表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/50

22 ボクらは冒険者! で師匠、トロルってどんなやつ?

「それからケネス、私はモンスターがうろついてる危険な野外に、この子を追い出すつもりは無くてよ。ただでさえ幼いハーフリングの子で体も小さいのに……あなたは不人情だわ!」


「おまえ小人族か! ひょっとしてガキじゃなくて今の見た目で成人じゃないだろうな?」


 『ボ、ボクはぴちぴち9歳女児だっての。それよりケネス、お前は元冒険者じゃないのか』


「それがどうした。今すぐとは言わないが、この騒ぎが収まったら出て行くんだ」


 『お、……ボクはハナから養子に入るつもりは無いぜ。重ねて訊くがケネス、お前はトロルの屠り方を知っているのか?』


「さっきから偉そうだなこのチビ! あんな馬鹿でかいモンスターを、冒険者だろうと一人でどうにかできるわけがない。黙ってやり過ごすか、襲ってきたら避難するしかねぇ」


 『元冒険者でいまは帰農しているとして、ランクを言ってみろ』


「ちっ……〝アイアン〟だよ!」


 『俺は〝ミスリル〟だ』


 サイドバックの中からそれを証明するものを、俺は無造作に掴み出して示した。


 オハラが息を呑み、両手指先でもって口元を覆う。


 ケネスは目をむいて驚がくを表わし、わめいた。


「なっミスリル製のゴルゲットだとぉ?! おまえみたいなチビがっ……冗談いうなっ! どこで拾った?! 資格もないヤツが上級冒険者を騙っただけで、大変な制裁をくらうぞ!」


 『あいにく俺は浮浪児じゃないぜ。本物・現役の上級冒険者だ。逃げるしかないと思うなら、オハラと一緒にこの場で大人しくしてろ。トロルは俺がなんとかする』


「信じられるかっ! お前一人でどうこうできる化け物じゃない。踏み潰されておわりだ」



 『ノル・ホタカミ。俺のもう一つの名前だ』



 ケネスは顔色を変えた。


「ホタ……あの〝ドラゴンスレイヤー〟だって奴か?! 馬鹿なっソイツは成人した屈強な男で、筋金入りだって噂だ。お前みたいな小人族ハーフリングだなんて聞いたこともない!」


 (「師匠! 向こうからおおぜい走ってくる」)ウルの意識が声をかけてきた。



「なぜ突然この村にトロルがっ……」


「三体も! スタンピードでも起きてるのか?!」


「こんな事は初めてだ」



 ――村の男たちは短い情報を口々に言い合いながら接近してきた。ケネスが訊ねる。


「トロルが3匹もここへ向かって来るのか!?」


「いや、村へやって来てるのは1頭だけだ。あいつらが森から出て人里に来るなんて、前代未聞だ。ここは危険だぞケネス、オハラも反対側から街道に抜けた方がいい! ええと……」


 ウルの姿を見て戸惑いが広がる。まあいい。こっちが知りたい情報はあと一つだ。


 『あんた等が来た方向へ行けば、トロルと遭遇できるってワケだな』


「ハーフリングの子? 冗談いうなっ見世物じゃないぞ! おまえも一緒に来いっ」


 火花杖の入った革ケースを持ち直して背に回し、心優しい未亡人に告げる。


 『……オハラ、あんたも皆と行け。俺は仕事が終わったらそのまま失礼する。ありがとう』


「 ウォルフェちゃん!! 」


 未亡人の声が聞こえたが、俺たちはふり返らなかった。


 (「ホタカ。もういいの? オハラさんとは、もうこれっきりでお別れ?」)


 (『そうだよ。成功しても失敗しても、ね。…………』)


 トロルの身長は3~7メートルに達する。

 体躯に見合った怪力を振るい、たとえ深手を負っても細胞組織の再生が高速で行われ、切断された指などをくっつけると数分で元通りに動かせるほどだとか。


 皮下脂肪は弾力性に富み、かなり大きな衝撃でも吸収・復元できる耐性を持つ。高い崖から落下しても、すぐに立ち上がって去っていったという目撃例もある。


 きわめて軟らかい装甲で覆われた戦車みたいな生物と推測できる。


 トロルにはいくつかの種類が存在するとも聞く。

 共通点はいずれも外観が醜悪かつ粗暴であり、人間を喰らうことがある。


 もっともそれは自らのテリトリー内に人が侵入してきた場合が殆んどで、滅多に人里へ姿を現すことがない。

 今回の例に当てはめれば、樹海から出て広い平野を身一つで横切ってまで人間のコロニーを襲うというのは、かなりのレアケースだ。


 民家と防風林代わりの木々が途切れる村外れまで進むと、平原や人里の境がはっきりと分る開けた場所へ出た。


 なるほど、一匹のトロルが歩んでくる姿が見えた。動作はゆっくりとしたものだが、それでも平野の中ほどにまで達している。


 遠くに広大な森林が見えるが、そこで別の白っちゃけた体色をした2体の頭部が、森の木々の端を行ったりきたりしているのが見え隠れしている。


 そうか。やはりヤツラは知能が低い分だけ本能に縛られ、行動の大部分を支配されている。向かってくる一頭は奇行種。人馴れ熊みたいに危険な存在なんだろう。


「ホタカ! あれをどこで退治するの? てゆーかできるの?!」


 『できると思うよ。ずっと距離をつめた上で急所に撃ち込めれば』


 トロルの進行方向正面にあたる場所まで廻った俺(達)は、そこへどっかと座り込んだ。

読者の皆様へ。

読んで頂いてありがとうございます。


この小説を読んで少しでも面白いと思ってくださったら、本文下↓の☆☆☆☆☆⇒★★★★★評価やブックマークで応援して頂けますと幸いです。


みなさまの応援が、作者のモチベーションにつながります。

どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