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44 修羅場もついに大詰め!

「いやいや、さっきのはあくまで言葉のあやだニャ! ネコ語話しても、ネコババなんて」


 『パメラ。お前は野盗のメンバーだな?!』


「ニャんですとっ!?」


 『おまえ愛用のダガーは、尋常じゃないほど血を吸っている。腕前も相当なものとわかる。〝冒険者〟を自称するだけに大したもんだよ。さらにそのナリこそが、森に潜む盗人の装備だ。【〝山賊〟】のな』


「 ハニャ?! 」


 『やはりあの若造も一味で、お前の仲間だったんだろ?』


「そそんなっ……いや、ウォリアープロテクターをつける冒険者なんてザラだニャ。確かにドラゴンの鱗を付けたみたいな高級品じゃニャくて、皮だけで毛なんかもついてソレっぽく見えるかもしんないけど、それだけのことで…………」


 ――口の達者なヤツめ。この手の弁解はもはや、雑音に過ぎなくなったぜ。


 『本当はお前こそが野盗の斥候で、あの若造が町にくる予定はなかった。それでお前は仲間たちの異変を察知したんだろう?』


「知らない知らない! あんなヤツ、あのとき初めて見たニャ!」


 『そうか? ドジを踏んだ奴は身の危険を冒してまで助ける気はないし、下手に顔を見られて助けを求められるのも面倒だから、仲間が凄惨なリンチで殺されても知らぬフリだ。それよりいっそ俺と接触を図るために利用してやれと、利口なソロ盤を弾いたんじゃないのかい?』


「 いや、いや、いや、………… 」


 焦りを示す引きつった笑いを浮かべ、女はかざした両手を〝抑えて抑えて〟という風で小さく前後させ、否定を表す。


 『パレアンヌであの若造が住民たちに叩き殺される直前「 情報がある 」って叫んだのをいま思い出したが、あれは野盗仲間の惨状を知らせて矛先を逸らそうとしたんじゃないか? あれを聞いた瞬間、お前も一味に異変があったと確信したはずだ』


「チガウチガウ。……全部、ウルちんの見込み違いニャよ!!」


 『もう少し聴け。魔物かモンスターか分らないが、一人でアジトへ戻るのは危険だと考えたお前は、俺(たち)を護衛代わりに使おうと目をつけ、今回の依頼を持ちかけて来たんだ』


 (「師匠、それって間違いないの?」)


 (『ああ。……実はね、ウル。俺はホッとしていたんだよ。野盗に遭遇するのは避けたいとずっと思っていた。野盗は魔物やモンスターと同類に扱うから、ヤツラをどう始末するかは本来俺がキミに教えなけりゃならんが、それをここの連中は肩代わりで見せてくれたろ?』)


 (「師匠……」)


 (『だが結局、俺自身が見せなきゃならんようだ』)


 ――なあに。考えてみれば遅いか早いかの違い。結局、先送りしたかっただけだ、俺は。


 愛用のナイフを抜こうとし――――。

 だがそのとき俺は、右腕が重く上がらないことに気付く。


 戸惑いを隠せず水面下を探ると、ウルの意識が浮かび上がり俺の腕にしがみついて、止めようとしている映像ヴィジョンが見えた。


 …………俺が表面意識上に立っていても、本来この身体はウルのものだ。オーナーが本気で主導権を取り返そうとすれば、抗うのは困難らしい。

 だが女児とおっさんでは力の差が違い過ぎる。何とかなるだろう。


 (『ウル。頼むから意識を消しててほしい。俺に全部まかせてくれないか?』)


 (「こんな状況を見て引っ込んでいられるはずないでしょ! ホタカやめてっ」)


 ――それにしても意志の強い子だ。これも少女の性格かハーフリングという種族が持つ特質かは、サンプルが一つのみで断言はできないが。


 (「ダメだよ師匠! 本当に間違いないの?! やめてよっ もっと調べよう!」)


 (『すまないウル。コイツは隙を見せると本当に危ないんだ。ジャマしないでくれ』)


 強引に少女の戒めを解こうと力を込める。だがウルは決して放さず、不本意ながら引きずる破目になった。

 それでもかまわず、俺はナイフを手に女のもとへにじり寄る。


「ウル落ちつくニャ。誤解ニャ! 説明するからっ」



 『 ノル・ホタカミ。それが俺の本当の名だ 』



「はニャ?!」


 『これからおまえをるのは、ウルじゃなく俺だ。もう最後だから、これだけは明かしておくぜ。パメラ』


「 今回のはお仕事だニャ! 本当にウチ冒険者だし、依頼があって…………」


 『俺たち冒険者が所属するギルドは《〝トラスト〟》っていう全世界的な組織にもれなく加入してるんだぞ。……単語の意味くらい解ってるだろ?』


 さらに間隔を詰める。元は日本刀だったナイフを、目前で構えた。


 『これはな、俺の故郷で〝サムライ〝と呼ばれた戦士たちが持つ、刃物の一部だった。彼らの魂と言われてきた得物だ。これを使うことにする』


「へっ!? シャム・ライ……?!」


 『俺の手向けだ。現象界でマッツと仲良く暮らすがいいぜ』


 (「 師匠ダメ――――――! ダメだったてば、ホタカッ!! 」)


「まて! 待ってくれニャ!! ウル! ……ノル?! とにかく話を聴くんだニャ!!」


 『……パメラ…………お前を信じたかったぞ』


みなさん読んでいただき、ありがとうございました。

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