高騰してる」



スタスタ



アサシン「商人!ここに居たか…」


商人「あぁ今資材を降ろし終わった所さ…僕を探してた?」


アサシン「ふむ…情報屋がギャングの様子を心配して居てな…話が聞きたいと言って居る」


商人「あぁ…その件か…」


アサシン「ギャングとは誰だ?」


商人「キ・カイの地下に住む孤児の集まりさ…アサシンは知らなかったのか…」


アサシン「やっと理解した…10歳前後の子供が含まれている訳か」


商人「うん…情報屋の子供がギャングの中に居てね」


アサシン「今の状況だと何処かへ避難させた方が良さそうだ…」


商人「そう上手くも行かないんだよ…彼等には彼らの意思があってね…まぁハッキリ言うと言う事聞かない」


アサシン「兎に角情報屋が話を聞きたがっている…行ってやれ」


商人「分かったよ…じゃぁリカオン!そういう事で僕は行って来る」ノシ


狼女「どうして置いて行こうとするのよ!!」カチン


アサシン「リカオン!私と共に来い」ヤレヤレ…


狼女「ベロベロベロベロベーーー」シュタタ


商人「…」




『居室』



ガチャリ バタン



魔女「そうじゃ…確か重力の方陣は天体の周期を求める数学じゃった…」ブツブツ


魔女「時空の方陣は重力とほぼ同じじゃ…2枚の方陣に穴を開け三次元化した物がワームホール」ノソノソ


魔女「つまりじゃ…時間の流れは一方向では無い…時空を超えて未来へ行く事は可能なのじゃ…」ブツブツ


魔女「…では夢幻とは何かをもう一度考え直してみよう…」ノソノソ



商人「あ…」ポカーン


情報屋「商人!来たのね…キ・カイの様子は?ギャング達は無事?」


商人「あぁ…今の所変わりは無いよ」


情報屋「ホッ…安心したわ」


商人「でも子供の徴兵制が可決して混乱してる最中だよ」


情報屋「混乱とは?」


商人「親が子供を隠してるんだ…そうなる事は初めから分かってるのに」


情報屋「尚更ギャング達が標的になってしまう…」


商人「いや…彼らはちゃんと逃げ道を知って居るらしい」


情報屋「どうして分かるの?」


商人「ハーフオークの子がオークと結託を始めてるんだ…オーク側に行けるんだよ」


情報屋「それは影武者さんからの情報?」


商人「うん…」


情報屋「完全に戦争の真っただ中に行ってしまうじゃない」


商人「キラーマシンにされてしまうよりはマシさ…」


情報屋「どうにか出来ないの?」



だぁぁぁぁ!! なんじゃこりゃぁぁ!!



情報屋「ハッ!!盗賊が目を覚ました…」ダダ


盗賊「目が見え無ぇ…どうなってんだ?」


情報屋「まだ動かないで?石化が完全に解けていないわ…エリクサーを一口飲んで」


盗賊「んあ?その声は情報屋か?」


情報屋「聞こえるのね?私よ?」


盗賊「喉がカラカラなんだ…声が出しにきい…ゲホゲホ」


情報屋「はい…エリクサーよ」クイ


盗賊「むぐ…」ゴク


情報屋「ホラ!ワインもあるわ?」


盗賊「おぉ!!ソレだソレ!!見え無ぇ!!」スカ スカ


情報屋「ここよ…手を」グイ


盗賊「ヌハハ…瓶だな?ようし!!手に入ったらこっちのもんよ…」キュポン


情報屋「良かった…元気そうで本当に良かった…」プルプル


盗賊「むぐっむぐっ…ぷはぁ!!」ゴクゴク


商人「アハハ…酒飲みながら石化したのに目を覚ましてやっぱり又酒か…」


盗賊「石化?何の話だ?俺はハテノ村で酔いつぶれて寝てたんじゃ無ぇのか?」


商人「ハテノ村?」


盗賊「そうよ…ハテノ村開拓して酒場作っただろ…そういや情報屋はいつ来たんだ?」


情報屋「…ちょっと待って…メモするわ」カキカキ


盗賊「いやぁぁしかし良く飲んだ…海賊王の爺が持って来た酒がまたキツイ酒でよ」


商人「これは…」


情報屋「…」コクリ


盗賊「んん?何かしゃべれよ…俺は目が見えなくて寂しい訳よ」


商人「ハハそうか…もっと思い出話聞かせてよ」


盗賊「どっから話せば良いんだ?そうだな…情報屋はハテノ村に来たこと無いだろ?初めから説明してやる…」



お前が居ない間俺はハテノ村の子供達と知り合った訳よ…ほんで…


-------------


-------------


-------------



『翌日』



んがががが すぴー



情報屋「…やっと寝たわ…そっちはどう?」


商人「魔女の独り言を僕一人でメモするのはちょっと厳しい…手伝って」カキカキ


情報屋「魔女は寝ないつもりね?」



魔女「アーデモナイ…コーデモナイ…」ブツブツ



商人「難しい言葉ばかり使うんだ…」メモメモ


情報屋「魔女は自分でメモを取って居るわね…」


商人「もうメモ取らなくて良いかな?」


情報屋「今まで取ったメモを見せて?」


商人「ふぅ…やっと解放された」


情報屋「…ええと…」


商人「何か分かる?」


情報屋「やっぱり!!魔女も地軸の移動を経験してる…子供が生まれない原因の事も…」


商人「そうだね…そんな事言ってた」


情報屋「盗賊も一貫して子供が生まれない病気の事を言ってて…子供達を守る為にハテノ村の開拓をしたと…」


商人「これは同じ夢幻を見た…もしくはそこに居たという事だ」


情報屋「未来君の証言とも完全に一致するわ…つまり未来君は本当に未来を変えたという事」


商人「待てよ待てよ…寝ると記憶を失うと言ってたな」


情報屋「次元と調和するというアレね…」


商人「次に盗賊が起きた時には夢幻の記憶を少し忘れてる筈だ…そしてどんどん今の次元に調和して行く」


情報屋「魔女はそれを知って居るから一人で全部書き残そうとして居るのね」


商人「なんか分かって来た…次元を飛ぶとそれまでの事は夢だと認知してしまうんだな?」


商人「どんどん忘れて行って顔も名前も思い出せなくなる…」


商人「どうすれば固定化出来る?」


情報屋「寝ない事…未来君は寝ないで維持しようとした」


商人「盗賊を叩き起こそう…」ダダ



ポカ!



盗賊「んが!?んがががが…すぴー」zzz


情報屋「それじゃダメよ…」


商人「どうやって起こせば良い?」


情報屋「私がやってみる…」



情報屋「盗賊?起きてる?私子供が出来たみたいなの…欲しがってたでしょう?男の子よ?」



盗賊「んあ?…マジか?男だって?」ムクリ


情報屋「ほらお腹を触って?話しかけてみて?」


盗賊「おおおおお!!ここに居るのか…おーーい!!聞こえているかぁぁ!?」


商人「…」ポカーン


情報屋「あなたずっと寝て居たのだからもうしばらく寝なくて良いでしょう?」


盗賊「ちっと頭がぼーーーっとしてよ…俺何してたんだ?」


情報屋「ちょっと石化してただけ…」


盗賊「石化?んぁぁぁ覚えて無ぇ…ちっと水くれ無ぇか?」


情報屋「そうね…お酒飲み過ぎね」



---------------


---------------


---------------




『基地_船着場』



トンテンカン ギコギコ



デッキ部に盾を並べて配置しろ


クロスボウは盾に隠した位置だ



女戦士「!?商人か…聞いたぞ…盗賊が目を覚ました様だな」


商人「うん…盗賊も記憶の混乱が起きてるよ」


女戦士「無事ならそれで良い」


商人「そろそろ女海賊も目を覚ますんじゃないかな」


女戦士「私が行ってやった方が良いか?」


商人「そうだね…僕よりはずっと良い筈」


女戦士「お前に又お使いを頼みたいのだが…」


商人「何かな?」


女戦士「妹の飛空艇を修復する為に金属糸が必要になると思うのだ」


商人「あぁキ・カイで売ってるね」


女戦士「それから気球の球皮…」


商人「球皮はピンキリだね…好みも有ると思うんだ」


女戦士「そうか…う~む…」


アサシン「私に案がある…クジラ型の球皮はどうだ?」


商人「お!?それ良いね」


狼女「そんな形の球皮なんかあるの?」


商人「細長い球皮は結構あるんだ…作らせれば良い」


アサシン「クジラの形状は私がデザイン出来る…意を汲んでくれる職人が居るかどうかだが…」


商人「探すよ…ただ資金が僕のお金だけじゃ足りないかも知れない」


女戦士「私の船に魔石とウラン結晶なら沢山積んであるが?」


商人「それはダメだよ…キ・カイにエネルギーを与えてはダメだ」


女戦士「キ・カイ政府に回らなければ良いのだろう?民は寒くて凍えて居るのでは?」


商人「う~ん…困窮している民からお金を搾り取るのは違う気がするなぁ」


アサシン「機械の犬に入っているエネルギーの尽きた機械はどうだ?」


商人「お!!?使い古した超高度AIか…なるほどもう使えない」


アサシン「闇商人としてキ・カイ政府に高額で売りつけるのだ」


女戦士「公爵は闇商人が白狼の一味だと知って居るのではないか?」


商人「いやそれは無い…知って居たとすれば僕はもう此処に居ない筈だよ」


女戦士「ではキ・カイから資金を搾り取る良いチャンスだ」


商人「一度遺物を研究している学者とコンタクトしてみる」




『新型貨物用気球』



スタスタ



アサシン「今回は私も同行する…調べたい事もあるからな」


商人「リカオンは?」


アサシン「勿論一緒に来る」


商人「良かった…気球の操作に自信が無くてさ」


アサシン「帆が付いて居ない様だが?」


商人「まぁプロペラで進むんだけど気付いたら全然違う方向に向かっててね…」



シュタタ スタ



狼女「…」ニヤニヤ


商人「ハハ分かってるって…君の力が必要だ」


アサシン「では行こう」スタ


------------




『上空』



パタパタパタ



アサシン「…これはどうにか改良した方が良い」


商人「やっぱりそうだよね…ちょっと遅いよね」


アサシン「我々が帆付きの気球に慣れているせいでもあるが…」


商人「荷が大量に乗せられるのだけが利点」


アサシン「本来は沖へ停船している船への物資運搬用なのだろうな」


商人「リカオン?改造出来たりしないかい?」


狼女「無理…」


商人「ハハやっぱりそうだよねぇ…」


アサシン「帆船を良く知って居る盗賊か女海賊に頼むのだな」


商人「海賊の基地に戻ったら頼んでみるよ」



-------------



『後日_商人ギルド大部屋』



ガチャリ バタン



商人「寝泊まりはこの部屋でお願い…僕は学者とコンタクトする調整とかで出かけてしまうから自由にしてて」


アサシン「護衛は要らんのか?」


商人「う~ん…」チラリ


狼女「…」ニヤ


アサシン「私は金をあまり持って居ない…リカオンをよろしく頼む」


商人「ちょ…」


狼女「フードをどっかに無くしたんだ…お金頂戴!」


商人「…」アタタタタ



--------------



『隠し部屋』



カチャリ ギーー



商人「戻ったよ…近況を教えて欲しい」


影武者「はい…この方は以前訪ねて来られた…」


商人「あぁ紹介して居なかったね…僕達の仲間さ」


影武者「そうでしたか…追い返して済みませんでした」ペコリ


狼女「…」チラリ


商人「それで…例の法案可決の影響とかどうなってる?」


影武者「徴兵の具体的な内容が通知されて落ち着きを取り戻して来ました」



徴兵は10歳~16歳までの子供が強制的に軍へ編入される物なのですが


17歳になるまで軍の学校へ通った後…退役するという内容でした



商人「つまり軍事学校だと言うのか?」


影武者「はい…一時子供を隠す動きがありましたが今は落ち着いて居ます」


商人「くそぅ!!それじゃ子供の数人がキラーマシンに変えられても脱走とか事故だとか何とでも言い訳が出来る!!」


影武者「…」


商人「他に変わった事は?」


影武者「魔石が供給過多で値下がりしています」


商人「関税が掛かっているのに何故?」


影武者「分かりません…ですから買い入れは一時ストップしています」


商人「調べる必要があるな…もしかすると古代遺跡からウラン結晶が大量に発掘されて居るかもしれない」


影武者「私もそう思います…関税を重くして流通が減っても自前でエネルギー確保出来る確約があったと思われます」


商人「マズいな…後手に回ってしまった」


影武者「ですがご安心ください…商人ギルドとしての損失は軽微です」


商人「今の所はね…一度本店を移した方が良いかも知れないなぁ…」


影武者「そうは思いません…軍の特需で鉄鋼と石炭の需要が高い為現状でも十分利益が出せます」


商人「チカテツ街道の奥か…」


影武者「はい…」


商人「でもそれではキラーマシン量産の手助けになってる…」ドン!


