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好きで好きでたまらない  作者: しおやき


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視線の向こう側




「えっ・・・」


 思ってもみなかったメッセージに一瞬緊張して、それから心臓がバクバクし始めた。


(これ怒ってる?・・・)


「どっちだろ、とりあえず理由言って謝ったほうがいいかな・・・え、どうしよう」


 今までの流れを考えると多分怒ってるわけじゃないと思う。けど、絵文字も何にもついてないからどっちとでも取れるように見える。


 (僕も別に絵文字とかないけど・・・・)



 今までのやり取りをスクロールしてみると、顔文字もないし絵文字もないから楽しそうなやり取りではない。スタンプがたまにあるくらいだ。


 女の子ならこの場合どうやって返すのだろう。そもそもこうたくんが聞いてきた意味が単純に僕の言葉が気になっただけならいいけど、ネガティブなほうに考える僕は彼の言葉の意味をうまく理解することができない。


「とりあえず理由を先に・・・」


 どうせ嘘なんてつけない。



【あの、ノートのお礼にこうたくんにお菓子を一緒に渡したいなと思って。迷惑なら止めときます。すいません】


「・・・」


 送ったあとに謝罪のスタンプもすぐに送信した。僕がこんなふうに送るのはやっぱり卑怯なのだろうか。こうたくんのことだから断るなら優しく断ってくれる。


 色々と嬉しい言葉を直接伝えてくれるけど、全部を真に受けて調子に乗れるほど僕はそんなに単純にはしゃげない。



 「あ~・・・・はぁ」


 とりあえずお母さんに作る約束はしてしまったから、今更やっぱり止めるとか言い出したらまた変に色々と突っ込まれそうだ。何にもないふりをして無難に作ればいい。


(家が近かったらきりゅうくんにでもあげられたけど)


 甘党だから喜んで受け取ってくれるだろう。

こういう時、好きな人相手じゃないとただ楽に作ろうと思えるのに。


「・・・・・好きって・・・だけならいいのに」


 何か余計なことをしようとするから辛くなるんだろうな。

 悟られちゃいけないのに、最初に比べると行動と気持ちに矛盾が生じてきているのは自分でもおおいに自覚がある。どこまで暴走するのやら。


 プライベートが繋がっていなかった最初の半年間はこんなんじゃなかった。



「・・・・」


 手に持ったスマホが光ってこうたくんからのメッセージが来たお知らせが画面に映し出された。見るのが怖いけど見ないと先に進めないからタップすると、なるべく最小限の視界の幅で見ようと片目を瞑りもう片方の目だけでうっすらと画面を覗いた。



【あぁ~そういうことか。迷惑じゃない。っていうか俺かずきに言ってないよね?】


(・・・・・)



 大丈夫だった。


「・・・良かった。ちょっと考えすぎた」


 充電器に差しながら操作していたから、少し熱を持ってしまったらしく手に温かさが移る。もうじゅうぶんたまってるし充電器は外そうとして左手で引っこ抜き、なくさないように引き出しの中に入れておいた。


(いつも適当な場所に投げるからな・・・)


 部屋の中でもずっと探していることがたまにある。確実に部屋から出てないのに、というか一人歩きしないからわざわざ持ち出したりしてないのになんでか中々見当たらない。


 フリーになったスマホを持ち勉強机の椅子に座って、こうたくんから借りたノートを目の前にして、返事を返そうともう一度彼からのメッセージを読み直した。


「言ってない?・・・・ってなんだ」


 こうたくんと交わした会話を思い出してみてもなんのことだかさっぱり分からない。


【すいません、ちょっとまどろっこかったですね・・・次からは気をつけます。言ってないっていうのは何のことですか?】


 送ったら自分のノートを取り出してこうたくんの字が書かれたページを金曜日の分から書き写し始めた。メッセージが返ってくるまでこっちに集中して、メッセージが来たら今度はスマホに集中する。


 どっちもこうたくんからのものだから頭の切り替えは不要だ。


「・・・・返事」


 返ってくるペースは相変わらずで嬉しい。だけどきりゅうくんに言われたように話題が無くなりそうですぐにでもやり取りが止まる気がして怖くなる。



【言ってないならいいや】


「・・・え・・」


 そんなことを考えながらメッセージを見てみたら、返事は一言だけだった。


 僕はスマホを持って画面を見ながら少し動きが止まり、何もないのにまわりをキョロキョロして自分を落ち着かせようとした。


 話題がない。


 好きな人とのやり取りは全部いちいち反応しようとするから、一文一文に返事を書いて結局文章が長くなる。


 それがつまらないと思われてしまった可能性もなきにしもあらずで、これ以上メッセージを引き延ばすのも難しいと判断した僕は、月曜日にまた会えるから潔くここは打ち切ろうと思った。



【そうなんですね。もうそろそろ寝ますか?】


「ノート全部写すか・・・・明日はブラウニー作るから、今日中に仕上げようかな」


 プリントは明日の朝起きてからでいいやと思い一旦置いていた鉛筆を手にした。



【まだ。でも明日の準備する、部活あるから。準備終わったらゲームしてそのまま寝るわ】


(・・・部活)


【分かりました。僕はこうたくんのノート写してから寝ます。ゆっくり休んで下さい。明日の部活も頑張って】


 課金はしないけど無料のスタンプでも可愛いのがある。

 こうたくんからの早い返事に鉛筆を持ったまま片手でタップして、拳を作って上に上げているうさぎのスタンプを最後に送っておいた。



【おぉ~ありがとうな。かずきも頑張って】




 こうたくんからの返事を最後に今日はスマホを見るのを止めて僕は眠くなるギリギリまでノートを写したり勉強をしたりしていた。






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