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好きで好きでたまらない  作者: しおやき


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69/90

昔の話



 てっきりお母さんのほうが先に反応するかと思ってたけど、最初に返ってきたのはお父さんだった。

 体調を気遣う内容だと思い、返さず見るだけにしようかと思ったけどそれだけではなかったらしい。



「・・・え」


【大丈夫?ゆっくり休んで。今日は母さん仕事で忙しいから、夜遅くなるって今朝言ってた。だから多分かなり遅くなると思う。そのかわり僕が早く帰るから、何か食べたいものあったら言ってね】


「お母さん遅いんだ・・・」


 ブブーっ


「え、また」


【それか、もしかずきの体調がそこまで悪くなければ、夜ご飯何か美味しいものでも一緒に外に買いに行こうか。母さんには内緒だよ。夕方に帰るからその時に大丈夫そうだったら教えてね】


「・・・・外食?とは違うよね」



 こんな誘い受けたことないから言葉の意味に最初戸惑った。外に食べに行こうじゃなくて、買いに行こうだから買ったらまた家に帰ってきて、家でご飯を食べるということか。



【わかった。体調悪いって言っても熱があるとか体がだるいとかじゃないから、夜一緒にご飯買いに行くよ】


「・・・・お寿司とか・・・食べたいな」



 イスに座って伸びをして、勉強道具を揃えたら自分で進めるところまで進めた。早いかもだけど、大学も行きたいところがあるからそこに行けるように少しずつ今から準備。



ブブーっ


(ん、)


 集中してやっているとスマホが鳴った。

画面を見ると先に目に入ったのは時間のほう。


「・・・もう17時・・・・お父さん帰ってくる?」


 新着ありをタップして確かめると、メッセージの差出人はこうたくんではなくお母さんだ。


【大丈夫?今日忙してくて、父さんが帰るからなんか適当にご飯食べて。夜は夜更かしせずに早く寝なさい!】


「・・・・あ、・・・はは」


 多分寒くなってきたし、僕は貧弱だからこの時期に体調が悪いと言っても変に勘繰られない。でも今回のことに関しては父さんのほうが何かしら気が付いてそうだ。



「・・・なんでだろ・・・・あれ・・・帰ってきた?」


 「ただいま」と声がして、玄関のドアを開ける微かな音がしてきたから、僕はスマホを持って寝間着のまま部屋を出た。



「・・・おかえり」

「ん?あぁ、」


 こうたくんと同じように僕に背を向けて座って、靴を脱いでいるお父さんに後ろから声をかけると振り返ってくれた。


「だだいま。体調はどう?」

「・・・・大丈夫だよ。凄い寝てたから」

「そうか」

「あ、あのさ・・・・担任の先生からなんか電話が来るらしいんだけど」


 もっと早くに言えば良かったけど、メッセージだと聞かれた時にうまく説明出来ないから、このタイミングになった。幸い家にはまだ電話がかかってきていない。



「あぁ、それなら大丈夫だよ。僕のスマホにかかってきたから」

「・・・・え!?」

「母さんのほうに最初かけたらしいけど、忙しかったのか繋がらなくて、僕の方に来たよ。それでちょっと心配してたんだけど、その後にかずきからも連絡が来たから・・・よいしょ・・・っと」

「・・・・そ、そっか・・・ならいいけど」

「うん」


 仕事の荷物だろうか、重そうだ。年末にかけて忙しくなるのはどこも同じなのかもしれない。リビングに向かおうとする父のあとをついていこうとしたら、僕の目の前で立ち止まって少し安心したように笑いかけた。



「夜ご飯はどうする?」

「・・・え、あ、送ったとおり・・・大丈夫だから一緒に行くよ」

「そうか。何が食べたいとかある?」

「・・・」

「なんでもいいよ」

「・・・・ピ、ピザを・・・食べたいなと、」


(本当はお寿司だけど・・・)


「そっか。分かった。じゃあちょっと準備してくるからかずきも着替えたおいで」

「分かった」

「ドライブがてら行きは少し遠回りしてお店に行こうか」

「・・・う、うんっ。着替えてくるよ」



(ドライブ・・・・前に約束したやつだ)


 部屋に戻って慌てて着替えて、すぐに玄関に降りた。

 お父さんはまだいない。



(・・・あの写真の人のこと聞いてみようかな)



 お父さんといえば、あの写真。僕の中にはそんな方程式が成り立っていて、こんなタイミングを逃したら多分一生分からないと思う。



(お母さんも自分で聞けって言ってたし)

 


「あ、お父さん」

「早いね、準備できた?」

「うん」




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