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好きで好きでたまらない  作者: しおやき


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捉え方の違い



 

 学校に着く手前、校門に誰かが立っているのが見えた。


(・・・・誰だろう・・・こんな時間に。先生?)



 風が強いから、髪が目にかかって視界が定まらない。ぼんやりと見えるけど、いまいち輪郭がはっきりしなくて、結局誰か分からないまま自分には関係ないだろうと下を向いてその人の前を通り過ぎようとした。



「お前歩く時も下向いてんの?」


(・・・・え)



 思わず聞き覚えのある声に、止まって顔を上げると心臓がバクバク動き出す。



「ねぇ、昨日なんで先に帰ったの?」

「・・・・」

「昨日こうたに待っとけって言われてたんだろ?」

「・・・・・」


 僕はどうすればいいか分からなくて、目をギュッと瞑ってそのまま無視して教室に向かおうと、いったん止めてしまった足を踏み出した。

 でもその瞬間「いやいや、ちょっと待とうや」と腕を掴まれてまた足が止まる。



(・・・なにこの人)


「・・・・・あ、あの」

「なんで逃げるの?」



(あなた誰ですか)



「・・・き・・・昨日のことは、」

「なに?」

「こうたくんには・・・」

「あぁ~、話してないよ」

「・・・・え?」

「ついでに言っとくけど、あの2人組も先に追い払ったから、こうた達が戻っできた時はもう居なかったよ、俺だけ。あそこに残ってたの」

「・・・・言ってない?」

「ん?うん、言ってない」

「・・・なんで」


 

 てっきり言われたのかと思った。

しかもあの2人も追い払ったって、この人本当に誰?



「なんで?いや、俺もお前と同じだし」

「同じって・・・・」



 ブブーっ


(えっ)


「す、すいません」

「こうたじゃねえの?」


 聞きたいことを聞こうとして、違うことを聞いたけど彼が言ってることが本当かなんて分からない。来ていたのはメッセージの方でこうたくんからだった。



 目の前の人が気になって、メッセージを見たくても見れない。



「えっと・・・」

「なに?見ればいいじゃん」

「・・・う、腕を・・・離してください」

「あ~、ごめんごめん」



 笑いながら謝って離してくれたけどわざとらしくて不気味に見える。早く校内に入りたいと思いながらスマホをタップした。



【今どこ?もう着いてる?】



「・・・・」

「なんてきてた?」

「・・・」


【校門にいます】



「ねえ、無視?」

「な、なんで教えなきゃいけないんですか」

「え~、いいじゃん」

「・・・・昨日の・・・昨日の聞いてませんでしたか」

「昨日の?何のこと?」


ブブーっ


 

 僕の返事にすぐに返してくれたのかまたスマホのバイブが鳴る。

 でもすぐに見ることができなかったのは自分がしたくだらない質問のせいだ。



「・・・・僕が気持ち悪いって言われてたの」

「ん?あぁ、それがどうかした?っていうか俺も言われてたよ。お前だけじゃないって」


(・・・・・)



 彼はきっとすれ違いざまに僕が言われたことを多分知らない。



「・・・・・あ・・・あなた誰ですか」

「・・・え、なにそれ。ぜんぜん答えになってないけど、まぁいいや。もしかして自分で気持ち悪いって自覚してたの?」

「・・・・・」



 言われて黙ってしまった。何も返す言葉がない。無言はイエスの回答と同じ印象を与える、そう思って何か言い返したかったけど、図星だったから何も言えない。



 きりゅうくんにあのカフェで話したのは本音で、僕は結局自分のことを気持ち悪いと思っている。


 

 持っているスマホを握りしめ思わず俯いた。



「いや~、自分で自覚してるだけならいいけど、関係ない奴らに言われるのはムカつくよな。それは分かるわ。自分の出身地を自分でバカにするのはいいけど、ぜんぜん関係ない赤の他人に自分の出身地をバカにされるとなんかムカつくみたいな?あれと一緒だろ」

「・・・・・え」

「んなこと今はいいから早く見ろよ。こうただろ、どうせ」

「え、あ、はい・・・」


 

 酷いことや、何かからかわれることを言われると思っていたらそんなことはなかった。おちゃらけてるような感じはしたけど嫌味には聞こえない。



(・・・ムカつくとかじゃなくて、ショックのほうが大きいんだけど)



 僕とは違う捉え方に戸惑いながら急かされた僕は、言われるがままスマホのメッセージをタップしてこうたくんからの返事に目をやった。




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