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25 ふたりで一人はさらなる旅路へと歩みだす

トロルを一撃で葬る様子を見て、ウルが高ランクの冒険者だと納得したのか、やつは黙って従った。


 『もしオハラの心を射止めたいなら、頻繁に訪ねて頼まれてもない忠告をしたり心配して見せたり自分の気持ちを告げたりしない方がいいぞ。


 それらは家族の記憶を呼びさまし、心をえぐるんだ。


 思いやりを表したいなら他にいくらだって手段はある。本当に困っている時だけ黙って手助けしたり必要としてるものだけプレゼントするとか、短くても優しい言葉をかけたり……。


 一番いいのは兄や甥っ子の月命日には必ず墓に花を手向け、哀悼の気持ちを表すとか。

 そうすればいつか彼女も心を開いてくれるだろう』


「おまえは……本当に9歳女児なのか? 知った風なことを」


 『まあ、オハラのような良い女を振り向かせようとするなら、あせらず広い心で包みこんであげることが大切だろう』



 俺たちは別れを告げて今度こそ村を去る。


 オハラとケネスのふたりはずっと見送っていた。



「師匠。……あのケネスってひと、オハラさんと結婚できるんだろうか?」


 (『さあな。でもオハラは旦那と子どもを立て続けに失って、心に深い傷をうけている人だ。今さらもう……』)



 〝――「 もういいわよ。…………男は 」〟………………



 ブルブルッ。

 俺は記憶の再生を断ち切り、話題を変える。


 (『それよりウル。オハラは多分、キミを引き止めたかったんだと思うぞ』)


「ええ? そう? ……そうだったのかなぁ………………」


 ウルは微笑んで視線を落としながら、少し考えて否定した。


 

「もしそうだとしても、ホタカと約束したじゃない。ボクは自分の都合で〝師匠〟の期待を裏切ったりしないよ」


 ――少女は淡々と振り払った感じだ。


 (『まさに俺こそ、自分の都合でキミを利用しようとしているだけかも知れないよ。ウルの幸せを考えるなら、キミにはここで平穏に生きるという選択もあるんだが』)


 あの時、俺と出会いさえしなければ。ひっとして今頃――――――――。


「師匠は寂しいヒトだから。たとえ身二つになっても、ボクは離れない」


 (『寂しいって。…………俺が?』)


「だって。ホタカって、小さい頃から友達いないでしょ?」


 (『……上から目線はやめてくれない? 友達くらい、俺にだって数人くらいは居たよ』)


「それは心から信頼できる人? 悩みとか、本音を打ち明けられる人たちだった?」


 (『むむう……ああ、まあそうだったかなぁ』)


「物である火花杖を相棒と言ったり、まるで人間のパートナーみたいな表現するんだもん。

 いくら使い込めば魂が宿るっていっても、話しかけても答えてはくれないでしょ?


 ……結局 どこまでいってもモノって虚しいんだよ。そうじゃない?」



 (『ああ。確かに』)



 ――師匠。寂しかったのは俺の方だって、貴女あなたもご存知だったんですか。



 (いつの間にか言われる側になっていたとはな……)


「これからはボクがいるから。ボクがトモダチで、パートナーだよ。なんでも話してね」


 (『…………ありがとう…………………………』)



「ホタカ、大好き」

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