15『僕は配信者としての目標を決めた』
梅雨坂が僕たちに協力してくれることになって、次の日。日曜日の昼ごろ。
僕たちは本命のダンジョンへ潜る前に、"三人で"どのように攻略していくか、試しで『低』難易度ダンジョンへ潜っていた。
「──っいきます!」
梅雨坂が双剣を繰り出す。
その刹那。僕たちの前にいたアリの魔物たちは切り裂かれ、倒れていった。
目にも留まらぬ速さで、彼女は攻撃したのだ。
「……ものすごく速いわね」
「そうだな」
僕じゃなきゃ見逃しちゃうね!
それにしても流石は死神だ。……何の躊躇いもなく、何百もの魔物が彼女の手によって殺されていく。
「やっぱり魔物を殺すのは気持ち良いですねぇ!」
「それには同意しかねるけど、梅雨坂が楽しくしているのは伝わってくるよ」
「そうです! そうなんです! 楽しいのです!」
テンションがあまり掴めない……。
どういう思考回路をしているんだろうか、コイツは。
……そう思いつつも、僕は踊るように魔物を殺していく梅雨坂を見守る。
「どんどん先に進んでくわね、彼女」
「ああ。一人で先行している。とても頼りにはなるけどさ、これじゃあ協力プレイの練習にはならないな」
僕は革鎧のポケットに入れていたスマートフォンを取り出した。
「おお」
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『死神、やっぱり華麗だなあ』
『勇者とホワイト何もしてないの草』
『もっと二人も頑張れ!』
『コメント読んで』
『強い強い強い強い強い強い』
『これだったらあの、アホみたいにいるコウモリも倒せるかな?』
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コメントは盛っていた。
視聴者数:70000
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登録者数:384000
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「そういえばさ、勇者」
「なによ」
「これって、何なんだ?」
僕はふとウェブサイトに映った──ある情報を見ていた。それは自身の配信への登録者が『100万人』を突破したら""うんたらかんたら〜ある""みたいな内容だった。
確か、秋元のアカウントは登録者数が100万を超えているはずだし──。
聞いてみようと、考えたのだ。
「あぁ、これね。これは配信サイトでのある指標みたいなものよ」
「ある指標?」
「そう。指標よ。まぁ大人気配信者かどうか、ってところかしら。それが全てじゃないけどね」
「へえ」
……それにしても。前僕が見た時、自分の登録者数は約六万ほどだったはずだが。
いつの間にに三十八万人にもなっていたんだ?
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『もしかしてホワイトさん、登録者数百万人目指すの!?』
『応援してる』
『がんば』
『勇者なんか追い越してしまえ!』
『まじでホワイトは凄い。みんなに知って欲しいけど、知られてほしくない自分だけが知っていたい矛盾』
『草』
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僕のスマートフォンの画面を盗み見た秋元は、コメントを読みながら告げる。
「あんた、もしかして百万人を目指してるの? 登録者数」
「え? いやまあ、一応さ。目標みたいなのがあったほうがいいかなと」
「それはそうかもしれないわね。因みに私の登録者数は」
「知ってる。百〜何万人だろ」
「違うわ。285万人よ」
化け物だった。
「うへえ、じゃあ追い越すのは無理だな……」
「わったしの勝ち〜ふふーん。あのホワイト君もネガティブな部分があるのね!」
「急になんだよお前──」
くそう。マウントできる部分が見つかったからって、そんな煽ってくるんじゃねぇ!
「まぁ、まずはそうだな。まず僕は、登録者数100万人を目指すことにするよ」
そんなわけで、僕は配信者としての目標を決めるのだった。
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