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好きで好きでたまらない  作者: しおやき


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89/90

オレンジジュース2



「・・・・えっ」


 ニヤニヤしながら僕のことを見てきた先輩に顔と身体がボッと熱くなるのを感じた。



「あ、チャイム」

「お昼終わりっすね」

「あ~、これから眠くなる」


(な、なんで皆普通なんだ・・・・)



 恭平先輩がした発言はけいたくんやこうたくんにも聞こえていたはず。それなのに僕だけが反応して、他の皆はスルーしてるから余計に恥ずかしい。



 恭平先輩はお昼ご飯の片付けをして教室から出ていった。

 僕達も片付けてゴミは捨てて、それぞれの席に戻る。飲み終わったオレンジジュースももちろんゴミに捨てた。



(・・・・こうたくんはなんとも思ってないのかな)



 間接チューなんて、そんな恥ずかしい言葉を使うなんて恭平先輩はどうかしてる。僕はこうたくんのことを想像して最初変なことを1人でしていたけど、今はそんなこと一切してない。



「だるいな~、午後の授業」



 こうたくんは面倒くさそうに5限で使う教科書とノートを出して準備をしている。



(人のこと言えないけど・・・流石に人前では)


 僕も準備をして先生が来るのを待っていたけど、頭の中はこうたくんのこと。 



「目開けたまま眠れるようになりたいな~」

「・・・・目乾きますよ」

「やっぱり?」

「・・・はい」


 こうたくんが冗談交じりに喋るその唇に目が行く僕は、今どんな顔をしているのだろう。




「授業始めるぞ~」


 先生が声をかけながら教室に入ってきて、ざわざわしていた教室は少し静まり返った。もう冬だから先生も暖かい格好をしてるけど、男の先生だから女の先生に比べると薄着に見えてしまう。


(僕があんな服装だったら絶対風邪引いてる)




「・・・・・」


 そういえばこうたくんの私服は格好良かった。

またもう一度見たいと思ったけど、今週見られるから凄く嬉しい。



 結局僕の誕生日だったクリスマスの日以降は、こうたくんと一緒に外に出掛けたりはしていないから、あの日しか今のところデートはしてない。



(・・・付き合って初めてのデート・・・は、お家デート・・・だけど恭平先輩がいるからデートじゃない?)



 色々考えてみるけど、とりあえずはこうたくんと土曜日一緒にいられるから、また服装とか考えなきゃいけない。

 髪型とかもセットしてみようかとは思うけど、もし頭を撫でてくれたらと考えるとそれも止めたほうがいいかもしれない。



(ちょっとだけでも二人っきりになれないかな・・・だめだ、やめよ・・・今は服装のことだけ考えて・・・あれ、でも手土産とか何か持って行ったほうがいい?)



 次々に勝手にわきあがってくる心配事を頭をぶんぶんさせて振り払おうとする僕はやっぱり人見知りで臆病者だ。



「宿題忘れんなよ~。あとこの時期は寒暖差が激しいから皆風邪引かないようにな。中と外で上手く調節できるように服装も気を付けろ」



 先生の呼びかけに皆が返事をする。中に着込んで着膨れしている生徒もいれば、夏と変わらないような薄さの服装の生徒も居て、皆それぞれ体感温度が違うんだと改めて認識するけど、僕は確実に前者。



(風邪引くと学校休まないといけないから、こうたくんに会えなくなる)





 6限の授業も終えて、あとは帰るだけになって準備をしている僕に、これから部活があるこうたくんが話しかけてきた。



「かずきはそのまま帰る?」

「・・・あ、はい。こうたくんは部活ですよね?」

「うん。そうそう」

「・・・・雪の上でサッカーするんですか?」



 冬の部活をしている姿を見てないから分からないけど、変なことを聞いてしまったかもしれない。思った疑問を何も考えずに口にした僕に当たり前のようにこうたくんは真顔で頷いた。



「うん」

「・・・・え」


(雪の上でどうやってするの・・・・)


「嘘じゃないよ。今度一緒にやってみる?」

「・・・サッカーをですか」

「そう。雪の上で」

「・・・・・」


 絶対無理だ。

というかこうたくんは多分分かってて僕に聞いてきている。


「嫌だ?」

「・・・こ、今度っていつですか?」

「ん~、土曜日とか」

「こうたくんのお家で?」

「かな」

「・・・・わ、分かりました・・・けど、僕サッカーとかしたことないので」

「うん。知ってる」




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