48 旅の道づれを伴ない次の目的地へ
『そもそも聖職者と魔導師って、まったく違うものってイメージだったけど』
「創造主の御神体から発せられる光粒子を戴いて発動させる神威魔法と、自然界に存在する魔素粒子を使う魔導とは似て非なるものですが、ともに創造主の御業がもたらした原理に違いありませんから」
『そうか。あんたの人となりは大体分った。コロンポル到着まで、よろしくたのむよ』
「はい! ヨロシクお願いします」
求めて握手を交わすと、ウルが言う。
(「あれ?! 今までのって、ただの日常会話じゃなかったの?」)
(『まあ二人旅だからね。楽しく行きたいし、彼女もこっちの人柄がわかって安心だろ』)
部屋を出て依頼人と共に階段を下っていく中、今度はにぎやかな雰囲気が寄せてくる。入室前より多くの者がラウンジに集っていたからだ。
純白の若い神官と、見慣れぬ革ケースを負うハーフリングの組み合わせはもの珍しさを誘ってか、幾多の視線を身に受ける。
俺は声高な独り言を放つ。
『野盗どもは全滅した。お宝を樹海の洞窟に山ほど溜め込んでやがった。ここの冒険者たちですべて押収する手はずらしいから、まあまあな額の臨時収入になるだろうな』
小さなざわめき。まだクエストの発注がされていないから、この時点ではなにソレ状態だ。
{おいハーフリングだぞ}{マジかい?! ミスリルだぜ!}
{? あれで成人か?……}
ひそひそ話しのなか、内一人が手を挙げて、図らずも代表質問みたいな役を買って出た。
「 なあ、あんた。今のハナシ、本当なのか? 」
『間もなく人員募集が発表されるさ。但しいま受付嬢に殺到して詰問するなよ! いいな』
笑みを浮かべ顔を付き合わせる。互いの腕や肘を叩き、控えめな声量で期待を語りあった。
どこのギルドでも受付は女性が務め、しかも揃って若くて美形という不文律がある。
トラストの内規に、そうするよう明記されてるワケじゃないだろうが…………。
まあ看板娘として男性冒険者を呼び寄せるという意味があるし。
それだけに親しくなろうとナンパしたり、不埒な行動にでる不届き者もいる。
そこまで行かずとも、何かと理由をもうけて会話しようとカウンター前にしゃしゃり出て、色目を使う馬鹿も多い。だから念を押した。
(「ホタカ、どうしてわざわざお宝のことを知らせたの?」)
(『パメラにも言ったが、今回の件はなるべく多方面へ事を公にし、誰も押収物をネコババできないようにする。役場やギルドを疑う訳じゃないが、我々は今からここを去るからね』)
ギルドのエントラント前、繋ぎ場に待たせていた貨物用の鳥を神官シェスに披露した。
『ヨ~シ、ドウドウ……それじゃお嬢さん。あんたがこのホロホロ鳥の背に乗ってくれ』
「はい! ドウドウさんと言うんですよね? よろしく」
優しく声をかけると、ドードーは足を屈して姿勢を低めた。シェスが横座りすると、大きな鳥はゆっくりと立ち上がる。
足を前後へ踏みしめ上体をわずかに揺り動かした。
清々しい日和の中、美しい女性神官をホロホロ鳥に乗せ、轡の綱を引いてのんびりと歩く。
よい風も吹いている。
(「ボク、街道をさけたり人目を警戒してコソコソせず歩けるようになったのが、一番うれしいな」)
(『わかるよ。面倒くさいし、人の悪意の方が本当に危ないからね。かと言って、森の中は足場が悪くモンスターや魔物と遭遇する危険だってあるから』)
(「でもやっぱり小さい外見は変わりないでしょう? 目をつけられたり狙われたりしないかはまだ心配だよ」)
(『ああ。そうだね』)――俺は喉元へ下げた物に目を遣る。
(『だからこそ、このミスリル製ゴルゲットをこれ見よがしに掲げて、堂々と歩くんだよ。それでも愚かな馬鹿者がチョッカイだしてきたら容赦なく痛めつけ、半殺し状態にした上で放してやるんだ。そういったヤツが名前と噂を広めてくれりゃ、もう舐めた事をしたりするヤツは居なくなるだろ。ハーフリングであるキミの小さな外見が、今後は恐怖の対象になるのさ。ふはははは』)
(「その〝恐怖の対象になる〟ってのは、あまり痛快な気分じゃないんだけど?!」)
(『どうして? 軽く見られたままより断然その方が安全なんだよ?』)
(「ダカツみたいに嫌われちゃうのも、なンか悲しい…………」)
(『え、、いや。……キミはカワイイしさ、その点は大丈夫だろう……』)
さっきウルは「蛇蝎の如く」みたいなこと言ったけど、そんな比喩この世界にあったか?
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