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22『vsフロアボス』

 


 コウモリの魔物。

 フロアボス『吸血鳥ヴァンパルス』が、僕たちの前に立ちはだかる。


 ──大きな翼で突風を巻き起こしながら飛ぶ、黒毛の化物は……まず攻撃してきた。

 ヴァンパルスの口に赤い光が集まっていたのだ。これは先程、梅雨坂がやっていた魔素によるビームの上位互換と言ったところか……!


「避けろ!」


 僕が言う。

 直後。ヴァンパルスは、僕たちが一秒前までいた時点目掛けて高熱のビームを放ってきたのだ。


 縦にビームが流れていき、ぶつかった時点を燃やし尽くす。


 ……そして一撃目を避けた直後、僕はヴァンパルスに向かって走り出した!


 いくら中難易度のフロアボスとはいえ、油断は禁物だ。鳥が放つ風を体の姿勢で受け流し、影響を最小限にしつつ、全速力で前進していく。


「ッ!!」


 再び光線を打とうと魔素を凝縮中の鳥。その懐へと迫った。そして地面を蹴り上げ、宙を舞う。


「これでも喰らえ!」


 そして僕は握りしめていたダガーナイフを、ヴァンパルスの胸部へと刺し、そのまま落下しながら皮を切り裂いていった。


「ギャァァァァァァ!?!?」


 黒鳥が絶叫する。

 魔物の青い血が、勢いよく噴き出た。


 しかしこの程度の傷は、多分コレにはどうってことないだろう。僕は地面に着地し、即座にヴァンパルスと距離を置く。


 敵は再び、あのレーザーを撃とうとしていた。


「また来るぞ!」


「ええ!」


「了解です!」


 しかし、僕は見た。その攻撃は先程とは違い……横方向のレーザーだったのだ。

 ……横に避ける意味がない。


 僕はもう一度、ギリギリで叫ぶ。


「次は横方向の攻撃……!」


 と。それに反応出来た二人は、どちらも避ける事が出来た。それどころか梅雨坂は避けながら魔法を発動し、仕返しをするかのように魔素による『レーザー』を発動したのだ。


 赤色に光る熱を帯びた線が、ヴァンパルスの右目に直撃する!


「ギャァ!」


 一瞬だが、ヴァンパルスは硬直し高度を下げた。地面スレスレまで、鳥は近づく。

 攻撃するには絶好のチャンスだった。


 それを他の二人も分かっていたのか。


 僕が突っ込むよりも前に、勇者は政権を右手に走り出し、梅雨坂は後方から魔法を打ち始めていた。


 ……頼もしい奴らだよ、本当に。


「はぁっ!」


 秋元はヴァンパルスの目の前まで迫り、そして聖剣を振るった。それは一見空振ったかのように思えたが違う。

 聖剣から光の斬撃が現れ、それがヴァンパルスを切り裂いたのだ。


 勇者は後方へと飛び退いた。



 そして追撃と言わんばかりに、梅雨坂が大量の魔法を繰り出していく!



 どうやら今回は双剣より、魔法メインで彼女は戦うらしい。


「行きますよ! おりゃぁ!」


 彼女の周りに展開された様々な色の魔法陣から、レーザーが放たれた。そしてそれら全てがヴァンパルスの急所へ命中する。


 タイミングを見計らって、僕は走り始めた。


「行くぞ!」


 ほぼ同時に、だった。梅雨坂のレーザーを全て急所に食らったヴァンパルスが地面へとようやく堕ちたのだ。


 走る、走る、走る───ッ!!


 そして、飛ぶ……!


「おりゃぁ」


 僕は距離を見て、大きくジャンプした。心は幅跳び選手だった。そして地面に倒れ落ちたヴァンパルスの頭上目掛けて、ダガーナイフを構える。


 そして。


「いけ!」 


 僕はその勢いのまま、ヴァンパルスの脳天へとダガーナイフを突き刺すのであった。


「……グァ?」


 一瞬の断末魔をあげ、ヴァンパルスは呆気なくその命を散らす。数秒後。それは光の粒となって、消えていったのだった。


「よし、倒した」


 僕は背後へと振り返る。

 そこには満点の笑みを浮かべる、二人の仲間がいた。だから僕はただ、彼女たちに対して親指でグッドを作るのであった。



 ◇◇◇



 フロアボスを倒したので、これより先も続いていたはずだった──通路の先の闇──に光が灯り、そして鉄の大扉が出現した。

 フロアボスを倒さない限り、一生この闇の通路を歩き続けなければいけないのだ。


 逆に倒せば、新たなる階層へ繋がる扉やら何やらが出現する。


「やっと2階層ですね〜」


「……そうね。1階層はかなり広かったわ」


 梅雨坂と秋元がそう感想を述べる中、僕はその大扉を開いた。

 そこには、新世界が広がっていた。


「う、うわぁ!? 綺麗ですね〜」


「本当ね……」


「こりゃ絶景だ」


 大扉を開いた先。


 繋がっていたのは、一言で言ってしまえば、地上と遜色がないぐらいに広く続いている"氷結世界"だった。


 天井には氷の氷柱つららが何本も立ち、地面には杉の木らしきものが高く育っており、雪が積もっていた。

 僕たちはどうやらそんな大地の、雪山に立っていた。


 雪山のてっぺんに僕たちは来たらしい。

 扉を超えて、三人が全員ここへ来ると、扉が閉まり、光の結晶となって消えてしまうのだった。


 息を吐けば、それは白く色づく。


 ……そして何より寒かった。


「じゃあ、行くか」


 若干軽装で来たことを後悔しつつある僕が、そこにはいた。唯一鉄鎧という厚着(?)をしていた秋元は、特にその寒さを苦痛に感じていなかったらしい。



 その様はまさに、夢のような景色であった。



 まぁそれはともかく、だ。

 こうして僕たちは、オネイロス・ライトの2階層へ辿り着くのであった。





 以下、配信中に流れてきたコメント。


 ーーーー


『絶景すぎるだろ……』


『前来た時、こんなんじゃなかったけどなあ』


『やっぱりダンジョンはこうでなくちゃな』


『第二◯聞帯っぽいな』


『4階層までの道のりはまだまだ長そう』


 ーーーー



ここまでお読み頂きありがとうございます!

ランキング駆け上がってみたいです!! 良ければ広告の下から【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると、続きを書いていく励みになるのでよろしくお願いします!!


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