影武者「…」


狼女「私がその坑道を壊して来ようか?」


商人「いやそういう問題じゃない…壊した所で別の場所から仕入れるだけになる」


狼女「別の場所も壊せば良いじゃない」


商人「問題はソコじゃない…子供達が犠牲になってる事を明るみにして全員で抵抗しないとダメだ」


狼女「そんな事出来る?」


商人「魔女なら出来る」ギラリ


商人「魔女なら大勢の人を幻惑して真実を信じ込ませる事が出来る筈…それしか無い」



---------------



アーシロ コウシロ…


鉄鋼と石炭で利益確保する代わりにその他の物は価格を下げてみんなに還元しよう


とにかく流通が滞らない様に多少の負担は商人ギルドで受ける


キ・カイ僻地では商隊不足で物資の滞留が起きてるから商船はそちらに回そう



商人「あとこれは個人的に仕入れたい物資なんだけど…金属糸と気球の球皮を買い入れたい」


影武者「球皮?どの様な球皮でしょう?」


商人「職人と話を付けて欲しい…特注になるから図面は後で手配する」


影武者「予算はどの位で考えて居ますか?」


商人「そうだな…球皮だけで1000金貨くらい」


影武者「商人ギルドの資金から出すのですか?」


商人「いや…僕がお金を調達する…ギルドの資金には一切手を付けないよ」


影武者「分かりました…早速職人と話をしてみます」


商人「いつも悪いね…」




『地下_中央ホーム』



ワイワイ ガヤガヤ



商人「ここで君のフードを買ってあげるよ」


狼女「お金頂戴!」スッ


商人「出来るだけ怪しい感じのフードを選んでくれるかな?」ジャラリ


狼女「どうして?」


商人「この後ちょっと危ない交渉に行くつもりなんだ…君は謎の人物という設定で行きたい」


狼女「危ないと言うのはどういう意味?」


商人「もしかすると殺されるかも知れない…君の鼻が頼りになる」


狼女「フフやっと楽しめるかぁ…」


商人「護衛頼むよ?」



-------------



『ジャンク屋』



ガヤガヤ ガヤガヤ



店主「いらっしゃい…ウシシシ久しぶりだね?又何か持ち込みかい?」


商人「まぁね?今回のは特別さ…買い取って貰えるかな」


店主「今度はどんな機械かねぇ…ウヒヒヒ」


商人「触るのは厳禁だよ?…この瓶の中に入ってる…まず鑑定してくれるかな」


店主「鑑定もタダじゃないよ?」


商人「分かってるさ…」チャリン


店主「どれどれ見せてみソラシド…」


商人「これさ…」スッ



-------------



店主「おぉ?…待ちぃ待ちぃ…おおお?」ジロジロ


商人「さぁそこまでだよ…返して」グイ


店主「待て待て待て…これを何処で手に入れたんか?」


商人「この人が北の大陸から持って来たらしい…」


狼女「…」ギロリ


店主「北の大陸…ちょっと待ちぃ!!店終いするけぇ…」ドタバタ


商人「これが何だか分かるかな?」


店主「顕微鏡で確認させて貰いたいんだけんども…奥の作業台まできぃ…」ドタドタ


商人「ビンから出さないで確認できる?」


店主「無理に決まっとろうが…顕微鏡で見んと鑑定できんがぁぁ…」ハァハァ


商人「じゃぁ少しだけね…空気に触れると酸化して価値が落ちるかもしれない」


店主「分かっとるわい!!見せぇ…」グイ



おおおお!!すんばらしいぃぃ!!


こんな細かいパーツにまで古代文字が記されて…



商人「はい終わり!!」グイ


店主「あぁぁん…もっと…もっと見せぇ」ハァハァ


商人「さてと…これを買い取れる人を探してるんだ」


店主「金貨100枚!!破格だよ?ウヒヒヒヒ」ジロリ


商人「何言ってるのさ…」


店主「即金!即金で今すぐ出す…」ハァハァ プルプル


商人「桁が2つ違う…金貨10000枚なんだ…そうだよね?」


狼女「…」ギロリ


店主「誰やぁぁ!!こいつはぁ!!」プルプル


商人「それは言えないらしい…」


店主「そそそ…そのビンの中に空気と埃がぁぁ…それじゃダメダ~メ」プルプル


商人「だからビンから出したく無かったんだよ」


店主「そりは…雑に扱ってはいけない物」ハァハァ


商人「知ってるさ…だから買い取れる人を探してるんだ」


店主「この店で買い取れる訳無ぇけ?」


商人「店主さん元は学者だとか言ってたじゃない…誰か知らないの?」


店主「イカンイカン…研究は私ががが…」ヨタヨタ ズデン!


商人「他のジャンク屋行って見よう…」スタ


店主「待てぇぇ~い!!」ドタドタ ズコー


店主「明日もう一度持って来ぃ…知り合い連れて待っとるじょ」


商人「行こう…」グイ スタスタ




『中央ホーム』



ガヤガヤ ガヤガヤ



商人「ここから君の鼻が必要になる…誰かに付けられて無いかな?」


狼女「人が多すぎる…」クンクン


商人「さっきの人は結構有名な科学者だったんだよ…なんでかジャンク屋になっちゃってるけど」


狼女「怪しい動きは無かった様に見えたが?」


商人「あの人が監視されてるのさ」


狼女「ふむ…」


商人「店を閉めるのは明らかにおかしい行動だよね?」


狼女「警戒し過ぎでは?」


商人「ジャンクパーツ見た?」


狼女「見て無かった」


商人「あの人はキラーマシンの生みの親の一人だよ…あそこのジャンク品はキラーマシンをバラした物ばかり」


狼女「では軍の関係ね…」


商人「あ!!…カイサツ門の所で検問やってる」


狼女「え?もう動いてる訳?」


商人「ダメだな今日は地上に上がらない方が良さそうだ…デパチカ居住区の方に商人ギルドの支店があるからそっちに行こう」スタ




『商人ギルド支店』



ワイワイ ガヤガヤ



狼女「ここもあんたの建屋か?」


商人「まぁね…でも僕はこっちに殆ど顔を出さない」


狼女「あんたどんだけ金持ちなの…」キョロ


商人「建屋提供してるだけさ…運用資金はギルドの物で僕の財産じゃない」


狼女「ふ~ん…見た感じこっちで取引してる人は本店の方と違う層かな」


商人「うん…こっちは主にトロッコで運ばれた地下資源の取引所だね…鉄鋼と石炭が主だよ」


狼女「ここにも隠れ家あるの?」


商人「こっちさ…」スタ




『隠れ家』



ガチャリ ギーー



商人「入ってよ…」ガチャ ガサガサ


狼女「ちょっと…散らかりすぎね…足の踏み場もない」


商人「ハハ僕が一人で使うとこうなる」


狼女「これ全部ジャンクパーツ?」


商人「そうさ…キラーマシンの部品とか古代の謎の部品とか」


狼女「組みあがってるキラーマシンは動くの?」


商人「魔石入れたら動く筈…ただ本当の初期型だから戦闘には向かない」


狼女「ガラクタなのね…」


商人「でもトロッコ動かすのには使える筈なんだ…人力じゃ大変だから」


狼女「ふ~ん…あんたがそう言うと言う事はトロッコ使って何かするつもりだったんだ?」


商人「そうだよ…トロッコ使って古代遺跡の調査に行きたかったんだ…でも一人じゃ行けないからここで腐らせてる」


狼女「面白そうだ!!私が行ってあげる」


商人「ダメダメ…鍵開けが必要になるから盗賊が行かないと意味が無い」


狼女「じゃぁ盗賊呼んで来よう」


商人「正気に戻ったらだね…それよりさ?」


狼女「ん?」


商人「アサシンの用事って何なのか知ってる?」


狼女「あぁ…キ・カイに諜報に入ってる盗賊ギルドの仲間が音信不通なんだ」


商人「確認に来てるという事かい?」


狼女「そうなるかな…他にもキ・カイ要人の不審死が続いててその確認だよ」


商人「あ…知ってるぞ!盗賊ギルドが何か関係してるのかな?」


狼女「アサシンは一切関わって無い…それとセントラルでも同様に貴族の不審死が続いて居るんだよ」


商人「まさかそれは公爵が関わって居る?」


狼女「アサシンはそう思ってる筈…」


商人「なるほど読めて来たぞ…変化の杖とかで公爵が姿を変えたとして元の人は色々不審に思う…だから消される訳か」


狼女「公爵が誰に化けて居るのか分からないから魔女の助言が欲しい…それが私達の目的だった」


商人「待って…」


狼女「ん?」


商人「その逆もある…公爵は白狼の盗賊団に魔女が居る事を知って居るんだ」


狼女「それが何か?」


商人「公爵からすると何処に魔女が潜んで居るか分からない…公爵も誰が信用出来るか分からないんだよ」


狼女「だから不審死が起きてる?」


商人「まてよ…そもそも公爵の目的は何なんだろう?どうしてあちこちで政治的な影響を行使するんだ?」


狼女「キ・カイがオーク領に攻め入ってる理由も分かんないね」


商人「そうか!!古代遺跡だ…古代遺跡で何か探してるんだ」


狼女「外海の調査も?」


商人「そうだね…セントラルもキ・カイも古代遺跡を目指してる…目的はどちらも一緒なんだ」


狼女「古代遺跡に何が?」


商人「色々だね…古代兵器もそうだけどホムンクルスが居るかもしれない…他にも…ああああああああああ!!」


狼女「え!!?何?」


商人「分かった…古代の船だ…空飛ぶ古代の船を探してる」


狼女「それ何?」



オーク領にあった未来君の壁画にオークの起源が記されて居たらしい


そこには空飛ぶ船が描かれて居てオークは宇宙から来た外来種だと解釈してた


公爵の目的は人類の絶滅防ぐ為に僕達とは違った手段で黒の同胞団と結託して暗躍して来た


そのすべての計画が僕達によって破綻してしまったんだ


最後の手段として空飛ぶ船を使って人類を逃す…考えそうな事だよ



狼女「その話だけ聞くと英雄の様だけど…それに振り回されてどれだけの人が亡くなって居るのか…」


商人「そうだね…迷惑な話さ」


狼女「人類の滅亡って本当に起きるのかな?」


商人「んんん…どうだろ?確か…一定以上人口が減ってしまうと遺伝的に繁栄出来ないとか聞いたな」


狼女「それは子供が生まれないという奴?」


商人「詳しくは良く分からない…ほら?近親相関を繰り返すと劣性遺伝するとかいうやつかな?」


狼女「わからんわからんわから~ん!!」


商人「まぁでも今いま滅亡を言われてもピンと来ないね」


狼女「兎に角公爵がどういう動きをするか分からないから盗賊ギルドは身動き取れなくなってる」


商人「アサシンがそれで苛立って居るのは理解出来たよ」


狼女「それで?これからどうするの?今日はここに隠れて終わり?」


商人「君はこの場所を覚えたね?」


狼女「うん…」


商人「お願いがある…アサシンを探してここまで連れて来てもらえないかい?」


狼女「あんたはどうするの?」


商人「僕は荷物が有るから隠れて居るさ」


狼女「ガラクタと一緒にここに置いて行けば良いじゃない」


商人「あ…ハハハそれもそうだね…待てよ良い事思いついた」


狼女「??」


商人「この超高度AIをここで闇商人が買い取った事にすれば良い…ちょっと帳簿に細工してくる」タッタッタ



-------------


-------------


-------------




『カイサツ門』



ザワザワ ザワザワ


何なんだよ急に検問なんか…


ほら荷物全部出せ!!



