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好きで好きでたまらない  作者: しおやき


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二人っきり




【そっか、俺正面玄関にいる。待ってるわ】



「・・・・・」

「なんだ、もう居るじゃん」

「えっ・・・・な、なんで見るんですかっ」

「いいじゃん、お前固いな~、そんなにこうたのこと好きなの?まぁ、内緒にしたいのは分かるけど」

「内緒っていうか・・・・・あ、あなた誰ですか」



 こうたくんのメッセージを読んでいたら、知らないこの男の子が覗いてきていた。それに気が付かなかった僕も僕だけど、無神経な彼にまた会話にならない返事を返す。


「あぁ~、風強すぎー、髪の毛飛びそう!!っていうか寒いから教室戻るわ。じゃあまた、昼にな~」

「っ・・・・・」



 そして僕の質問は簡単にはぐらかされてしまった。

 はぐらかされたというより、答える気がまるでなさそうだ。


「・・・・本当に誰・・・っていうかお昼ってなに・・」



 同じ正面玄関に行くのではないのかと思ったけど、なぜか体育館の方に行ってしまった。ますます意味が分からないし正体が不明。でも同じ制服を着ているからここの生徒で間違いではなさそう。


(とりあえず、こうたくんのとこに・・・・)



 さっきの人のお陰で、緊張感は和らいだけど、こういう状態になったのはそもそも彼のせいだ。



(なんで僕ばっかり・・・いつも振り回される)



 また歩き始めたけどやっぱりその視線は下を向いていて、ため息がもれる。


 こうたくんが知ってようが知らないままであろうが、ずっと包み隠せるものではないと心の何処かで薄々感じてしまっている自分に戸惑う。




 誰も僕のことなんかほっといてくれればいいのに。



 返す暇も距離もないからこうたくんとのメッセージの画面のまま、握りしめていたスマホをポケットにしまい込んだ。


 まだ生徒が少ない時間帯だから玄関のドアが全部開放されてるわけじゃない。ガラス扉越しに彼を見つけることができるかと思ったけど、反射して自分の姿しか見えない。


(どこにいるんだろ・・・)


 

 ドアが開いてるところから入って、とりあえず自分の靴を履き替えに定位置に向かう。



(・・・・いない、けどもしかしてもう先に行ったかな)


 メッセージをくれてから少しだけど時間が空いてしまっている。スマホからは何も音がしないからこうたくんが追加で何か送ってくれてる形跡もない。


 

 教室に急ごうと思い、慌てて中履きに履き替えて廊下に上がった。


(転けないようにしないと・・・・多分僕すり足だ・・・)



 前に廊下で転けたのもきっとそのせい。

だから足元の段差に引っかかりたくなくて下を見ていつもより気持ち高めに足を上げた。




「あ・・・」


(いる・・・)



 廊下に出ると、目の前には下駄箱に隠れて見えなかったこうたくんの姿が僕の視界に入ってきた。重そうな荷物を肩にかけて、片手をポケットにいれ壁にもたれかかっている。




「・・・・よぉ」



 そしてどうやら反応したのは僕の声じゃなくて、その姿だったらしい。

 こうたくんは僕を見てゆっくりと耳からワイヤレスのイヤホンを外しながら短く一言言ってスマホの画面をタップした。




「・・・・おはよう・・・ございます」

「おはよ」



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