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まだ安静にして、ベッドから出ない方がいいと診断されて、

一週間、やきもきしながらアイリーン様の無事を祈る。


レイド殿下が、アイリーン様に関する予知夢を見たかと聞かれたが、否としか答えられない。


本当はまた元気な姿で神殿に来てくれる彼女を見たいのに、

実際見える光景は、農民たちの作る麦畑であったり、どうでもいい陛下の食事風景であったり、アイリーン様に関係のない夢ばかりだった。


こういう時、なんて使えない力なのかと、無力感にさいなまれる。


今日も殿下が訪問し、少しばかり回復したと教えてくれる。


私がアイリーン様を見舞えないことを心苦しく感じているのを分かってくれているのか、

殿下はちょくちょく私を訪ねてきてくれた。


仮にも王族の人間が、度々神殿を伝書鳩のように行き来していいものだろうかと一瞬頭をよぎった。


それとなく侍従の方に来ていただければ事足りると伝えてみたが、彼はここにくるのが息抜きになると言った。


アイリーン様を心から心配する数少ない同胞だと。


今王宮ではアイリーン様の婚約者としての地位が危ぶまれているという。


情緒不安定な侯爵家の令嬢が、王妃になれるのかと王宮の貴族たちが懸念を抱いているという話だ。


その話もあって、王宮内は新たな殿下の婚約者候補を選出する派閥と、

あわよくば自分の身内をあてがおうとする派閥と、

アイリーン様の回復を様子見の形で見守る派閥とで分かれているらしい。


レイド殿下は長年の婚約者であるアイリーン様との婚約解消は望むものではないらしい。


当たり前だ。


彼女以上に聡明で美しく貴族社会にも認められる王妃はいないだろう。


ほかにもレイド殿下の婚約者候補はいるらしいが、今さら彼女以外の令嬢と婚姻を結ぶのは抵抗がある。



「しかし原因が分からない。意味のわからないことをつぶやいていることもあるし、医者には前例がないと言われたのだ。

それまで健康体で大きなけがや病もなかった」



「意味のわからないこととは?」



「わかっていたら伝えられるのだが、知らない言葉が混じっているから、私自身も分からないんだ。

異国の言葉というか、とにかく支離滅裂で…」



こういう時に、より一層アイリーン様に直接お会いして、彼女がどんな心境なのか、

何か悩みがあるのか、それなら話してほしいし、私に出来る事ならなんでもしたかった。

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