商人「何か有ったのかな?」シラジラ


衛兵「軍の小型精密機械が盗難に遭ったそうだ…荷物は無いか?」


狼女「ちょっとおしり触らないで!!」


衛兵「何も持って居ないな?」


商人「どんなもの?」


衛兵「それは言えん!!ふむ…探知機は作動せんな…」


商人「お金は返してよ…」


衛兵「ほら持ってけ!!通ってよし!!」ジャラリ



--------------



スタスタ



狼女「随分厳重な事…」


商人「怖いねぇ…クロスボウこっち向けられてると」


狼女「不死者でも怖い?」


商人「あれゾンビ対策で先端に銀を使ってるんだよ…」


狼女「フフそういう事ね」


商人「因みに…ウェアウルフもタダじゃ済まないよ」


狼女「そんな事知ってる」


商人「君は怖くない?」


狼女「まだ殺気が無いから撃って来ないの分かるし…」


商人「おーそういう感覚は僕分からないんだよなぁ…風が読めないのと一緒か…」


狼女「あんたはセンス無いから」


商人「はいはい…」




『翌日_本店の隠し部屋』



ガチャリ ギーー



影武者「商人さんお話が…」


商人「なに?」


影武者「支店の方で8000金貨の不足がありまして…」


商人「あぁ…連絡忘れてたゴメン」


影武者「どういう事でしょう?」


商人「金貨は支店の隠し部屋に置いてある」


影武者「何か有ったのですか?」


商人「ちょっと取引帳簿の細工をしたくてさ…闇商人が8000金貨支払った履歴を作りたかったんだ」


影武者「はぁ…」ポカーン


商人「金貨は今日戻しておくから安心して」


影武者「安心しました」


商人「それから多分数日の内に政府が僕にコンタクト取って来ると思うんだ」


影武者「どういった案件でしょう?」


商人「精密機械を取り引きしたいと言って来るだろうさ」


影武者「…なるほど帳簿の履歴はその為なのですね?」


商人「うん…僕が本当に金貨を支払った証拠が作りたかったんだよ…それでちょっとギルドのお金借りた」


商人「まぁこれで闇商人が8000金貨支払う価値の有る物だという事が知れ渡る訳さ」


影武者「その取引は私が対応するのでしょうか?」


商人「そうだなぁ…よし!!任せようかな」


影武者「分かりました…詳細を教えてください」



今日その精密機械をある場所に隠して来る


それで政府から入金が確認されたらその場所を教える…



商人「まぁ簡単な取引だね…直接会わないで書簡でのやりとりで出来る取引だよ」


影武者「高額取引ですが入金に応じますかね?」


商人「応じない場合他国に渡るとでも言っておけば良いさ」


影武者「私に任せて頂けるという事は金貨では無く相応の利権でも構いませんね?」


商人「任せる…とりあえず球皮を調達する資金にしたいだけだから」


影武者「お任せください」




『数日後_商人ギルド大部屋』



ガチャリ バタン



商人「呼んだかい?」スタ


アサシン「呼び出して済まんな…頼みたい事が出来たのだ」


商人「何かな?」


アサシン「盗賊ギルドの諜報員が地下牢に留置されている様なのだ」


商人「保釈金を用意して欲しい?」


アサシン「軽犯罪だから直に出て来るからそれは良い…ただ急ぎで話を聞き出したい」


商人「看守の買収かぁ…う~ん」



トントン



アサシン「ん?誰か来た様だ…」


狼女「影武者の匂い…」クンクン


商人「影武者かい?入っていいよ」


影武者「失礼します…」ガチャリ バタン


商人「どうしたんだい?」


影武者「役所から公示送達が届きました…これを」パサ


商人「なんだろう?」


影武者「…」


商人「なんだこれ…脱税の疑いで事情聴取?出頭拒否の場合は身柄拘束…アハハやってくれるねぇ」


影武者「私が出頭して黙秘でよろしいですか?」


商人「それは色々困るなぁ…物資買い入れとかその他取り引きがある」


影武者「脱税は一切やって居ませんので証拠不十分になるかと思います」


商人「多分8000金貨が何処から出て来たとか…そういう嫌がらせだね」


影武者「出頭拒否するのですか?」


商人「まぁ…向こうがどんな証拠を集めて来るか知らないけど…どうするかなぁ」チラリ


アサシン「黙秘で良いなら代わりに私が出頭しよう…丁度諜報員から話が聞きたかった」


商人「そう言ってくれると思った…」ニヤ


アサシン「キ・カイでの拘留期間はどの位になる?」


商人「向こうが用意する証拠次第だけど証拠無しの場合は法的に48時間で釈放しなきゃいけない」


影武者「無実が証明された場合拘留中の損失を相手に支払わせる事も出来ますので直ぐに釈放の可能性もあります」


商人「おぉ!!それ面白い…リカオン!大至急女戦士との取引証明貰って来て」


狼女「どういう事?」


商人「例の精密機械をドワーフの国に10000金貨で売る契約さ…取引日時は今日で良い」


影武者「フフ…」ニヤ


アサシン「なかなかイヤらしい作戦だな…法の強制力で無理矢理支払わせるか」


影武者「提出用の出納記録を用意しておきます…脱税をしていない証拠になります」


商人「じゃぁリカオン!ダッシュでお願い!」



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『海賊の基地』



シュタタ シュタタ



女戦士「ハッ!!ウェアウルフ?」ズザザ


ウェアウルフ「わたし!!わたし!!」シュタ


女戦士「リカオンか驚かせるな…どうした?何か有ったのか?」


ウェアウルフ「この書面にサインお願い!!契約印も必要だって言ってた」パサ


女戦士「なんだこれは…闇商人との取引契約だと?」


ウェアウルフ「事情が有って直ぐにこれを持って帰らないと…」


女戦士「ドワーフの国が精密機械を10000金貨で買い取る…だと?」


ウェアウルフ「ちょっと色々訳アリなんだよ…直ぐに戻らなきゃいけない」


女戦士「10000金貨は直ぐに用意出来んのだが…」


ウェアウルフ「要らない要らない!!これは契約不履行させる証拠に使うんだよ」」


女戦士「話が良く分からん」


ウェアウルフ「迷惑は掛けないから急いでサインを…」


女戦士「まぁ良い…詳しくは後で聞かせろ」スラスラ



ドタドタ ヨタヨタ



盗賊「いよ~う!!なんでウェアウルフになってんだ?」ヒック


ウェアウルフ「あ…盗賊!正気に戻った?」


盗賊「戻ったも何も初めから正気だ…ほんで何やってんのよ?」


ウェアウルフ「キ・カイで色々トラブルがあってね」


盗賊「今からローグと一緒に気球でキ・カイに行こうと思ってたのよ…乗ってくか?」


ウェアウルフ「本当に!?助かる!!」


ローグ「頭ぁ!!ほんじゃ調達行ってきますぜ?」


女戦士「悪いな…品目を記しておいた…持って行け」パサ


ローグ「どんぐりにキノコ…魔法の触媒…あぁぁ硫黄が手に入らんかもっすねぇ…」


盗賊「商人が向こうに居るからなんとかなんだろ」


ローグ「そーっすねぇ…とりあえず商人ギルドに行きやしょう」


盗賊「いんや…まず酒場だ」


ウェアウルフ「あのさ…どうでも良いけど早くしてもらえる?」


盗賊「おぉ悪りぃ悪りぃ…じゃ行くか!」



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『貨物用気球』



フワフワ バサバサ



盗賊「…ほんじゃ闇商人に成りすましてアサシンが牢屋の中か?」


ウェアウルフ「この契約書は無実の拘留で生じた損失を証明する為の物…分かった?」


盗賊「つまりキ・カイ政府に対する圧力の一つって訳か」


ローグ「その損失は払わなきゃならんのですかね?」


ウェアウルフ「さぁ?私に言われても分からない」


盗賊「法の番人が法を犯す訳に行か無えんじゃ無ぇか?」


ローグ「そもそもその取引が違法だとか言いだしかねやせんぜ?」


盗賊「こりゃ公正取引の証明書だよな?」


ウェアウルフ「無実の拘留という事になれば良いけど…」


盗賊「もしかするとキ・カイに入って即俺が動く感じになるかもな?」


ローグ「闇商人が脱税した証拠を盗む訳っすね?」


盗賊「てか脱税した証拠ってどうやって把握すんだ?」


ウェアウルフ「あ…マズい…変体が解けそう」


ローグ「ちょちょちょ…脱いだ着替えは何処にあるんすか?」


ウェアウルフ「破れてどっか行った」


盗賊「お前裸で帰るつもりだったんか…」


ウェアウルフ「考えて無かった…変体解けると寝ちゃう」


盗賊「なんだお前世話の焼ける…」


ローグ「空の樽があるんでそれに入れて商人ギルドまで行きやしょう」


ウェアウルフ「あとお願い…寝る」シュゥゥ


盗賊「マジかよこいつ…女海賊並みのアホだな」


ローグ「いやぁぁぁ良い眺めっすねぇ…」ジロジロ


盗賊「樽に突っ込むぞ?」ヨッコラ ドサリ




『夜_キ・カイ街道』



ヨッコラ ヨッコラ



衛兵「おい!!お前達2人…ここで何をしている?」ジロジロ


盗賊「何をしてるってお前…見りゃ分かるだろ…樽運んでるんだ」


衛兵「中身は何だ?」


盗賊「おいおい勝手に触るんじゃ無ぇ!!」


ローグ「衛兵さん何なんすか?持ち物検査かなんかでやんすか?」


衛兵「そうだ!!持ち物を見せろ」


盗賊「くぁぁぁ…何なんだよ何かあったんか?」ヨッコラ ドスン


衛兵「調べさせてもらう」


盗賊「なんだその探知機は?」



ピーーーーー



衛兵「持ち物を出せ!」


盗賊「嫌だと言ったらどうなるんだ?」


衛兵「脅すつもりか?笛を吹くぞ」スチャ


ローグ「盗賊さん…ここは従っときやしょう…」ゴソゴソ


衛兵「見せろ…ダガー2本と雑貨類…それから金貨の入った袋…」


ローグ「なんも持っちゃ居やせんぜ」


衛兵「次!!お前!!」


盗賊「ちぃ!!」ゴソゴソ ジャラジャラ


衛兵「なんだこの鍵の束は…ロックピック…お前は泥棒だな?」


盗賊「そんな証拠が何処に有んだよ」


衛兵「樽の蓋を開けろ」


盗賊「ほう?お目当ての物じゃ無かったらどうなるか分かってんだろうな?」ギロリ


衛兵「どうなると言うのだ?」


盗賊「二度とその口が利けん様にしてやる…良いか?俺は必ず実行するからな?」


衛兵「開けろ」


盗賊「…」パカ


衛兵「お…女?…裸」ジロリ


盗賊「さぁどうなんだ?お目当ての物なのか?」


衛兵「裸の女をどうした?」


盗賊「んなこた聞いて無えんだよ!!お目当ての物かどうか答えろ…」


ローグ「衛兵さん…悪い事言わないんで逃げて下せぇ…あっしには止められやせん」


衛兵「おい!!目を覚ませ…起きろ!!」ペシペシ


狼女「ううん…ん?」パチ


衛兵「おい大丈夫か?」


狼女「あれ?ここ何処?もう着いた?」


ローグ「ちっとトラブルっすねぇ…裸見えちまいやすんで隠してて下せぇ」


衛兵「お前達!!なんて紛らわしい事を…行け!!」


盗賊「んあ?何言ってんだコラ!!お目当ての物かどうか俺が聞いてんだろうが…答えろ!」


衛兵「違った様だ…早く行け!」


盗賊「ローグ!リカオン連れて先行っとけ」


ローグ「分かりやした…お大事に」ヨッコラ ヨタヨタ



衛兵「何をする気だ?」タジ


盗賊「俺は先に言ったよな?必ず実行するとな?」


衛兵「貴様!!衛兵を馬鹿に…」



ドン!! ボカッ!!



