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好きで好きでたまらない  作者: しおやき


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鳴り続ける電話



(・・・・きりゅうくんに)


「電話・・・でも、どうしよう・・・・先にメッセージ」



 静寂なんだけど、自分の脳内はうるさくて、汗がとまらない。部屋に入っても結局落ち着かなくて、制服のままベッドにもたれて床に座り込んでから最初に頭に浮かんだのがきりゅうくんだった。



 どうして最初に浮かんだのか、そんなのは簡単なことで、彼は僕がそういう人間だと知っているから。




 電源の入ってないスマホを持った状態では流石にメッセージが送れないし、当たり前だけど電話もできないからついさっき落とした電源をまたつけなければいけない。


 だからつける瞬間は、こうたくんからもう何も来てませんようにと願って電源をオンにした。



「・・・・明日からどうしよう・・金曜日も休んだのに・・また休むのは流石に・・・でも、」



 スマホが起動されるのを待ちながら顔を膝にうずめブツブツ呟いてると、画面が待ち受けになる。

 パッと明るくなったその画面からきりゅうくんとのやり取りの画面に移行してタップしようとした時、タイミング悪く新着の通知が1件来た。


 

 (・・・・誰)



 誰なんて考えなくても名前の表示があるからすぐに分かる。そして最悪なことにそのメッセージを間違えてタップしてしまった。


「・・・・え・・うそっ」 



 中身を読まずに慌てて戻るボタンを押したけど、見なかったことになんて今更できない。もう一度電源を切ろうとしたけどそれも諦めてこうたくんからのメッセージを読んだらすぐに閉じようと思い片目を瞑って読んだ。




【もう家?話長引いて待たせすぎたな、悪かった】



 「・・・・・え」


 


 もしかしてあの2人と会ってないのだろうか。それにしてもあの知らない男子生徒はいったい誰なんだ。震える唇を手で抑えて見たこの普通にみえるこうたくんからのメッセージの意味をどう捉えればいいのかよく分からない。



 ブブー


「えっ」



 思わず動きを止めてメッセージの画面を眺めていると案の定こうたくんからの電話がきてしまった。


(・・・やばい、こうなるからメッセージ見たくなかったのにっ)



 多分既読になった瞬間かけてくるやつだと思いながら気をつけようとしていたけど結局タイミングと自分の要領が悪すぎて意味がなかった。



「え、ど、・・・とうしよう、さっき取らずに切っちゃったし・・・・」



 

 鳴り響くバイブの音が長くなるにつれて、画面に表示された彼の名前を見る時間も長くなる。



 切らずにずっとかけ続けてくれてるこうたくんのことを僕は自分から避け続けることなんてできず、結局通話のボタンをタップしてしまった。



  ピッ



「・・・・・もし・・もし」

「かずき?」

「・・・・は、はい」

「もう家?」

「そ、そうです・・・・」

「ならいいや」

「え・・・」

「電話かけたんだけど繋がらなくて、ちょっと心配しただけ」

「・・・・・え、えっと」


 これはわざとなのだろうか。

電話越しに聞こえるこうたくんの声はいつもと変わらない。


「悪かったな、待たせるようなことして」

「・・・いや、あの・・・・」


 

 あの、の続きが繋がらない。

 口から発する言葉は探しても何も無くて『ただ、逃げただけで、ゲイだって他の人に言われて、自分の気持ちを隠してあなたのことを考えながら隣で過ごしていた気持ち悪いやつだと思われるのが嫌で・・・それで避けられるのが嫌で、』



「・・・かずき?」


 『あの場から逃げたんです』


 そう頭の中でかわりに話した。無言の時間がどれくらい経っていたのか、ようやく声に出せたのは頭の中のセリフの続きの言葉。


 一番最後の言葉だけだった。


「・・・・ごめんなさい・・・僕・・」

「いいよ、別に」



 無言の次は泣きそうな声に、それからどもって中々先に進まない話。


 僕がゲイだと知って、加えてこんなめんどくさい電話の返しをするからとうとう嫌気がさしたのか、こうたくんがした返事は今の僕には冷たく聞こえた。



「何も話さなくていい」

「・・・・っ」


 何があったのかやっぱり把握してそうなその言い振りに僕はあらためて愕然として、そのまま電話を切ろうと耳からスマホを少し離した。



「かずき、」

「・・・・」



 こうたくんはいったいどこから電話をしてきてるんだろう。


 僕の名前を呼ぶその声に思わず唇を噛んで込み上げてくる感情を殺そうとした。



「明日学校に来てくれればそれでいいから」

「・・・・でも、僕は」

「昼飯一緒に食おう」

「・・・・・」

「おいで、待ってるから」




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