不吉な足音2.5
「あ~、すげぇ嫌」と本当に嫌そうに言い放ったこうたくんだったけど、確か来る連絡に返事をしていないと言っていたから、他の誰かから言われたのだろうか。
「けいた君・・・?」
「うん、そう。いつも昼飯食ってるやつ」
「・・・・知り合いなんですか?」
「誰が?」
「その女の子と・・・けいた君・・です」
「あ~、いや知り合いっていうか同中だったらしい。俺はけいたとは別の中学だから、高校になって知り合ったけど」
「・・・・そ、そうだったんですか。てっきりけいた君とは同じ中学だと思ってました」
こうたくんの髪型のことを昔みたいと言っていたから、昔からの付き合いで同じ中学出身だと思っていたけど違うのだろうか。
(っていうかぜんぜん話したことないけど勝手にけいた君って言っていいのかな)
「違うよ。あいつも中学の時はサッカーしてたから、それで向こうが俺のこと知ってたみたい。俺は知らなかったけど」
「・・・・」
「高校で声かけられたわ。最初馴れ馴れしかったからこいつ誰?って思ったけど、まさかのサッカー繋がりだったっていうね」
「そお・・・なんですね」
(羨ましい・・・けいた君・・)
僕もそんな爽やかな繋がりだったら包み隠さず言いたい。でも、生憎そんなレモンソーダみたいに酸っぱくて喉元がシュワシュワするような美味しい繋がりじゃない。
(・・・会ったのは夏だったのに)
「うーん・・・」
「けいた君は、その子とは関わりがなかったんですか?」
「うん。なかったって言ってたよ。それが今になってとかな~」
「・・・・・」
「俺との接点作りたいからって・・・いいように利用されてるだけだろあいつ。かわいそ」
僕はこうたくんのため息まじりの言葉に思わず下を向いた。やっぱり行動できる人は凄い。どういう子であれ、きっとその子はこうたくんのことが好きなんだ。
「・・・・こうたくんは、その子とは会わないんですか?」
「え?・・・ん~、1人だとな・・・絶対泣きつかれそうで嫌なんだよな」
「な、泣きつく・・・?」
「うん。中学の時もそんな女の子居たからさ、ちょっとトラウマになってるんだよね。だからかずきが一緒に来てくれたらいいなって思ったんだけど。嫌だよな、ごめん、忘れて」
「・・・・・」
(・・・え?)
「まじで来んのかな」
「・・・・あの、こうたくんは・・その子のこと気になったりはしないんですか」
僕はこんなに誰かに求められたことがないから良くわからない。そんなに言い寄られたら気が向きそうな気もするけど。質問攻めごめんなさいとは思いながらも気になってしまい口がなかなか閉じてくれなかった。
「なんないよ」
「・・・・・・」
はっきりと短く言い放ったこうたくんは前をまっすぐ見ながら言葉を続けた。
「俺、気になるやついるから」