衛兵「ぐはぁ…」ドタ


盗賊「ベロ出せ…引っこ抜いてやる」グイ



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『商人ギルド』



ピーーーーー



商人「なんだか外が騒がしいな…どうしたんだろう?」


影武者「リカオンさん遅いですね…」



ローグ「おろろ?出迎えでやんすか?」



商人「ローグ!!どうして此処に…」


ローグ「リカオンを運んで来やした」


狼女「…」ヒョコ


商人「あ…樽の中か…」


狼女「変体が解けちゃって…」


商人「遅いから心配してたんだ…大部屋の方に」


ローグ「分かりやした!!リカオンが裸なんすが…」


商人「うわ…また着替えを破ってしまったね?」


狼女「急いでて忘れてた」


商人「まぁ良いや…それで契約書は?」


ローグ「ここに有りやす」パサ


商人「よし!間に合った…影武者!急いでこれを届けて」


影武者「はい…」スタ


商人「さぁローグ…中に入って」




『大部屋』



ガチャリ バタン



ローグ「いやぁぁぁここに来るの久しぶりっす…」ヨッコラ ドスン


商人「ほらリカオン?着替えだよ…今度こそ破らないで」ファサ


リカオン「眠い所を無理やり起こされたんだ…起きてから着る」


商人「そうか…まぁ寝てて良いよ…走って疲れただろうし」


リカオン「グルル…グゥ」zzz


商人「契約書がギリギリ間に合って良かった…提出期限が夜明けまでなんだ」


ローグ「リカオンさんに聞きやしたぜ?法の強制力で政府にお金を支払わせるとかなんとか…」


商人「まぁどんな言い逃れしてくるのかも楽しみだ…これで僕を拘束するリスクを向こうは知る訳だよ」


ローグ「支払うとは思えんのですが…」


商人「支払わなくても10000金貨の価値があると認めざるを得ない…まぁ駆け引きやってるのさ」


ローグ「無実を証明出来るんでやんすか?」


商人「んんん…向こうがどんな証拠揃えてくるか分からないのがねぇ…」


ローグ「実はっすね…盗賊さんも一緒に来てたんすが今衛兵と揉めててですね…」


商人「外が騒がしいのはそのせい?」


ローグ「そうでやんす…盗賊さんもキ・カイ到着したら早速俺の出番だとか言ってたんで…もしかすると…」


商人「どういう事?」


ローグ「わざと捕まろうとしてるかも知れんでやんす」


商人「あぁ…アサシンと合流しようとしてるって事?」


ローグ「へい…大体事情知ってるもんすから」


商人「衛兵と揉め事程度なら軽犯罪…まぁ直ぐに出て来るだろうね」


ローグ「ハイディングも出来るし鍵開けも出来るんで心配はして居やせん」


商人「まぁ僕達は何もせず高みの見物だね」


ローグ「もし有罪になったらどうするでやんすか?」


商人「何の脱税か知らないけど不足分を支払うのと仮釈放の分も支払う…」


ローグ「損しちまいやすよね?」


商人「どうかな?支払った分を上乗せした価格で精密機械を売る様にすれば良いだけかな…カードは僕が持ってる」


ローグ「なるほど…値下げには一切応じないスタンスを見せる訳っすね」


商人「そういう駆け引きなのさ…だから尻尾捕まえられない様に何もしないのが一番」


ローグ「向こうが買い取りを諦める可能性はどう考えていやす?」


商人「他国に技術を売られるのってどう思うだろうね?無視出来ると思う?」


ローグ「いやぁぁあっしには難しくて分からんす…」


商人「楽しみだねぇ…フフフ」




『キ・カイ地下牢』



ズダダ!! ドテ!!



盗賊「痛ってぇな…」スリスリ


看守「大人しくしてるんだなガハハハ」ドスドス


アサシン「クックック…アッハッハ…何をしている?」


盗賊「またえらくボロイ牢屋だ…話し声が丸聞こえじゃ無えのか?」


アサシン「お前は何故牢に入れられたのだ?」


盗賊「衛兵をボコボコにしてやったのよ…そんだけだ」


アサシン「ふむ…お前の怪我は大した事無さそうだ」


盗賊「まぁな?速攻降参したからよ…ほんで?そっちは何の罪状よ?」


アサシン「謂れの無い脱税」


盗賊「証拠は?」


アサシン「さぁな?」


盗賊「ちっと見て来るか?」


アサシン「…」ジロ


盗賊「まぁ見てろ…10分で戻る」チャラリ


アサシン「フフ牢の鍵か…すでにスっていたとはな…」


盗賊「寝てる振りでもしてろや…」カチャリ キー



ハイディング スゥ…



-------------


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『10分後』



リリース スゥ…



アサシン「何か分かったか?」ヒソ


盗賊「どうやら有形文化財の取引には50%の税金が掛かる様だ…いくらで買った事になってるのか知ってるか?」


アサシン「金貨8000枚だそうだ」


盗賊「つまり金貨4000枚の脱税ってこったな…どうすんだコレ?」


アサシン「払えば問題あるまい?」


盗賊「まぁ払った後に拘留中の損失分金貨10000枚返してもらえりゃ6000枚儲ける訳か…悪く無ぇ」


アサシン「その事実を知れば釈放するしか無いだろうな…更なる損失分を請求される羽目になる…クックック」


盗賊「しかし有形文化財扱いで無理矢理税金取ろうなんざセコイ真似しやがる」


アサシン「対象品目があいまいなのだろう…政府の良い様に出来る様にな」


盗賊「さぁて俺は用が済んだ訳だし返るか…」


アサシン「待て…これを商人に持って行け」パサ


盗賊「ん?メモか?」


アサシン「顕微鏡で拡大して見ろ…地図になっている」


盗賊「マジか…」


アサシン「盗賊ギルドの諜報員が調べた地下線路図なのだ…発見された古代遺跡の行き方も記されて居る」


盗賊「おぉ…とりあえず戻ってからしっかり見るわ…で?その諜報員は何処行った?」


アサシン「5分程前に脱獄した…牢が開いて居たからな」


盗賊「そら騒ぎが起きる前に俺も出とかんとヤバいな」


アサシン「私は寝たふりで残るから早く行け」


盗賊「おう!じゃぁな?」



ハイディング スゥ…



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『翌日_商人ギルド隠し部屋』



ガチャリ ギーー



影武者「…戻りました」


商人「どうだった?」


影武者「はい…税金の不足分は支払いを済ませて来ました」


商人「読み通りだったね?…それで契約書の方はどういう反応?」


影武者「先日予定していた取引の契約書3枚提出して明らかに顔色が変わって居ました」


商人「鉄鋼と石炭の大口受けも停止したんだね?」


影武者「はい…本日の分も提出しようとしましたが断られましたので直に釈放されるかと思います」


商人「さぁ次はどう来る?回収する為に何かのレート変えて来るよね」


影武者「暗殺の可能性が高くなりましたね…キ・カイに利する動きが必要に思います」


商人「ふむ…よーし分かった…精密機械を譲渡して摩擦を避けようか」


影武者「良いのですか?」


商人「向こうにはトータルで僕が2000金貨損失してる様に見えてるんだ」


影武者「鉄鋼と石炭の分を含めるとプラスマイナスゼロですが…」


商人「ここで手を引いてこの件に関わりたくないと見せかける」


影武者「分かりました…アサシンさんの釈放と同時に隠し場所を開示します」


商人「うんそれで良い…金貨10000枚にはならなかったけど…まぁ6000儲けたら十分か」


影武者「政府との喧嘩はやはりリスクが高いですね」


商人「今回の件で君は気付いたかな?キ・カイ政府で足並みが揃って無さそうだという事を…」


影武者「その様ですね…法の力を行使しようと策を張って来たのは経済産業省…」


影武者「一方で強行で拘留を行使したのは軍部…足並みが揃わないせいでしっぺ返し食らった形です」


商人「うん…拘留せずに税金の支払い義務が有るとだけ伝えて来ればこちらは支払うしか無かった筈なのに」


影武者「経済産業省は頭が回る様ですので今後注意しておきます」


商人「いやぁ…君は本当に優秀だ」


影武者「お恥ずかしい…今後も頑張ります」




『大部屋』



ガチャリ バタン



商人「あれ?盗賊はもう釈放されたの?」


盗賊「いよう!!脱獄して来た…ヌハハハ」


商人「ハハまぁ無事なら良いんだ」


ローグ「商人さんこれ見て下せぇ…これ凄いっす」パサ


商人「んん?何だろう?」


盗賊「良く目をかっぽじって見てみろ…」


商人「お?…これ何かの地図?」


盗賊「そうだ…そんなに小さくどうやって書き込んだのか気になるだろう?」


商人「すごいな…小さすぎて良く見えない」


ローグ「商人さん顕微鏡持って無いでやんすか?」


商人「下の隠し部屋にあるよ」


ローグ「なんでもキ・カイの地下路線図が描かれて居るらしいんす」


商人「えええ!!?本当?」


盗賊「盗賊ギルドの諜報員からの情報なんだとよ…ずっと牢屋に入れらてた様だ」


商人「どうして地下路線図なんか調べてるんだ?」


盗賊「詳しくはアサシンに聞かんと分からんな…とりあえずそれを商人に渡せと言われて持って来た訳よ」


商人「ん?僕にちゃんとした地図を書けという事かな?」


盗賊「さぁな?お前は古代遺跡の場所を知りたかったんだろ?それも書かれてるらしいぞ?」


商人「おおおお!!」


盗賊「俺らローグとリカオンの3人で酒場で遊んで来るからよ…地図は任せた」


商人「そうかい…まだ聞いて無かったんだけど女海賊は元気?」


盗賊「体は元気なんだが情緒不安定でな…もうちょい掛かるんじゃ無ぇか?」


商人「盗賊はもう平気なんだね?」


盗賊「たまに混乱するがまぁ大丈夫だ」


商人「夢幻の記憶かな?」


盗賊「それが自分じゃ分かん無ぇ訳よ…そのうち慣れるだろ」


商人「なるほど…そういう感じね」



夢幻を忘れて行ってるのは自分じゃ気付けない…そうやって大事な記憶を無くすんだ


今の次元に調和する…こういう事なんだな




『商人ギルド前』



ザワザワ ザワザワ


あのフード被ってるのが噂に聞く闇商人らしい…


政府の軍部と何かの取り引きで拘束されたらしいぞ?



