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朝(1)

夢を見た。


内容はよく覚えていないが、朝起きた時に感じた不快感から考えると、良い夢ではなかったのだろう。

正直、目覚めは最悪だった。

しかし、俺のそんな気持ちとは裏腹に窓の外は真っ青な空に白い雲が浮かぶ、完璧なまでの快晴だった。

窓から差し込む日差しが暖かく、心地よい。二度寝がしたくなるほどだ。

ただ、そんな時間的余裕は無い。唯愛が朝食を作って俺を待っているはずだから。


まだ少し眠いが、唯愛が作った朝食をゆっくり味わう時間の余裕が出来るように俺はのそのそと布団から出て朝支度を始めた。


「お兄、もう支度できた?」


支度を始めた、その時だった。ドアのノック音と共に唯愛の声が聞こえる。


「おはよう、唯愛。もうあと少しで終わるから少し待っていてくれないか?」


「ん、分かった。もうご飯できてるから怪我しない程度には急いで。」


「ああ。」


「あ、あと今朝はお兄が前好きって言ってたふわふわのオムレツだから。」


よく覚えてくれている。

たしか以前、卵が沢山余っていた時に唯愛がチーズの入ったオムレツを作ってくれていたな。あれは本当に美味しかった。


とか考えているうちに手早く用意を済ませ、ドアを開ける。


「改めておはよう、唯愛。」


「…おはよう、お兄。オムレツ、楽しみにしてくれてたの、嬉しい。」


「楽しみに決まっているだろう、そんなの。」


「………とりあえず、行こう。冷めちゃうから。」


唯愛はそう言いながら少し頬を赤く染めながらそそくさと階段を降りていってしまった。可愛い。


「「いただきます」」


2人で挨拶をし、朝の食卓を囲む。

両親は仕事でここ数年間は年末年始とお盆時期にしか帰ってこない。

公務員だとは聞いているが、一体何をしているのか謎だ。普通の公務員なら週末や休日には家にいるものだと思うのだが。


「お兄、もうすぐ夏休みだね。」


「ああ、そうだな。親父とお袋も帰ってくる筈だな。」


「ん。今朝ね、お母さんからメールが来てて、お兄と行きたいとこ考えといてって。」


「そうか。唯愛は行きたいところあるか?」


「わからない。だからお兄、今日学校の帰りに旅行屋さんに寄らない?いいとこ探したいから」


「そうだな。それなら放課後、校門前で待ち合わせよう。」


「ん。」


嬉しそうに答える唯愛を見ていると、俺まで楽しみになってくる。

俺は早く授業が終わって欲しい、と久々に思った。

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