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魔術

ピーノはルーン語の教本を持ってきた。


「こちらがルーン語の初級教本です。まず、文字の説明をしますね。何か書いておきたかったら、この本に直接書いてくださいね他の人が使うとなれば、印刷部分にかかってなければ、白紙魔術で何とかなりますから」


「白紙魔術?」


 脳内に白紙魔術を習得しましたという声が流れる。


 えー、習得しちゃうの!?まぁ、説明は聞いても無駄にはならないからね。


「白紙魔術というのは、特定の部分を白くできる魔法です。白さは、込めた魔力の量で変わります。例えば、私のシャツで試しますと」


 ピーノがミニテーブルに置いてあった液体につかっているペンの先を真っ白なピーノのシャツの袖につけた。


 じわじわと広がっていく黒い液体。


「あぁ!」


「ふふ、大丈夫ですよ。ここで、魔法をかけたいところを脳内でイメージします。では、魔力少なめで、クリーム色のような感じの白にしますね」


 ピーノの手から、ぼんやりと白い光が出だしたと思えば、黒いシミのところに飛んでいって、黒い部分が、クリーム色に変わった。


「おぉ!すごい!」


「白紙魔術なんて名前がついていますけど、どんな物質にも使えるんですよ。じゃあ、ここの部分も元の色に戻してしまいますね」


 今度は、ピーノの手から、強い白い光が発せられた。


 ピーノのシャツの袖は、元の色に変わった。


「魔法をかけたところの素材は変わらないの?」


「はい、白紙魔法は、魔力を白い塗料のようなものに変えているんです。なので、素材は変わりません」


「白い塗料?」


「白い塗料というのは、自然に変わるんです。例えば、このシャツはもともと青くて、植物から染めたものなんですけど、その植物からとった液と、同じ成分になるんです。原理は魔術研修室でも分かっていないらしいのですが、自然に、人のイメージがそうさせているという仮説はあります。なので、肌触りとかも変わらないんですよ」


 ピーノはペンを取り、余計についた液体を瓶の中に落とす。ちょんちょんしてる。


「早く、原理が分かるといいね。それにしても魔術って不思議だね」


「そうですね、探求心がくすぐられますね」


 より魔術に興味がわいたかも。


「何してるの?」


「申し訳ありません。少し待ってください」


 ピーノは紙に何やら、魔法陣のようなものを描いていた。


 よし、とピーノが言うと、その紙を僕に見せてきた。


「そうですね。突然で申し訳ないのですが、この魔法陣、解読できますか?」


「これ?」


 一つの円の中に複数の様々な幾何学模様と、ルーン文字と思われるものが組み合わさった図形だ。


 これが魔法陣か…。前世、かっこいいから描いてみようって思ってもなかなかうまくいかなかったんだよね。ぐしゃぐしゃになっちゃうし、いろんな言語の組み合わせだから、文法もクソもなかったし。


 「うーん、」


 悩んでいると、急に目の前に解析完了の文字が見えた。


 脳内に音声が流れる。


 “白紙魔法 範囲:ピーノ・レイシアの着用しているシャツ全体 効果:二分間 色:乳白色”


 へー、ピーノってレイシアっていう苗字なんだ!


 そうじゃなくて、脳内音声の通りに言えばいいのかな?


「えーっとね、白紙魔法で、ピーノが今着てるシャツ全体に、二分間、乳白色にする?」


「せ、正解です。よ、よ読めるんですか?」


 ピーノは頭を抱えていた。


 

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― 新着の感想 ―
[一言] 読めちゃうと、神童一直線(笑) だってまだ、教わってないから
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