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運命

ピーノは、また泣きそうになっていた。


「カイム様が殺されてしまうなんて、私、そうなったら生きていけません!」


「えー、そんなに?」


 正直、そこまで思ってくれてるとは思わなかったんだよね。もう、見回り来てくれないかと思ったもん。疑ってごめんなさい…。


「私と同じ考えの使用人はたくさんいますよ!奥様達には言っていませんが、使用人たちには、カイム様のお力をたくさん報告しているんです!」


「うっそ、そんなに言っちゃったの?母さんとかに噂でつたっちゃいそうだよ!?」


 日本語おかしくなっちゃったよ!?あっ、リシエル語だった!


「うぅ、すいません、でも、あーやっておっしゃったということは噂は無かったということですよね?ね?」


「そうだよね?うん、そうだ!」


 僕もピーノも興奮気味になっちゃって、少し熱くなってしまった。


 落ち着け、僕、落ち着け、僕…。


「じゃあ、まとめますよ。カイム様は、人脈スキルで、ご家族に嫌われてしまった。しかし使用人に味方は多い。つまり、残り三年で、殺されないために何かする、ということです」


「うん、じゃあ、明日から、何か頑張らないと」


「そうですね。じゃあ、使用人に、噂してもらえるように私から言っておくとします。そうですね、今までやってこられなかった武術はどうですか?」


「武術か…。確かに、家の家系スキルは、剣術のスキルだもんね。少しは学ばないとね。でも、僕ってちょっと小さいよね?」


「そうですね、平均と比べてしまうと、少し…」


 僕は、九十五センチくらいで、体重は十三キロ。


 かなり小さめだ。


「うーん、それはもうちょっと大きくなってからでいいかな?」


「そうですね。まぁ、もう三時になってしまいますし、明日は何も用事はありませんから、ゆっくり考えましょう」


「そうだね。うん、じゃぁ、おやすみ」


「はい、おやすみなさい、カイム様」


 ピーノは僕の頭を撫でてくれた。暖かい手で、僕は安心してしまって、いつの間にか寝てしまった。


 ピーノは僕が寝たのを確認すると、机の上の紙や筆記用具を片付けて、部屋の明かりを消して、僕の部屋を出て行った。




 儀式から三年。僕の八歳の誕生日。


 僕たちは、あの日の次の日に、作戦会議もどきをおこなったが、結局いい案は浮かばず、どうしようと悩んでいた。


 そこで、殺されないためという目的を辞め、左遷される前提で何か行う、ということにしたのだ。


 そうすれば、案はポンポン上がった。それで、結局やったのが家事だ。


 家事なら、味方の多い使用人に頼めば、快くやり方を教えてくれるから、楽しく行えた。ピーノにまかせっきりだった、部屋の掃除や、洗濯、料理、その他色々も自分でかなりできるようになった。ピーノの負担が減らせて嬉しいよ。


 前世ではあまり自炊はせずに、テイクアウトサービスを利用しまくっていたし、掃除や洗濯はできないから、代行サービスに任せっきりだったし。


 代行サービスさんの大変さを思い知ったよ。でも、慣れてくると意外と楽しいことに気づいたんだよね。


 まぁ、そんな感じで、僕たちは、左遷後に困らないよう、徹底的に家事を覚えたのであった。

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