アサシン「私は見世物か?いつになったら釈放するのだ?」


兵隊「例の精密機械が確保されたのが確認されてからだ」


アサシン「クックック…良いのか?今日の損失分を又請求する事になるのだが…」


兵隊「それは上部に言ってくれ…私はただ上部に従っている身…」



ザザー こちらB18…指定の位置で対象を発見した…


鑑識にて特A級精密機械である事を確認…早々に被疑者を解放し取引を完了せよとの事



兵隊「こちらE2…了解!ただちに指定の箱と被疑者解放を実施して帰還する」


アサシン「私の勝ちか?」


兵隊「その様だ…箱の中身を確認して書面にサインを」


アサシン「…との事だ」


影武者「確認は僕が対応するよ…良いかい?」


兵隊「構わん…早くやってくれ」


アサシン「では私は喉が渇いた…建屋に戻るが?」


兵隊「行ってよし!!箱の確認は早く終わらせるんだ!!」



ザワザワ ザワザワ


おぉぉ金貨が詰まってる…


すげぇ!!何の取り引きだったんだ?


特A級精密機械って聞こえたぞ…何だか分かる奴いるか?




『商人ギルド_大部屋』



ガチャリ バタン



アサシン「商人…ここで見て居たのか」


商人「フフ無事に取り引き終わった様だね…ほらワインだよ」キュポン


アサシン「ふぅぅ…軍部があまりにもザルなのが良く分かった」グビ


商人「ザル?」


アサシン「脱獄が簡単なのだ」


商人「あぁそれはワザとだね…脱獄させて罪を上乗せするんだよ」


アサシン「そういう事か」


商人「特に肩書のある人は脱走が簡単な牢に拘留されるらしい」


アサシン「盗賊達はどうした?」


商人「酒場に遊びに行くと言ってたよ…まぁ僕も仕事に戻るからアサシンも酒場に行ってみたら?」


アサシン「そうだな…集まっている人が掃けたら行って見るか」


商人「いやぁぁ闇商人が有名になってしまったね?」


アサシン「お前には都合良いだろう?」


商人「まぁね?お陰で仕事しやすい」



トントン



影武者「私です…」


商人「入って?」



ガチャリ バタン



影武者「よいしょ…よいしょ…」ヨッコラ ドスン


商人「兵隊は帰った?」


影武者「はい…書面に受け取りのサインをしたら直ぐに引き上げました」


商人「ギルドの資金から借りた分はここから持って行って良いよ」


影武者「わかりました…」


商人「あと君の頑張りの分で3000枚くらい持って行きなよ」


影武者「え!!?」


商人「僕はクジラの球皮が調達出来ればそれで良かったんだ…まぁ上手い事使ってよ」


影武者「こんな大金…使えません」


商人「何言ってるのさ…あ!!そういえば君は気球が欲しいと言ってたよね?」


影武者「あ…」


商人「買っちゃったら?どうせお金が何に使われてるのか監視されてるだろうからサッサと使おう」


影武者「監視…ですか」


商人「政府に反する使い方して無いのを示す必要もあると思うんだよね」


影武者「そうですね…分かりました」




『酒場』



ワイワイ ガヤガヤ



盗賊「…じゃぁキ・カイで蔓延してる黒死病は治せないって事か?」


アサシン「そうだ…人間の体が本来持って居る免疫力で石化していると言うのだ」


ローグ「体の一部を機械に変えるのがそもそも間違いでやんすね」


アサシン「機械を外してしまえば石化の進行は止まるのだが…失った手足が生えて来る事はもう無い」


ローグ「北の大陸の黒死病と南の大陸の黒死病は違う病気だったんすね」


アサシン「いや…北の大陸の黒死病は病原体が浸食するのを体の免疫力が働いた結果石化する」


アサシン「エリクサーは病原体を不活性化する事が出来るから石化が完治する」


アサシン「だが南の大陸の黒死病は体に浸食した機械を体が病原体だと誤認して免疫力が働く…そして石化だ」


ローグ「エリクサーじゃ機械を不活性化出来ないって事っすね」


アサシン「そういう事らしい」


盗賊「せめて子供達が機械化の道を選ばん様にせんとな」


アサシン「それをキ・カイ政府がとうの昔に知って居たと言うのが問題なのだ」


盗賊「機械化を推進してるのが機械省だっけか」


アサシン「うむ…反対して居るのが環境省…この2つが大きく政府内で対立関係にある」



機械化による石化という事実を隠蔽し…治るという薬を売りつけ民から搾取する


これが奇しくもフィン・イッシュ経済を支えて居たのだが


キ・カイ政府内の力関係が変わり薬に効果が無いという事実が表に出て来た


加えて関税による影響もあってフィン・イッシュはポーションで資金調達出来なくなった


我々はこの一連の動きが公爵の計略だと思って居たのだが…実はそうではない



ローグ「なるべくしてなってるって感じっすね…」


アサシン「うむ…キ・カイに送った諜報員のお陰で事の真因が掴めた」


盗賊「公爵はフィン・イッシュに殆ど関わって居ないと見るか?」


アサシン「断言は出来んがその可能性が高いと判断する…私が間違って居た」


狼女「じゃぁ一旦公爵を追うのは終わり?」


アサシン「それよりももっと気になる事案が有ってな…」


盗賊「ほう?何よ?」


アサシン「機械化の行きつく先は何だと思う?」


盗賊「キラーマシンか?」


アサシン「脳の機械化だ…どうやら何年も前に既に成功しているらしい」


盗賊「脳を機械にするって…そりゃホムンクルスみたいなもんだな」


アサシン「キ・カイの政務官は表には出てこない…何故なら全身機械化しているからだ」


ローグ「マジっすか…」


アサシン「つまりだ…キ・カイの重要事項は機械が決めて居るのだ…既に機械によって支配されて居ると言って良い」


盗賊「まぁでも元は人間なんだろ?」


アサシン「機械に支配されていないと言い切れるか?」


盗賊「う~む…良い政治ならどっちでも良いが…」


ローグ「エネルギーの無くなった超高度AIでしたっけ?…それが欲しかった理由はもしかして能力上げたかったんすかね?」


アサシン「そうかもしれん…もしくはそれに入れ替える」


盗賊「ちょい待て…それはアダムと同じじゃ無ぇか?」


アサシン「私が言いたいのはソレなのだ…機械化…それはアダム化なのだよ」


狼女「またあの光る隕石が飛んで来るかも知れないという事?」


アサシン「情報屋が前に言って居たのだ…4000年以上昔ウンディーネの時代…争って居たのは人間と機械なのだと」


アサシン「最終的に人類は機械によって滅ぼされ…機械はエネルギー枯渇ですべて停止した」


盗賊「おいおい酒がマズくなるぜ…滅びの話はもうウンザリだ」


ローグ「そーっすね…お宝探しの話にしやしょう」


盗賊「おおおソレだそれ!!実はよ?ハテノ村にな?…」



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『商人ギルド_隠し部屋』



ガタン! ガラガラ



商人「んん?影武者かい?」ノソリ



シーン…


ヒュゥゥゥ…



商人「あれ?裏口から風が…影武者なんだろう?何かあったのかい?」キョロ



タッタッタ シュタ ブン!



商人「うわっ…き…君は…」タジ


悪ガキ「ちぃ…見つかったか…」チャキリ


商人「危ない物を持って居るね…ミスリルのダガーか…」


悪ガキ「悪いけどコレは返してもらう…追いかけて来ないで」


商人「それは君達が扱える物では無いよ…」


悪ガキ「友達だったんだ…閉じ込めて置けない」


商人「…」ジロ


悪ガキ「そこをどいて欲しい…お世話になった人を傷付けたくない」スチャ


商人「君は事の真相を知って居るんだね?…その脳をどうするつもりだい?」


悪ガキ「仲間に加える…ずっと一緒なんだ」


商人「…そうか」トーイメ


商人「わかった…友達を弔ってあげてくれ」


悪ガキ「もうここに迷惑は掛けないから…僕の事は放って置いて」


商人「無茶な事はしない様にね?」スッ


悪ガキ「泥棒みたいな真似してゴメンよ…じゃ」



タッタッタ 



商人「フフ…盗賊にそっくりじゃないか」


商人「友達の為に危険を顧みず…か」


商人「あ~あ…散らかしちゃって」ガサガサ


商人「…あれ?地下路線図はどこだ?」



んあぁぁぁ!!な~い!!




