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好きで好きでたまらない  作者: しおやき


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59/90

静かな朝に、掻き乱された時間3



「まぁ~、俺もほんのすこーしだけ悪いことしたとは思ってるから?・・・かずきくんに1つ良いこと教えてあげるわ」

「・・・・・結構です」

「え?!なんで?めっちゃ良いことなのに」

「嫌です。もう聞きたくないです。絶対良いことじゃないでしょ」


 この人はどこまで僕をからかえば気がすむのだろう。


「なんだよ、ひねくれ小僧か。可愛くないな~」

「誰のせいですか」

「俺だよ」

「分かってるじゃないですか」



(こんなふざけたやり取り・・・・っていうか告白する時とかまでなんでこの人に決められなきゃいけないんだ)


「まぁまぁ、ちょっと落ち着け。お尻冷たくなってきたわ」

「・・・・・立てばいいじゃないですか」

「あのな、とりあえず聞け・・・・おい、そんな可愛く耳を塞ぐな」

「・・・・可愛くなんてないです」



「ごめんって」とバツが悪そうに謝ってきた先輩は少しため息をついた。


「俺はさ、こうたとずっと一緒に居たからよく分かってるけど、あいつはお前が好きだって伝えたぐらいで嫌がるやつじゃないよ」

「・・・・・」

「そういうのに偏見とか無いから。ただ嫌いなヤツにはとことんそういう態度で接するけど、別にお前そんな態度されたことないだろ?」

「・・・・ない・・・てす」


 そう言えばあの女の子にはそんな感じだったのを最後のほうで知った。


(あれは・・・・結構我慢してたのかな)


「それに、こうたがそんなヤツじゃないって、一緒に過ごしてたらなんとなく分かるだろ」

「・・・・・ん」

「な、悪いことは言わないから学校はやめとけ。しつこく狙われるぞ」

「・・・・考えてみます」


 こうたくんと出かけるといえば、クリスマスの僕の誕生日くらいだ。それまでに言おうとしてるのに、その日よりも前の土日にデートに誘うとか絶対無理。理由をなんて言えばいいかわからないし、だいたいこうたくんは部活があるから僕の誘いなんて断られるに決まってる。



「はぁ~・・・ほんとうに」

「なんですか、まだなにかあ・・」

「なんだろうねー、こうさ、いつもいつもタイミングが悪い感じで来られるのは」



(えっ)



 何度目かのため息をつかれて、またイラっとしそうになった僕は、恭平先輩に文句を言おうとした。

 でも、彼の視線は僕のほうを向いてなくて、僕よりも後ろにいる他の誰かを睨みつけているようだった。


「あいつら朝はいないんじゃなかったっけ、それともこうたが遅すぎ?」

「・・・・え、誰のことで」


 突然床から立ち上がって、荷物を持った先輩は僕にも立ち上がるように促して視線のほうに一歩踏み出す。


(な、なに)


「なんですか?」

「・・・・・・」


 慌てて立ち上がって荷物を背負った僕は先輩の視線を追った。


(・・・げっ)



「うわ~また2人でいる」

「朝っぱらから何してるの~」


(な、なんでいるの・・・・もうそんな時間?)


 スマホの時計を見るとこうたくんと待ち合わせているちょうどその時間になっている。そして時間になって来たのはこうたくんじゃなくて、あの2人組だった。



「2人で朝からいちゃいちゃして、こりないね~」

「キモいな~、お前ら2人そろってゲイとか、桐崎は?知らねえの?」

「・・・・・・」


(2人そろってってどういう事?)


 

 僕を背中に隠すようにして前に立った先輩は何も喋らない。


「おいおい、違うだろ。あの2年はみんなゲイだって知ってる。だから、橋本くんの方だよね、桐崎こうたが知らないのは」

「あ~そうか」

「・・・・・・」


(な、なに話してるのこの人達・・・先輩がゲイ?)


「桐崎こうたは?まだ?お前らさ、いつも4人で一緒に居るからウザいんだよ」

「ほんとそれ。いい加減さ集団行動止めれば?」


 どんな表情で話しているのか。イライラしているその口ぶりは前に教室で会った時とは大違いだ。


「・・・・」


(どうしよ・・・恭平先輩前にいるからどんな様子かよく分かんないけど・・・なんで何も言わないんだろ)


 お互いの様子が前とは打って変わって、ピリピリした空気になっている。先輩も今回はふざけた感じはなくて、無言。


 僕が先輩に訴えたからだろうか。ずっと何にも話さない恭平先輩はこの状況をどうしたいのか僕には分からなくて、ただ彼の後ろに身動きせずにじっとしていることしかできない僕は握っていたカバンをぎゅっと握り直した。



「っていうか、さっきから後ろに隠れてないで出てこいよ、お前が一番ムカつくんだよ」


(・・・え)



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