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好きで好きでたまらない  作者: しおやき


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57/90

静かな朝に、掻き乱された時間



「はぁ~・・・・眠い」


 今日は11月に入ってからの何度目かの金曜日で、いつもよりもかなり早く起きた。


 相変わらず4人体制は変わってない。

けいた君とは下の名前で呼び合うようになったけど、僕には一線を引いてる感じがする。


(僕もあんまり話さないからそのほうがありがたいけど)


「早く準備して行こう」



 11月も後半で、寒い風がピューピュー吹くから普通にコートとかないと僕の貧弱な体ではこの寒さに耐えきれない。


(筋肉があればあったかいのか?・・・いや、脂肪のほう?)


「行ってきます」

「行ってらっしゃい」



 こうたくんに何も言えないまま時間がすぎるから、お父さんとのドライブも日取りが決まらない。全部終わってから呆然とした状態で助手席に乗れば気が少しは紛れるかなと思ってるんだけど。


(その考えだとダメかな・・お父さんに失礼だよね)



 最近朝によく見送りをしてくれるようになったお父さんと挨拶をかわして僕は学校へと向かった。



「早く行けばもしかしたら・・・」


 会えるかもしれない、2人っきりで。


 と、そんなことを考えて早く学校に着いた僕は校門に人がいないことを確認して、正面玄関に颯爽と入っていった。

 下駄箱からはまだ誰がいるか分からない。廊下にもしかしたらこうたくんがいるかもしれないし、こんなに早いから僕が待つ番かもしれない。



「おし・・・」


 転ばないように足を少し上げて廊下へと段を上がった僕は、首に巻いた長めのマフラーを取りながら視線を長い廊下へと向けた。



「・・・げっ」

「ん?・・・あー!かずきくんじゃん!今日早いね」

「・・・・・おはようございます」

「おはよう~こうたはまだだよ」

「そうですか・・・」



(この人いつから来てるの)


「こっちおいで~」

「なんでそんなに早いんですか」



 もしかしたらこうたくんと2人っきりになれるかもしれないと意気込んで行ったけど、そこに先に来ていたのは恭平先輩だった。


「金曜日だから?」

「いや、意味分かんないです」

「ほら、金曜日だと、明日休みじゃん。ゆっくりできるから今日一日眠くてもいいかなって」

「・・・そうですか」


(どうしよう・・・もう12月に入っちゃう)



「かずきくんはなんで早く来たの?いつも一番最後だよね」

「・・・・」

「ん?なんかあった?宿題し忘れたとか?もしかしてお腹痛くて朝のトイレで」

「違いますよ」


(ぜんぜん違う・・・)



 今日ダメだったから来週またトライしてみようかと思ったけど、そもそもこうたくんにメッセージで月曜日に聞けばいいだけの話だと今更ながら考えた。



「え~じゃあなに?」

「・・・先輩・・・なんで廊下に座ってるんですか。お尻冷たくないんですか?」

「まぁ立ってると足痛くなるからね。冷たいのは大丈夫だよ~」

「・・・・そうですか」

「で、なんで?」

「・・・・・」


 行儀がよろしくはない先輩の格好にちょっと呆れたけど、いつから待ってたのか僕は知らないからなんにも言えなかった。



「はぁ~」

「え、ため息とか」

「隣失礼します」



 僕も冷たい廊下の床にお尻をつけ体育座りで恭平先輩の隣に座った。流石に胡座をかいて荷物を投げ出してなんて座り方はできない。


「お尻冷たくないの?」

「・・・・僕が聞いたこと聞かないでくださいよ。冷たいに決まってるじゃないですか」



 相変わらず呑気だ。

なんにも考えてなさそうで羨ましい。


(ほんとにどうしよう)



「質問に答えてよー、俺はちゃんと答えてるじゃん」

「・・・・笑いませんか」

「・・・ん?」

「約束してください。からかわないって」

「・・・え、そ、そんな」 

「笑わないって約束してください」

「は、はい」



 僕が真剣に言ったから多分その空気が先輩に伝わったんだと思う。少し背筋を伸ばした彼はもたれていた壁から僕の方に向き直った。



「・・・・2人っきりになりたかったんです・・・2人っきりになれるかなと思って」

「え・・・」

「だから今日は早く来たんです」



 でもなれなかった。2人で話したかったのに。


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