『数日後_商人ギルド』



ワイワイ ガヤガヤ



商人「なんだ僕の気球と同じ物を買ったのか…」


影武者「最新式はどうしても売れないとの事でした…仕方ないです」


商人「まぁ政府相手だと売ってはくれないだろうね」


影武者「でも改造をある方にお願いしましたので」


商人「ある方?」



盗賊「お~い影武者ぁ!!資材は気球に入れといて良いんだな?」



商人「もしかして…」


影武者「バレてしまいましたね…商人さんの気球も同時にお願いしてあります」


商人「なんだそういう事か…いくらでお願いしたのかな?」


影武者「俺にやらせろと息巻いて居ましたのでタダかと…」


商人「まぁやらせてて問題なさそうだ…それで?クジラ型の球皮の方は調達出来たかい?」


影武者「はい…今気球に積んで居る所です」


商人「よしよし…飛空艇が修理出来れば名もなき島にも行けるようになる…」


影武者「盗賊さんとローグさんが物資を積んで海賊の基地に戻られる様ですが…商人さんはどうされますか?」


商人「僕はここに残って色々仕込みをやるよ…トロッコの準備とか色々ね」


影武者「例の古代遺跡へ行く計画ですね?」


商人「うん…どうにかして古代のエネルギーを入手したいんだ」



盗賊「おい!!そろそろ出発しようと思うんだが…アサシンとリカオンは何処行った?」ダダ



商人「盗賊ギルドの諜報員と会うといって何処かに行ったよ」


盗賊「なんだ置いて行って良いんだな?」


商人「もう一基貨物用の気球があるから大丈夫さ」


盗賊「分かった…俺ら先に戻ってるからよ?後は適当に合流してくれ」


商人「適当か…ハハ」


盗賊「おいローグ!!どっちが早く到着するか賭けるぞ」


ローグ「ええええ!?それ早く言って下せぇ…こっちはクロスボウ大量に乗せてるんで重いんでやんす」


盗賊「うるせぇ!!負けた方が金貨100枚払うな?」


ローグ「いやいやいや…そんな持って無いでやんすよ」


盗賊「女戦士に泣きつきゃどうとでもなるだろうが!行くぞ!!」ダダ


ローグ「あぁぁ!!待って下せぇズルいっす」ダダ



商人「フフ…さぁ仕事に戻ろうか」


影武者「はい…予定の取り引きに出かけて来ます」スタ



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『海賊の基地』



フワフワ ドッスン



盗賊「ヌハハハハハハ!!俺の勝ちだ!!」


女戦士「何を一人で騒いでいる!!物資調達は済んだのか?」


盗賊「おう!!新しい球皮を調達して来たぜ?」


女戦士「それは良かった…魔女と女海賊の依頼した物も忘れて居ないだろうな?」


盗賊「乗ってるぜ?」


女戦士「急ぎで運んでやってくれ…何やら試したいのだそうだ」


盗賊「ぐぁぁぁ…ローグが居無ぇ!!何やってんだアイツ!!」


女戦士「何を言って居る…サッサと荷物を運ぶのだ」


盗賊「ちぃぃぃ雑用が俺に回って来ちまった…」ヨッコラ ヨタヨタ



女戦士「むぅ?もう一基同じ気球が…」



盗賊「おお!!やっと来たか…」


女戦士「どういう事だ?」


盗賊「もう一基買った訳よ…あっちにも物資が積んで在る」


女戦士「なるほど…では向こうにローグが乗っている訳か」


盗賊「そうだ…あっちにゃクロスボウが大量に乗ってる」


女戦士「クロスボウはもう必要無いが?」


盗賊「このデカい気球に搭載するんだ」


女戦士「ふむ…まぁ良い!早く魔女の所へ荷物を運んでやってくれ」


盗賊「へいへい…」ヨタヨタ




フワフワ ドッスン




ローグ「頭ぁぁぁ!!」ヒョコ


女戦士「ご苦労!!ローグ…来い!」


ローグ「へい?」


女戦士「体が硬くなって来た…マッサージを頼む」


ローグ「うひょおおおお!!今行きやす!今行きやす!」スタコラ


盗賊「ちぃ…アイツ…」




『居室』



ガチャリ バタン



魔女「…この式が太陽の周りを周回する惑星の周期じゃ…そしてこれが4000年周期で回る黒色惑星」


情報屋「ダメね…桁が多すぎて私達じゃ正確に計算できないわ」


魔女「じゃろうのぅ…ホムンクルスが居れば計算させられるのじゃが…」



盗賊「おいおい俺が帰って来たのに気付かねぇのか?」ヨッコラ ドスン



情報屋「あら?戻って居たのね…議論に熱中してて」


盗賊「女海賊は何やってんだ?」



女海賊「…」ブン ブン ピタリ



魔女「魔人の金槌を振り回して夢を見て居る…依存せねば良いが…」


女海賊「ぶわぁぁぁん…ちゃんと呼んで!」ブン ブン


盗賊「記憶の方はどうなんよ?」


情報屋「割としっかりしてるから大丈夫よ…物資が何も無くてやる事が無かったの」


盗賊「そうか…なら良いんだ」


情報屋「あなたは混乱して居ない?」


盗賊「俺は良く分かん無ぇな?夢だったのか現実だったのか考えるのもメンドクセェ」


魔女「うむ…それで良いじゃろう」


盗賊「ほんで?この落書きの山は何なんだ?」


魔女「落書きでは無い…情報の整理じゃ」


情報屋「そうよ?魔女が見た夢幻の記憶を整理して歴史を紐解こうとしているの」


盗賊「そうか…まぁ俺にゃ関係無えかヌハハ」


魔女「わらわが頼んだ触媒は入手したのかえ?」


盗賊「あぁここだ…箱の中に小分けしてある…確認してくれ」



ドドドド



女海賊「私のどんぐりは!!?あと松脂と硫黄…ほんで砂鉄!!」


盗賊「今持ってくるから待ってろ」


女海賊「あぁぁ待ってらんない…私が行く!!何処!?」


盗賊「まぁ慌てるな…持って来てやっからよ」



ピューーーー スタコラ



情報屋「フフ元気を取り戻したみたいね」


盗賊「てかアイツ水浴びしたか?匂うんだけどよ…」


魔女「言う事聞かんのじゃ放って置け…」




『10分後』



ヨッコラ ドスン!!



盗賊「ほら追加の物資だ…こら情報屋の物だろ?」


情報屋「盗賊?少し離れてて…」


盗賊「んん?どうした?」


情報屋「テーブルの陰に…」グイ


盗賊「魔女がなんか魔法使おうとしてんのか?」


情報屋「重力の魔法を試そうとして居るのよ」


盗賊「ほう?」



魔女「アブラカタブラ…重力魔法!」フワ



盗賊「何も起きんが?」


魔女「成功じゃ!!やはり夢幻の記憶は正しい様じゃ…見てみよこの小石を…浮いて居るじゃろう」


盗賊「小石?…確かに空中で止まってんな…」


魔女「これは重力を蓄える術じゃ…落下のエネルギーを蓄えて空間で静止しておる」


情報屋「魔女?それは危険だと思うわ?」


魔女「そうじゃな…爆ぜよ!」



シュン! カン!



盗賊「おぉぉぉ!!飛んでった…」


魔女「どこまで蓄えられるか実験したい所じゃが…これは禁呪にせねばイカン術じゃろうのぅ」


情報屋「落下エネルギーの蓄積を解放するのを忘れてしまうと大変な事に…」


魔女「うむ…大惨事になりかねぬ」


盗賊「今のは初めて使う魔法なんか?」


魔女「そうじゃ…重力と時空の魔方陣が理解出来たからのぅ…これで夢幻の記憶が正しい事が証明された訳じゃ」


情報屋「未来君が未来から来た話も全部本当だった」


魔女「夢幻から来たと言う方が正しいぞよ?わらわ達は只覚えて居らんかっただけじゃな…」


盗賊「ほーん…で?なんかヒントあった訳か?」


情報屋「アリアリよ…未来君の歩んだ歴史の殆どが解明したわ」


盗賊「てことはもう足取り追わんでも良いって事か…」


情報屋「あなた達が行ったニライカナイ…ここを拠点として時の王の時代までは行き先がほぼ分かった」


情報屋「白骨化していたエルフの事も辻褄の合う伝説だったのよ」


盗賊「おぉ…そういや金髪エルフの白骨有ったな…誰よ?」


情報屋「それは700年前の犬神伝説…エルフに従う犬神…犬神は剣士と未来君本人だった様ね」


盗賊「なるほど…」


情報屋「フィン・イッシュに伝わる一角仙人の伝説も全部剣士と未来君…ニライカナイを行き来してたの」



その同時期に時の王と行動を共にしていて…セントラルの建国やシン・リーンに伝わる伝説で暁の使徒として生きた


後に虫を従えてドリアードを倒したのも剣士と未来君…私達の知って居る伝説は必ず剣士と未来君が関わってる


そして暁の使徒が倒れたのは3800年前…恐らく暁の墓所で眠ってると思われる


この後剣士一人で4500年前に飛んだ…ここでオークの地に剣士が予言を残した…



盗賊「暁の使徒が倒れたという話は女海賊に教えたんか?」ジロ


情報屋「教えたわ…遅かれ早かれ知る事になるから」


盗賊「それであの様子か?」


情報屋「何も言わない…認めたくないのでしょう」


盗賊「行くって言いださんな?」


魔女「本人が行くと言うまで触らぬ方が良かろう…認めたくないのは分からんでもない」


盗賊「ちっと俺の記憶の話なんだが…」


情報屋「なにか付け加える事でも?」


盗賊「前にハテノ村にある古代遺跡に行っただろ?」


情報屋「フフそういえば一緒に行ったわね…」


盗賊「あそこには遺物がわんさか有ったんだが…確かそこにも壁画があった筈なんだ」


情報屋「え!!?本当?」


盗賊「あとな?こりゃ夢の話なんだがあそこの木の下に大事な物を埋めた気がするんだ…なんか関係ありそうじゃ無ぇか?」


情報屋「ふむ…だとすると3100年前か3800年前のどちらかね…まだ足りない壁画が有ったのね」


盗賊「こういう前向きな話をアイツに伝えてやるべきだ…アイツはまだ信じてんだよ…約束を」



ドドドドド



女海賊「今なんてった!?ハァハァ…」


盗賊「いよーーう…聞いてたんだな?」


女海賊「まだ壁画あるんだね?」


盗賊「まぁそういう事よ…宝探しに行くか?ハテノ村まで」


女海賊「決まってんじゃん!!」


盗賊「おっし!!ほんじゃ飛空艇修理すっか!!」



女海賊「こらぁぁぁ!!海賊共ぉぉ!!」チャキリ!ターン ターン ターン ターン



海賊共「へ…へい!!」ドタドタ


女海賊「お姉ぇの船はもう修理終わったよね!?次は私の飛空艇修理すんよ!!来い!!」


海賊共「がってん!!」ドタドタ





『飛空艇本体』



カサカサ ブーン



盗賊「おいおい…アラクネーが陣取ってたら近付けんのだが…」


女海賊「これさ…ホムちゃんが一人で何年も生活してたんだよ」


盗賊「その様だな?」


女海賊「船体の穴塞ぐのに鳥の羽詰め込んだり…多分苦労したと思うんだ」


盗賊「お前これそのままにしておくつもりで居たのか?」


女海賊「ホムちゃんの生きた思い出壊したく無かったんだよね…」


盗賊「何て言うか…虫の巣穴なんだがよ…」


女海賊「ホムちゃんゴメン!!もっかいやり直す事に決めた…だからちっと掃除する!!」



ガッサ ガッサ



盗賊「おいおいおい…アラクネーは大丈夫なんだろうな?」


女海賊「ん?あぁ…アンタは線虫居ないからビビってんだね?線虫!!行け!!」ニョロ


盗賊「いやアラクネーでビビんない奴はお前ぐらいだ…」タジ


女海賊「あれ?何コレ?」ガラガラ


盗賊「おぉ…そういやオリハルコンの武器を持って帰って来たんだった…」


女海賊「ちょいお姉ぇ呼んで来てよ…お姉ぇ欲しがってたのさ」


盗賊「うむ…全部出しといてくれ」ダダ


女海賊「あ!!こんな所に妖精の笛落ちてる…あぶあぶ…無くす所だった」


女海賊「ぬぁぁ樽は全部虫食ってダメだぁ…」



カサカサ カサカサ



女海賊「分かった分かった…新しい巣穴作ったげるから騒がないで」ガッサ



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『数分後』



ツカツカ…



女戦士「お前…何をしている?」


海賊共「姉さんが飛空艇の掃除してるんですが…俺ら近付けなくてですね…」


女戦士「フフそれで隠れて居ると言うか」


海賊共「へい…」


女海賊「あ!!お姉ぇ!!」


女戦士「呼ばれて来てみたが…お前は散らかして居るのか?」


女海賊「お姉ぇに良い物あるよ…コレ!」ポイポイ



カラン カラーン



女戦士「んん?」


女海賊「オリハルコンの武器だよ…欲しかったでしょ?」


女戦士「おお!!何処でコレを…」


盗賊「例の島で見つけたもんだ…どうやら時の王が残した武器らしい」


女戦士「時の王が…」


女海賊「刀身は痛んで無いから研ぎだけやれば使えそうだよ」


女戦士「この様な良い武器を雑に扱うな…」ガサリ


女海賊「どう?」


女戦士「ふむ…細身で軽いががなかなか良い剣だ」ブン



”やっぱり女だったんだね…”



女戦士「ハッ!!こ…これは」タジ


盗賊「ん?どうした?呆けて居るぞ?」


女戦士「いや…今夢を見た…」


女海賊「お?もしかして呪われた武器?」


女戦士「これが破壊の剣と言う物…なのか?」


盗賊「ほう?俺にも使えるか?」ガサリ ブン



”お酒飲むでしゅ!!”



盗賊「あ…赤毛の…」


女海賊「間違いなさそうだね…それ何でも切れるから研がなくて良いかも」


女戦士「柄は私が作ろう…盗賊!すべて鍛冶場に運んでくれ」


盗賊「おう!俺にも一本くれい」




『大型の気球』



トンテンカン トンテンカン



サイドマストからスプリットに大き目の三角帆だ…これで上昇気流を推進力に変えられる


プロペラはそのまま尾翼替わりに使うから残してくれな?



