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好きで好きでたまらない  作者: しおやき


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80/90

誕生日おめでとう3



「場所っていうか、今は時間」

「時間?」

「うん。場所はもうほとんど着いてる」


(え?)


 腕時計を見て時間を確認した彼は店内をうろうろ。

 こうたくんの返しに少し疑問がわいたけど、僕も当たり前についていく。店内は男女のカップルが多くて、こうたくんの腕を掴んでいる僕はなんだか恥ずかしくなってきた。


(・・・・っ)



 思わず離そうと力を緩めた時、彼が振り返って何にも気にしてないように普通に僕に言ってくれたのは予想外の言葉だった。


「かずき、腕離すなよ。はぐれたら面倒くさい」

「・・・・あ、分かった・・ご、ごめんよ」


(ずっと・・・・握っててもいいんだ)


 彼に告白をしたのは僕なのに、周りの目を気にしているのも僕。彼からすると僕はただの友達だから、逆に気にしたほうがいいとは思うけどと思いながら少しホッとしてまた手に力を入れた。



「お前さ、なんか食った?」

「・・・あ、朝ごはんは食べました」


(お昼は食べてないけど・・・)


「そっか。なんか食う?」

「・・・えっと」

「っていうかケーキは?食った?」

「あ、はい。昨日お母さんがなんかホールのケーキ2つ買ってきて」

「まじか」



「それやばいな」と苦笑いをしてこうたくんは店の前で足を止めた。


「・・・・」

「じゃあもうケーキはいらない?」



 立ち止まったお店はスイーツのお店。

 少しだけ困ったような顔をして、僕に聞いてくるこうたくんは判断を僕に委ねている。


「・・・い、いります。食べます。食べたいです」

「そうか。ならここ入ろう」

「は、はいっ」


 ピークを過ぎているのかわりと空いている。クリスマスのケーキはみんな家で食べるとかではないのだろうか。


(初めてこの時期に外に居るから・・・なんかよく分かんないけど。とりあえず嬉しい・・・)



 こうたくんと店内に入って、「好きなもの選んでいいよ」と言われて戸惑う僕が、挙動不審で面白かったのか思いっきり笑われた。


「誕生日なんたから、遠慮すんな」

「・・・・は、はい」


 こうたくんはケーキは頼まず飲み物だけ。僕は何も考えず食べたいケーキを注文。


(・・・幸せ・・・・これって・・・デートみたい・・・でもなんかお兄ちゃんと弟みたいに見られてるかも)


 

 学校でお昼ご飯を食べるときみたいな雰囲気になって、このお店で食べてる時はそれほど緊張しなかった。食べ終わって時間を見ると結構経っている。

 人がだいぶはけてきたお店には、少し年齢の若めのカップルがちらほらいて、みんな幸せそうに楽しくおしゃべりをしているように見える。


 そんな僕は、いちいちどう見られてるかなんて気にしなくてもいいのに、頭の何処かでマイナスなことを考える悪い癖が抜けきらない。


 ブツブツ考えていると、こうたくんは窓の外を見てそれから時計に目をやった。


(そう言えば、スマホ見てないけど忘れたのかな)


「そろそろ時間だけど大丈夫?行ける?」

「う、うん。大丈夫。凄い美味しかった」

「なら良かった」



 お会計を済ませようと、席から立ち上がって2人で出口に向かう。



「先に出といて」

「え、でもお金」

「いいよ、気にすんな」

「・・・・じゃ、じゃあ次・・・は僕が払います」

「本当?それ約束な」


(・・・全部やってもらってる)




 お店の外に出て見渡すと、来たときよりも多くの人で道が埋め尽くされていた。思わず2度見して言葉を失った僕の横で後から出てきたこうたくんも少し唖然としている。


「やばー・・・」

「・・・・」

「あんまり・・・ここから歩かないけど、凄い時間かかりそうだな。かずき大丈夫?トイレとか行く?」

「・・・そ、それは大丈夫ですけと」

「そお?なら、また腕掴む?っていうか離れないんならどこでも好きな場所掴んでいいよ」



 話してる時は笑ってくれてる。だから、つまらないってことはないと思うけど、いつ自分が用意している爆弾を投下しようかタイミングのほうを僕は掴めずにいた。



「行こう」

「あ、はい」



 同じようにやっぱりまた腕を掴んで少しだけ密着した。別に意図的ではない。こうしないと、歩く場所がないし、何より人に押されてくっつかざるを得ない。




 しばらく歩いて、やっと人だかりから抜けたけど、背が低くて全く前が見えてなかった僕はその時初めて顔を上げた。


「大丈夫?」

「は、はい・・・・どこまで行っても人がたくさんですね」


(なんか暑い・・・)


「まぁ、そうだな。・・・・花火大会みたいな感じな。・・・・あのさ、前に連れていきたい場所あるって言ったじゃん」

「はい」

「ここなんだけど・・・・覚えてる?」

「・・・・」


(・・・ここ?)



 こうたくんが僕を連れてきてくれた場所は、イルミネーションが綺麗で一番大きなクリスマスツリーが見える場所だった。


「・・・えっと・・ここ・・・ですか」

「うん」





 ◇◇◇




 移動した先の手すりに寄りかかって、クリスマスツリーに目を向けたまま独り言のように話し始めたこうたくんに、少し嫌な予感がして僕は冷や汗をかきそうになった。



「俺さ、考えてたんだよね」

「・・・・」

「なんで、ずっと気になってたんだろうって」



 前を通過したカップルの女性がこうたくんをチラッと見てから、2度見するようにまた視線を向けたけど、こうたくんはまるで無視。



「なんか、ずっと忘れられなくて」

「・・・・・」



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