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好きで好きでたまらない  作者: しおやき


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2人の行方




「それって、もう付き合ってんじゃねえの?」

「僕もそう思う」



 誕生日をこうたくんと一緒に過ごした僕は、これ以上ないほどに泣いて、目が真っ赤になってまたこうたくんに笑われた。


(あの時・・・あの言葉嘘でも嬉しかったな)



 家まで送ってくれたこうたくんは年末年始はこっちにいないと言っていた。どうやら家族で旅行に行くらしい。



「・・・・そ、それはないですよ」

「なんで?」

「なんでだよ」

「・・・いや・・だって、こうたくん、前に気になる人がいるって言ってたから・・・」

「「・・・・は?」」


 そんな僕は今なぜか、きりゅうくんと恭平先輩と一緒に、アニオタが集まるあの例のカフェに来ている。


(誰なのか聞けてない・・・し、・・でもその人のことどうなったかくらいは聞いてもいいかな)



 年が明けて、最初のオープンの日に合わせてきりゅうくんとカフェに行こうと話したはずが、恭平先輩もなぜかついてきた。全部を話したわけじゃないけど、一部だけ軽く話すと返ってきたのは絶対何も考えてないような反応。



「いやいや、かずきくんのその思考回路には頭があがるわ」

「下がるの間違えでしょ」

「あぁ~、そう、それ」

「な、なんで」

「まぁ、こうたもこうたで、恋愛の「れ」文字も知らないからな。それにしても、家族みんなで母ちゃんのとこ行くとか、いいな。プチ旅行じゃねえか」

「恭平先輩はついていかなかったんですか?」

「ん?当たり前だろ。流石にそこまで邪魔はしないぞ。久しぶりの家族水入らずだからな」


 こうたくんのお母さんはもうこの世にはいないと思っていたけど、それは僕の盛大な勘違いだったらしい。


「単身赴任だもんね。そりゃプチ旅行にもなるよ。でも今どき珍しいね、母親のほうが単身赴任って」

「まぁな~、だいたいみんな父親のほうだからな」

「・・・・」


(お姉さん達が居るから寂しくないのかな・・・それにしても、)


 なんだかんだで普通に話してる目の前の2人はまるで接点がなさそうだ。それなのになぜ?と思う。


(まさか恭平先輩もアニオタだったとは・・・)


 誰が信じるのだろうか。

 言ってくれないと分からないけど、別に言う必要性もない。


「・・・話変わりますけど、」

「ん、どうしたの?」

「なんだよ?」

「・・・・ふたりって連絡先の交換とかしてるんですか?」


 僕達は今日この日初めましてじゃない。僕はふたりとも知ってるけど、恭平先輩ときりゅうくんは2回目だ。


 年が明けた1月1日の日に「新年の御参りに行かないか」ときりゅうくんからお誘いを受けて、二つ返事で了解をした。

 行き先は結構大きな神社で、案の定人が凄い。僕達は人にうもれながらぞろぞろと前に進んだけど、途中で同じ神社にお参りに来ていた恭平先輩とばったりそこで遭遇してしまったのだ。


(先輩・・・・めっちゃ友達引き連れてたけど・・ぼっちじゃなかったんだ)


 騒がしいグループがいたからきりゅうくんか嫌そうな顔をしてチラッと見てたから、僕もそっちのほうを向いたら本人が大きな声で友達と話していた。



(きりゅうくん死にそうな顔してたけど。まぁ先輩のほうがなんか・・・ずっと声かけてたからな)


 まさか一目惚れ?


「してるよ。俺から聞いた」

「同じアニオタとしてはね、まぁ、連絡先交換しても問題ないかなって」

「・・・そうですか」


(それにしても、そこまで嬉しそうではないけど・・・)


 当たり前だ。きりゅうくんは人が怖いと言っていた。好きになれないと。


(しばらく様子見なのかな)



 よくわからないアニメのキャラの話で盛り上がってるふたりを見ながら、恭平先輩の過去のことについては聞き出す暇がなかったなと、まだ運ばれて間もない湯気が立っているココアを飲んだ。



 その後もずっと喋ってて、解散したのは夕方になる前。


(凄いな・・・ずっと口が動いてるの。けいた君も言ってたけど、ほんとに凄い)



 家に帰るまでの道を滑らないように歩きながら、今後のことについて独り言をブツブツ言っていた。


「来年って・・・クラス変わるのかな。っていうか、まだバレンタインあるし・・・チョコ渡したい」


(でも先に・・・気になる人のことを)




 あれこれ考えることがまだある。

 まさしく一難去ってまた一難だ。





 中身の濃すぎた冬休みが終わり、学校にまた戻って、それから少し経った1月最後の日のこと。


「コーンポタージュだな。冬はやっぱり」

「あれ、先輩・・・カフェオレはもういいんですか」



 相変わらずお昼ご飯はみんなで食べていた。

 旅行から帰ってきたこうたくんは僕達にお土産をくれたし、授業も充実していて、特にこれといって困ったことがあるわけではない。

 しかも、こうたくんが時々おにぎりをくれる。手作りだって言ってたけど、具も入ってるし凄いちゃんとしてる。



「いいんだよ、ホット準備中って俺が行くといつも書いてあるから」

「それはお前が朝に行くからだろ」


(っていうかあの二人組なんか見なくなったと思ったら退学になってたのか・・・・なんか複雑)


 けいた君の話によれば、学校外でもこの冬休みの間に色々やらかしていたらしく、それが致命傷になったのかは知らないけどそのまま退学。


「まぁ、なるようになるってね。これで少し平和だな」とけいた君は安心したように僕に笑いかけてくれた。


 そんな話を聞いて、確かにホッとしたのもつかの間、僕はまだ未だにこうたくんの気になる人について聞けだせずにいた。


(誕生日のあとも同じ感じで接してくれてるけど、こうたくんはもう気にしてないのかな・・・・気になる人のこと)



 うまくタイミングを外そうとすると、高確率で当てちゃうから、逆に当てる前提で行こうとするとどうなるんだろう。そんな馬鹿なことを考えてみたってなんの解決にもならなくて、夜寝る前につくため息の数が積み重なって、バレンタインの日をむかえてしまった。









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