ローグ「海賊さ~ん!!こっちもお願いしやす!!」


海賊共「がってん!!」ドタドタ


盗賊「クロスボウはデッキ上に均等に配置だ」



ツカツカ



女戦士「ロープだらけの気球になったな…」


盗賊「そらそうよ…帆船はロープワークが重要だからな」


女戦士「フフ…どうだ?うちの海賊共は」


盗賊「おぉ…さすがドワーフなだけあって器用だ…特にロープの細工が良い」


女戦士「この気球には何人乗れるのだ?随分大きいが…」


盗賊「15人って所だな…まぁ空中要塞よ」


女戦士「大きさ的に船には乗らんだろうから海は超えられんな…」


盗賊「女海賊がウラン結晶使って良いって言ってたからイケる筈」


女戦士「そうか…では揺れんで済む分船より快適か」


盗賊「まぁ女海賊の飛空艇の方が船に乗せられる分何かと便利なのは確かだ…あっちはハイディングもあるしな」


女戦士「アダマンタイトか…」


盗賊「これ用にそんな都合良いサイズなんか無いだろう?」


女戦士「金塊があれば魔女に作って貰えるかもしれんが…良い顔はせんだろうな」


盗賊「ところで女海賊の飛空艇は手伝わんで良いのか?」


女戦士「本人が邪魔だと言っているのだ…放って置け」


盗賊「全然組み上がって居ないが…」


女戦士「正直私は妹にゆっくりしてもらいたいのだ」


盗賊「そうか…まぁ慌てんでも良いが」




『飛空艇の残骸』



カーン カンカン カーン カンカン



盗賊「ようよう…何作ってんだ?今度は金属製か?」


女海賊「帆の代わりになる物…」トンテンカン


盗賊「んん?骨と金属の組み合わせでか?」


女海賊「この隙間から風が出る仕組みなのさ…風の魔石で推進させる」


盗賊「なぬ?帆無しで推進するってか?」


女海賊「折角クジラの形してんだからさ…帆なんか付けたらクジラじゃ無くなるじゃん」


盗賊「いやまぁ…好きに作って良いが…風の魔石で推進するってのはシン・リーンの気球だろ?」


女海賊「遅いのは分かってるよ…でもその原因は空気抵抗のせいなのさ…それはちゃんと計算してる」


盗賊「ほーん…で?今作ってるのはヒレにあたる部分だな?」


女海賊「正解!!ちょいそっち側持ってて」


盗賊「お…おう」グイ


女海賊「ちっと魔石入れて風出してみる…」ゴソゴソ


盗賊「ほーう?空気を一旦溜めて噴き出す仕組みか」


女海賊「破裂するかも知んないから気を付けといてね…」


盗賊「マジか…」


女海賊「いくよ?」



シュゴーーーーーーー



盗賊「どわっ!!おとととと…」ヨロ


女海賊「もうちょい調整必要だけどまぁまぁかな…」


盗賊「なんでこんなに風が出んのよ?魔石一個だろ?」


女海賊「この隙間から勢い良く噴き出すとさ…周りの空気も一緒に吸われて質量流量が増えるのさ」


盗賊「ほーーーーすげぇな」


女海賊「このヒレの部分がサイドマストの代わり…固定翼になる予定」


盗賊「俺は何か手伝うつもりで来たんだが…」


女海賊「あっちのでかい気球はもう終わったの?」


盗賊「まぁな?あんまやる事無ぇ」


女海賊「ほんじゃさぁ…球皮膨らませて船体を一回吊ってみてよ」


盗賊「んん?まだロープも何も付いて無いが…俺がやって良いのか?」


女海賊「重心がどの辺に来るのか知りたいのさ…一回吊って重心の位置寸法測って欲しい」


盗賊「分かった…」


女海賊「同じヒレをもう一個作るからそっち任せる」


盗賊「おい!ローグ!!お前もヒマだろ…手伝え」


ローグ「はいなー!!」ダダダ




『クジラ型の球皮』



シュゴーーー ムクムク



ローグ「あらららら?なんかそんなに大きく無いっすね…」


盗賊「だな?キ・カイの気球は船体が軽いからな…前の球皮よりちっと小さい」


ローグ「材質も良く分からんでやんす…」


盗賊「炭素繊維とか言う材質だそうだ…丈夫で破れにくいらしいが…どうなんだろうな?」


ローグ「色がツヤツヤでクジラみたいっすねぇ」


盗賊「この球皮だけで金貨1000枚だぞ?」


ローグ「うは…高すぎでやんす」


盗賊「やっぱ異形の球皮だから重心寄ってそうだな…ちっと前寄りか」


ローグ「あっしが支えとくんで船体とロープで結んで下せぇ」


盗賊「おう!!」ダダ



--------------



フワフワ


あぁぁ!!ダメだダメだ…これじゃ球皮がかたぐ…もっと前で吊る


これ炉の位置買えないとはみ出しちまいやすぜ?


