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16 微風に髪をなでられてナーロッパの夕焼けを見る

 野生動物は、ときに狩猟で間引きしなければ、餌の不足などで大量に斃死することが珍しくない。

 また麻酔で眠らせ他へ運ぶというやり方は膨大な資金(誰が支出? 動物愛護派?)が必要で非現実的だし、麻酔薬の量が適切でなく死んでしまうケースも多いので、本当に末永く共存したいのであれば、やむ終えないのだ。


 本題に戻ると、どんなに図体がでかくとも、アフリカの巨象すら仕留めてのけるライフル弾が、それより体重の軽いTレックスに通用しないという理屈は考えにくい。

 生物学上、これらハイパワーロケット弾を跳ね返すような強固な皮膚を持つ生物は、過去にも存在しなかったであろうから。――――そう俺は結論した。


 (Tレックスにも、きっとあっさり倒せる弱点が……)


  コイツらの頭蓋骨上部背側・側頭窓にはエアコン状の機能を備えた部位があったという。

  これを破壊すれば体温のクールダウンが出来ず熱中症を起こして倒れるのでは?

 あるいは全体重を支える脚の間接を砕くことで横転させた上で、安全圏まで接近して頭部を撃ちトドメを刺すとか。


 だが次の瞬間には、自嘲ぎみな心境へおちいっていた。


 馬鹿らしい。

 こいつらはもう遥かな太古に絶滅してしまっている。

 どんなに恋焦がれても、相まみえるのは不可能。決して勝負は成立しないんだぞ。


 まさにここで俺は会ったんだ。…………〝あの女〟に――――――


「えっ またまた女ぁ!?」


 『ふん。……』


 今から考えればあの女自身、俺たちが住んでいた現実世界の人間じゃない。

 異世界人、魔法が当たり前のように存在する、この世界の住人だったんじゃないかと俺はにらんでいる。


「 あのう、すこしよろしいでしょうか? 」


 (後から声をかけられ、ボクの意識をのせたホタカはふり返る。そこに見慣れぬ白っぽい服をきた女の姿があった)


 クリーム色の服を着た小柄の女。まだ子供みたいな、年若く見える女の人だった。


 『まあ、どうでもいいや。それよりもソイツからおまけで提供されたものが重要でね。あの娘は〔空間元素凝固袋〕とか言っていたが』


「ふうん……。ただの麻袋にしか見えないんだけど」


 『ところが。この中に両手を入れてイメージを描き、念を集中し固定させれば手の内にその実物を作れるという便利物だ。言わば神様からのギフトだな。

 これを使い実弾を練成できる。だからジツダンは無尽蔵。撃ちたい放題だ。いくら杖を〝発動〟させてもかまわないからな』


 実際、この夢の道具のおかげでどれほど助かったか知れない。


 俺はむこうの世界で弾の手詰めをした事がなかった。器具をそろえるより銃砲店へ依頼してやってもらった方が確実だし、ずっと手軽で楽だからだ。それでいて市販品を購入するよりはコスパも良い。


 参考までに、リロードの手順も大雑把ながらウルに説明しておく。


 まず使用済み空薬きょうの中から変形やひび割れなどを起こした不良品を排除する。


 次にタンブラーという釜の中へ、クルミの殻を砕いた粉と一緒に入れて撹拌し、程よく磨いて綺麗にしてから、リサイジングオイルを全体とネック内側に塗布する。

 *これを忘れると、続く工程フルレングスダイス――〝撃発時の圧力で膨張して広がったネック口(弾頭を填め込む部分)を元の大きさに修整リサイズするのと同時に、中心のピンで排雷管も抜く事のできる専用の道具〟にかけた時、焼きついて抜けなくなってしまう。


 こうして仕上げた空薬きょうの底へ、雷管を押し込む事のできる専用ツールを使い一個ずつ雷管を圧入してゆく。


 薬きょうを並べ、ガンパウダー(火薬)をミニ漏斗でネックから薬きょう内へ注ぎ込む。


 次に弾頭(*例えば150グレインや180グレインとか)をダイスで押し込むと、完成だ。


 『――以上、いずれの方法で作っても5発も撃てば高圧の摩擦による陽炎が銃身から立ちのぼって、狙いは狂いやすくなるんだが』


「すごいじゃない! いま聞いた限り〝ジツダン〟以外もできそうだよね?」


 『ああ。ただし両手にあまるサイズの品、袋より大きな量を一度に練成することは不可能、食べ物も創れない。更に贋金づくりなんかは、絶対NGだよ』



 俺たちを取り巻く世界は、いつしか夕暮れ時を迎えていた。



 天空にあった頃とは比べようもない大きな夕陽が、今まさに地平線へ沈もうとしている。



 深く美しきナウロパ大陸の日没だ。



 (――ウル、見てご覧。この雄大な光景…………まるで俺の地球こきょうにあるアフリカの太陽みたいだ。大自然の厳しさと優しさの象徴だと言われているんだよ)



 (うん、知ってる。


 ……ボクも今までずっと生きる勇気をもらって来たから………………)




 放浪の少女は俺の感慨に触れ、じっと見入った。


読者の皆様へ。

ここまで読んで頂いて、ありがとうございます。


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