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関東

「ねぇ、ネンガ村の地図ってある?」


 僕はおじいさんの家で、お茶を飲んでいた。




「そんな高級な紙を使った製品なんぞこの村には無いよ」


「木を彫ったやつでもいいんだけど…?」


「そんなことをしている暇はないのじゃ…」


 そっか…。じゃあ、地図も作らないとね。




「絵がうまい人はこの村にいる?」


「紙にかける奴は居るか分らんが、オッズという奴は、砂に絵を描いていたりするぞ。わしらから見ればうまいがの」


「ありがとう!その、オッズさんはどこにいるの?」


「オッズは…多分、カン塔にいるだろう」


「関東!?」


 まさかの日本!?




「何を驚く?カン塔だぞ?ほれ、村の端に立っている」


「あ、あれか…」


 僕は、村へ向かうときに見えた、高い石造りの塔を思い出した。


「そうじゃ、そこに行けば、多分、石を彫って遊んでんじゃろうから」


「分かった!ありがとう!」


 僕は勢いよく、麦茶を飲みほして、おじいさんの家から飛び出した。


「執事長どこー?」




「ふぉっふぉっふぉ、坊ちゃんの後ろにおりますぞ…」


 僕の後ろにいた執事長が顔をずいっと寄せてくる。


「うわぁ!び、びっくりした…」


「ふぉっふぉっふぉ…、何か御用ですな?」


「うん、一緒にカン塔に行ってほしくて」


 迷子エンドはごめんだぞ…。




「もちろんですとも。坊ちゃん、失礼しますな」


 そういうと、執事長は僕を抱きかかえた。


「な、何するの?」


「走っていきますぞ!」





 わしは、坊ちゃんを抱きかかえるやすぐに、クラウチングスタートのポーズをとる。


「えっ、えっ!?」


「行きますぞ…」


 わしは、家系スキル〖瞬俊ばくそく★〗を発動した。


 足に自然魔力が自動充てんされ、目的地まで、フルオートで突っ走る。


「ふぉっふぉっふぉ、快速快速!」





 僕が気付いた時には、カン塔に居た。


 どうやら、驚愕と風圧で気絶してしまったらしい。


「ふぉっふぉっふぉ、お昼寝は済みましたかの?」


「お昼寝って、気絶しちゃったよ…」




 僕は、執事長から降り、カン塔の入口に走っていく。


 こうゆうとこ、子供になったよね。




「こーんにーちはー、オッズさんいませんかー?」


 叫んでみる。意外と響くなぁ!


「こんにーちはー、僕がオッズさんだよー?オッズさん二階にいるよー」


 お、オッズさん、二階にいるのか!


「ありがとー!よし、執事長!行こう!」


「かしこまりましたぞ」




 僕たちは手をつないで、階段を登る。


 塔は、各階一部屋ずつで、天井が高めの塔だ。


 各階に、小さなバルコニーがついていて、どの階でも見渡しが良さそうだが、十階上の屋上が、見渡しが一番いい。




「”おっずのへや”って書いてあるから、ここでいいんだよね?」


 かなり癖のあるリシエル語で、おっずのへやと書かれている。


 確実にここだね。


 僕の代わりに執事長がノックする。


「はいっていいよー」


 ドアノブを引き、お邪魔しますと、僕たちは言って入る。


「ようこそーオッズさんのお絵かきラボラトリへー」




 オッズさんは、ペンキの間から、顔を出して歓迎してくれた。

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