しゃー無ぇ一回外すか…



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--------------


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『クジラのヒレ』



盗賊「ダメだぁ!!やっぱ左右独立じゃバランス取れん!!」グラグラ


女海賊「ちょっと重さ違うだけでコレかぁ…連結しちゃうかぁ」


ローグ「これ真っ直ぐだからダメなんじゃないすかねぇ?」


女海賊「そだね…連結してヤジロベエみたいに少し垂らす感じで行くわ」


盗賊「設置場所はデッキ上で良いんか?」


女海賊「そこしか無いじゃん…船体貫通すると邪魔になる」


ローグ「尾びれはどうしやす?一緒にやらんと又バランス崩れやすぜ?」


女海賊「ちょい借り付けしといて!!船尾の再後端」


ローグ「テールマストの最後尾っすよね?」


女海賊「その予定…球皮の後端と繋げる予定なんだ」


ローグ「これ重さだけ先に合わせて置いた方が良いんで…何か仕掛け作るならその分何か乗せといた方が良いっすよ」


女海賊「ほんじゃ切り出してある骨のシャフトあるじゃん?それ2本テールマストに抱きつけといて」


ローグ「アイサー」ダダ シュタ




『クジラの尾ビレ』



トンテンカン トンテンカン



盗賊「ほーー…コレが舵部になる訳か…」


女海賊「うん…尾ビレだけ可動式」コンコンコン


盗賊「操作が簡単になりそうだな?」


女海賊「前の縦帆はロープワーク大変だったからホムちゃんに操作出来なかったんだよ」


盗賊「まぁ…力必要だからな…張り替えも難儀だった」


女海賊「今度のは尾ビレの角度をギアを介して変える仕組み…ホムちゃんでもなんとか操作できる筈」


盗賊「ふむ…左右旋回はヒレ部から出る風の調整だけなんだな?」


女海賊「そそ…空気が出て行く通路の開閉だけかな」


盗賊「ほんじゃ小回り効きそうに無えなぁ」


女海賊「あんま考えて無いよ…もしかしたら尾ビレと組み合わせて回れるかもって感じ」


盗賊「ふ~む…全体のフォルム重視か」


女海賊「私達を守ってくれたクジラを尊重したいんだ…出来るだけ似せて作る」


盗賊「ヌハハお前らしい…まぁ俺はそういうのキライじゃ無ぇ」


女海賊「今度は空を泳ぐんだ…あ!!!潮吹き機能も付けないとな…」


盗賊「お!!?良い案がある!!」


女海賊「何さ?」


盗賊「ウラン結晶に水掛けると水蒸気出るだろ…そいつを吹き出すんだ」


女海賊「おおおおおおおおお!!!アンタたまには良い事言うね!!」


盗賊「気に入ったか?」


女海賊「汽笛にして音が出る様にしよう!!ちょい作って来る!!」


盗賊「おいおい!!…ヒレの固定はまだ終わって無えぞ?」


女海賊「やっといて!!」ピューーーー スタコラ




『鯨型飛空艇』



フワフワ


ヒレは固定翼だから金属糸で突っ張ってしっかり固定しておいて


球皮とデッキ部の隙間は布で全部覆う…接着剤用意したからコレ使って



ローグ「こんな接着剤だけじゃすぐに剝がれちまいやすぜ?」


女海賊「大丈夫!!アラクネーの糸で補強すっから」


盗賊「なぬ!?」


女海賊「なんかアラクネーはこの飛空艇から出て行く気は無いみたい」


盗賊「デッキ上に巣を作るってか…」


女海賊「結局最後まで私等を守ってくれたのはアラクネーじゃん…アイツもクジラとホムちゃんの友達だったのさ」


盗賊「まぁ…好きにしてもらって良いが言う事聞くんか?」


女海賊「巣を荒らさなきゃ何もしてこないよ」


ローグ「ほんじゃデッキ上が巣になるんすね?」


女海賊「そだね…だから隙間なく布張って!風入ると寒いから」


盗賊「球皮が温いから風が入らにゃ結構快適かも知れん」


ローグ「餌はどうするんすか?」


女海賊「ハチミツを食べるっぽい…飛空艇の中でミツバチ育てれば良い」


盗賊「なるほど…ミツバチと共生関係か…土と花…ほんで光がありゃ永久機関か」




『テスト飛行』



フワフワ ドッスン



女海賊「…樽は水満タンで7つが限界かな」


盗賊「まぁ普通の貨物用と同程度だ…十分だろ」


女海賊「あと旋回性がやっぱ課題だね…ちっとヒレの先っぽ細工して傾けられる様に改造する」


盗賊「またバランス崩れやし無えか?」


ローグ「ちっと待って下せぇ…尾ビレと一緒に操作出来るようにすれば良く無えっすか?」


盗賊「ふむ…確かに尾ビレ操作でいちいち船尾まで行くのはメンドクセェな」


女海賊「仕掛けを前の方に持ってくるの大変だなぁ…」


ローグ「いっそのこと操作系は全部尾ビレ付近で良いんじゃ無えすかね?」


女海賊「前が見えなくなるのがさ…」


ローグ「横が見えれば十分っすよ…そうそう正面に何かあるなんて無えでやんす」


女海賊「おけおけ!一回やってみるわ」



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-------------


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『幽霊船』



ザブン ギシギシ



女戦士「フフ…空飛ぶクジラか…」


魔女「女海賊は立ち直った様じゃな?」ノソリ


女戦士「もう無茶はして欲しくないが…」


魔女「あの性格じゃで言う事聞かなかろう」


女戦士「うむ…そろそろ水浴びもさせないといけないのだが…」


情報屋「暖かいお湯なら良いのでは?」


女戦士「そうだな…湯を沸かすように計らう」


魔女「あ奴の入った湯には浸かりとう無いのぅ…」



ボエーーーーーー ブシューーー



女戦士「んん?」


魔女「ほう?クジラが潮を吹き寄った…」


情報屋「ウフフ…そんな機能まで付けたのね」


女戦士「虹だ…」



キラキラ キラキラ



情報屋「どうしてかしら?女海賊が作る物は何故か夢がある…」


女戦士「持って生まれた天性…」


魔女「ふむ…クジラが空を舞う姿は見ていて飽きんのぅ…」ウットリ



ボエーーーーーー ブシューーー


キラキラ キラキラ



------------


------------


------------



『鯨型飛空艇』



シュゴーーーー グググ



盗賊「どわぁぁぁぁ…」ゴロゴロ ドタ


ローグ「ちょちょちょ…」ズデン


女海賊「やっば!!コレ…」ググ


盗賊「おい!旋回やめろ!!」


女海賊「分かってるって…」グルグル


盗賊「樽がみんな転がっちまったじゃ無ぇか…」


ローグ「これ乗せた資材は全部ハンモックに吊らんと滅茶苦茶になりやす」


盗賊「おま…船体が真横向いてたんじゃ無ぇか?」


女海賊「尾ビレ使って旋回するとメッチャ旋回するわ…」アゼン


盗賊「危無ぇんだって!!窓からスッポリ落ちるぞ」


女海賊「なんか楽しくなって来たぞ!!」グルグル


盗賊「おいおいおい!!」ヨロ


ローグ「あららら?又でやんすか?」オトトト



シュゴーーーー グググ



女海賊「この姿勢で窓からクロスボウ撃てそう?」


盗賊「撃てるっちゃ撃てるが…足場がよ…」


女海賊「ちょい色々試すから戦い方考えといて…」グルグル


盗賊「おわわわ‥‥急降下か!!」


ローグ「これ海に落ちやせんよね?」ヨロ


女海賊「くそぅ!!推進の力だけじゃ海面付近まで降りられないか…」


盗賊「ふぅ…その場合球皮の熱も一緒に抜く必要がある」


女海賊「おけ!!もっかいやってみる」グルグル


盗賊「マジか!!…落下させんなよ?」


ローグ「こりゃ初めて乗った人は耐えられやせんぜ?」


女海賊「前の飛空艇より断然自由度高いから操舵がチョー楽しい!!」グルグル


ローグ「姉さん…聞いてやすかね?」


女海賊「もっかい!!右旋回しながら急降下!!」グルグル


ローグ「ちょちょちょ…」ゴロゴロ ズザザー


女海賊「ひゃっほーーーーう!!噴射!!」グイ



ボエーーーーーーー ブシューーーーー




『海賊の基地』



フワフワ ドッスン



情報屋「おかえりなさい!!見てたわ?クジラが潮を吹くのを…虹が出るのよ?」


盗賊「お…おう…」ヨロ


ローグ「この飛空艇に乗るのは覚悟が要りやすぜ?」ヘナヘナ



ツカツカ



女戦士「どうだ?空を泳ぐ気分は?」


盗賊「最悪だ…見ろ!この傷だらけの体を…」ボロボロ


女戦士「優雅に泳いでいたでは無いか…」


盗賊「優雅も何も飛空艇の中はてんやわんやな訳よ…天も地もありゃし無ぇ」



女海賊「おい!!2人共ハンモック作って!!」



盗賊「ちっと休憩させろや…」グダー


女海賊「課題見つけたんだ…私球皮の熱を早く抜く仕組み作るからハンモックやっといて!!」


女戦士「フフ楽しそうだ…」


女海賊「あと落下防止用のロープも張っといて!!どうすりゃ真横の壁に立てるかアンタ達の方が分かるよね!!」ピューーー スタコラ


盗賊「ったく人使いが荒いぜ…」


情報屋「下から見てる感じではゆっくり泳いでいる様に見えるのに…中はそんなに大変?」


ローグ「そら遠くなんでゆっくりに見えるんすよ…実際は中でゴロゴロ転がってるんす」


盗賊「兎に角地に足が付かん…転がって受け身も取れん」


ローグ「樽があちこちに行くんでマズそれからっすね…樽が無きゃもうちっと動ける気がしやす」


盗賊「だな?」




『翌日』



ヨッコラ ドサリ



盗賊「物資はハンモックで吊っといたぜ?」


女海賊「おけおけ!!ほんじゃどうすっかなぁ…とりあえず様子見に行くだけだから…」


女戦士「私も同行するぞ…」ツカツカ


女海賊「お姉ぇか…そうだね…あんまお姉ぇと行動した事無いな」


盗賊「俺は勿論行くよな?」


女海賊「今回はハテノ村がどんだけ灰で埋もれてるか見に行くだけさ…あんたはあのデカイ気球で来てよ」


盗賊「ちっと遅いが?」


女海賊「良いの良いの!!どうせ灰が積もっちゃってるから人駆が居るんだ」


盗賊「ふむ…」


女海賊「商人に相談してさ…働ける人を集めて欲しい」


盗賊「わかった」


女海賊「あと魔女と情報屋…アハハ全員女だね」


盗賊「まぁ今回は女だけで行って来い」


女海賊「4人なら広く使えて丁度良いさ」


女戦士「ふむ…女海賊!行く前に水浴びだけして行け…湯は用意してやる」


女海賊「ええええええ!!?」


女戦士「来い!」グイ


女海賊「ちょちょちょ…引っ張んないで!分かったから…」シブシブ




『幽霊船』



ザブン ギシギシ



ローグ!私はしばらく船を降りて妹の監視役をやる…


お前は幽霊船を指揮して一旦父の下へ戻り妹の無事を伝えろ


船に積んで在る酒は土産だ…代わりにミスリル銀を貰ってこい


それから黒の同胞達の基地で見つけた器具類を父に修理出来るか聞いてみてくれ



ローグ「次の合流は何処でやんすか?」


女戦士「ハテノ村から続く川の河口だな…物資補給の拠点にしたい…父にそう伝えて欲しい」


ローグ「分かりやした…ですがあっしは寂しいっす」


女戦士「妹があの感じだ…又居なくなってしまっては私が耐えられない」


ローグ「へい…」


女戦士「船を任せられるのはお前しか居ないのだ…私が帰る場所を守ってくれ」


ローグ「分かりやした…」


女戦士「そうだ…破壊の剣をアサシンにも渡してやってくれ…アレは良い物だ」


ローグ「あっしの分も何かありやすかね?」


女戦士「んん?お前はダガー以外の武器を使うのか?」


ローグ「ダガーがありゃ使ってみたいっす」


女戦士「残念だが無い…長物で良ければ好きに使って良い」


ローグ「邪魔になりやすね…あっしはやっぱミスリルダガーっすかね」


女戦士「又専用のダガーを作ってやるから待て」


ローグ「ウホホ楽しみっすねぇ…ウヒヒヒ」


女戦士「では後は任せた…」




『鯨型飛空艇』



フワフワ



魔女「なんと奇妙な気球じゃろうか…」ノソノソ


女海賊「乗ったらハンモックでくつろいでね」


情報屋「一応クロスボウの準備もあるのね」


女海賊「お姉ぇ!!早く乗って!!」


女戦士「さて…新型がどれくらいか見せてもらおう」スタ


女海賊「ほんじゃ盗賊とローグ!!後はヨロピコ!!」ノシ



シュゴーーーー フワフワ



盗賊「おーーーい!!この貝殻通じるんだろうな?」


魔女「無論じゃ…無くすで無いぞえ?」


盗賊「おっしゃ!!ローグ!!デカい気球で一旦キ・カイまで戻るぞ!!」


ローグ「もしかして又賭けっすかね?」


盗賊「当たり前ぇだ!!」


ローグ「今度は荷物がカラなんで負けやせんぜ?」


盗賊「ほう?やるってんだな?」


ローグ「ウハハハハ!!お先にぃぃぃ!!」ダダダ


盗賊「てめぇ!!」ダダ



-------------


-------------


-------------




『上空』



シュゴーーーーー



情報屋「帆のバタつく音が無いのね…」


女戦士「これはどの位速度が出ているのだ?」


女海賊「えーっと水頭圧と…水銀柱…ほんで気温が-20℃で対向風だから…時速60kmくらいかな?」


情報屋「その速度だと大体30日で地球一周する計算ね」


女海賊「追い風ならもうちょい速度出ると思う」


女戦士「早いスクーナーの2倍という所か」


女海賊「対向風で真っ直ぐ行けるのと…狭間入って短縮出来るの見込めば大分早い」


情報屋「高度はこれ以上上げられない?」


女海賊「まだ行けると思うけど寒すぎる…これ以上寒いと色々問題出るよ」


情報屋「じゃぁ未踏の地ではもっと巡航速度落ちるのね」


女海賊「未踏の地?なんで?」


情報屋「オークが乗って来たと思われる古代の船は…たぶん未踏の地で封印されてると思うから…」


女海賊「古代の船…きっとそれ使って月まで行けるよね?」


女戦士「…」ギロ


女海賊「お姉ぇそんな目で見ないでよ…もう行くって決めたんだからさ」


情報屋「それを確実にする為にまずはホムンクルスの意見聞かないとね」


女海賊「そだそだ…ホムちゃんを起こさないと」


魔女「その船が封印されておる地の見当はついて居るんか?」


情報屋「たぶん南極の方ね…オーク領の向こう側」




『山岳部』



シュゴーーーー グラグラ



女海賊「気流が安定しないな…山にぶつかって風が上向いてるのか…」


魔女「煙がポツポツ見えるのぅ…」


女海賊「小さい村がいくつかあるんだよ…なんとか生き抜いてんのさ」


情報屋「ハテノ村にも温泉が有ったわね?」


女海賊「らしいね?あの辺は火山地帯だからもう誰も居ないかも」


女戦士「南部はオークと争っていると言うがな…」


女海賊「昔からだね…キ・カイがどんだけ押し込んでるのか知らないけどさ」


情報屋「全然押し込めて居ないらしいわ?」


女海賊「なんか知ってんの?」


情報屋「キ・カイは硫黄が無くて遠距離の大砲が使えないのよ…主な戦術はキラーマシンを先頭にして後方からクロスボウ」


女海賊「それで良さそうじゃん」


情報屋「オークロードは知って居るでしょう?」


女海賊「あーーー石投げて来る奴ね」


情報屋「石の遠投でクロスボウ部隊がやられてしまって進軍出来ないって聞いたわ」


女戦士「なるほど…大砲が使えない影響がもろに出ているのだな」


情報屋「だからオークロードが石を投げられない地下線路からのゲリラ戦でしか戦果が出ていない…」


女海賊「じゃぁこの辺まで地下線路が続いてるんだ?」


情報屋「そうらしいわ…でも全然攻めきれて居ないらしい」


女戦士「空から攻めれば良いのでは無いか?」


女海賊「ダメダメ!!オークロードは槍も投げてくんだよ…危なくて上から近づくのもダメ」


情報屋「海軍が外海の調査に出たのもあって軍部はバラバラに思うわ」


女海賊「…てかオーク領攻める意味無くね?」


情報屋「そうね…馬鹿バカしい…」



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『キ・カイ_気球発着場』



フワフワ ドッスン



ローグ「ウハハハハハハ!!…あっしの勝ちでやんす」フン!!



フワフワ ドッスン



盗賊「くそがぁぁ!!」ドン


ローグ「これでおあいこでやんすね?ウヒヒヒヒ」ニマー


盗賊「しゃーねぇ…美味い酒が飲めると思ったんだがなぁ…」


ローグ「盗賊さん…あっしは物資調達してちっこい気球で戻りやすんで後はお願いしやす」


盗賊「なんだもう行っちまうのか」


ローグ「この破壊の剣をアサシンさんと商人さんに持って行って下せぇ」ガチャ


盗賊「商人にもか!!あいつ剣なんか振れるんか?」


ローグ「ええと…次ぎ会うのはハテノ村になりやすかね?」


盗賊「そうなるか?まぁ俺も人駆集めたらハテノ村向かうからよ」


ローグ「楽しみにしていやす」


盗賊「まぁそっちも上手くヤレ…じゃぁな?」ノシ


ローグ「いやぁぁぁ…盗賊さんの背中…カッコいいっすねぇ…」


盗賊「そうよ!!盗賊の極意は背中だ!!覚えておけ」スタ




『商人ギルド』



ワイワイ ガヤガヤ


おぉぉ食料が値下がりしてる…


買いだ買い!!まとめて買うぞぉ!!




盗賊「いよ~う!!帰ったぜ?」


娘「あ!!爺ぃ!!何処行ってたんだよ!!」


盗賊「商人達は居るか?アサシンとかも来てるだろ」


娘「皆地下の支店の方に集まってる…」


盗賊「なんだよ土産持って来たのによ」


娘「爺ぃは寝てく?それとも酒場?」


盗賊「支店に集まって何かやってんのか?」


娘「私等一切関与して無いから何も知らん」


盗賊「影武者は?」


娘「多分一緒」


盗賊「そうか…どうすっかな…」


娘「休んで行きなよ…子供達に顔合わせてさ」


盗賊「んんんん…まぁ先に用事済ませてからだな…ちっと行って来るわ」


娘「ちゃんと帰って来る?食事作っておくけど」


盗賊「おう!!頼むわ…たまにゃ家の飯食わんとな」


娘「よ~し!!家族集めておく!!」


盗賊「じゃ行ってくんな?」ノシ



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